鍼治療が心身にもたらす効果

鍼の効果は、身体能力のアップ、ストレス解消、感情の安定、免疫力のアップ、老化防止、ダイエットなど様々なものがあります。
鍼を施すと、不快な気分が短時間で改善されることは皆さまも体験されたことがあるでしょう。
ここでは以下の項目に分けて、その一つ一つを専門的に紐解いていきましょう。

1. 患者様と施術者のラポール(信頼関係)が築かれることで、病は回復する

 

普段私たちは生活や仕事のなかでストレスを感じると、自分では気付かない間に、息を吸う時に力が入っています。試しに息を吸うことを続けてみると、段々緊張して悲しい気持になってきます。吸う息は泣いているときの呼吸だからです。

逆に今度は息を吐くことを意識的に続けてみると、段々と気持が落ちついてきます。吐く息は笑うときの呼吸だからです。

患者様と施術者の信頼関係が築かれると、患者様の気持ちが落ちつき吐く息が長くなるのです。その結果、患者様の呼吸が深くなります。

吐く息は副交感神経が関与し、吸う息は交感神経が関与しています。お話をする中で、副交感神経が優位に働いていきます。
また、鍼をすることによって直接、副交感神経を優位に働かせることもできます。緊張や興奮した状態で働く交換神経から、穏やかでリラックスした状態で働く副交換神経を、配穴により変えることができるのです。興奮や緊張が解消され、気分が落ちつくのはそのためです。

副交感神経が優位に働いているときは、心の面ではリラックスしていて、身体の面では力が抜けている状態です。鍼は気分転換をはかり、心をくつろがせ、やる気をもたらす効果があるのです。
鍼をした後に爽快感を感じるのはこのためです。

2.仕事帰りに、鍼治療のすすめ

呼吸が変わると身体だけでなく、こころも変わります。身体から力が抜けて緊張が取れていき、心も同様にくつろいでいくのです。
不安や心配、悲しみやおそれ、憎しみや恨みといった、マイナスの感情を抱えていても、呼吸が変わると気分も変わり、マイナスの感情を流せるようになります。とらわれていた強い感情から離れていくことができるのです。

辛いことや悲しいこと、疲れることがあった仕事の後にマイナスの感情を持ったまま、その後の時間を過ごすことになります。その間にさらに深く考えて、マイナスの感情へのとらわれを強くしてしまうかもしれません。

「仕事で疲れている」と言う状態のとき鍼をすることで、呼吸が整います。呼吸が整うことで自律神経のバランスが良くなり、心が苦しかった状態から解放され、落ちついた気分を取り戻せます。生命がバランスを自然に取ってくれることで、冷静な目で物事を見ることができるようになるのです。

3.鍼をすると、気・血・水の流れがよくなる

さらに鍼をすることにより身体の気血水の流れがよくなり身体の隅々まで気が巡り、血液と水分で細胞が循環され、さらに筋肉の凝りや身体の歪みが改善されていきます
効果的に鍼をすることにより自律神経が整い、精神的な疲れや肉体の疲れを取りやすくしてくれます。

4.鍼治療で元気になって、体を動かしましょう

運動の効果

運動をすると呼吸が深くなります
呼吸が深くなるにつれて、一度の呼吸で多くの酸素をとり入れられるようになります。呼吸が深くなると、酸素を多くとり入れ新陳代謝が高まります。身体の老廃物や不要なモノが体外に出され、新鮮な空気がたくさん入ってくると、身体の中の栄養物と、呼吸による酸素が交わり、エネルギーが発生するのです。このエネルギーは、体内の細胞の一つであるミトコンドリアによって発生します。

運動をすることでミトコンドリアが増加し、体内に必要なエネルギーが産生され、体力が増していくのです。運動不足や不摂生な生活、また歳を重ねるにつれてミトコンドリアの量は次第に減っていくそうです。運動によりミトコンドリアの産生が増すということは、健康のためだけでなく老化防止にも繋がります。

5.鍼によって健康につながる脳内ホルモンの分泌が促進される

鍼をすると脳への血流がよくなります。血流が良くなることで脳に栄養素が運ばれ、脳細胞が活性化し、脳細胞の老化を遅らせます。鍼をすることで様々なホルモンが分泌され、脳や身体に影響を与えます。

鍼治療によって分泌されるホルモンの中で、特に健康に関連のあるホルモンとその効果を書いてみました。

6.鍼をすると脳内ホルモンが分泌される

エンドルフィン

鍼によって脳内伝達物資であるエンドルフィンが分泌されることが証明されています。
分泌される脳内伝達物質は、エンドルフィンの中でも最も効果が高いβエンドルフィンなのです。
βエンドルフィンは、鎮痛効果や満足効果をもたらします。
βエンドルフィンの鎮痛効果は非常に高いので、モルヒネにたとえて、脳内モルヒネと言われています。更にエンドルフィンは精神に幸福感をもたらし、病気による苦痛も軽減するため、幸福ホルモンとも呼ばれます。

運動によって分泌が促されるホルモンについて

運動によって分泌される脳内伝達物質について詳しく解説します。

セロトニン

脳内からセロトニンが分泌されます。セロトニンは脳内伝達物質の一つで、精神を安定させる効果があるのです。セロトニンが分泌されると、人は幸せを感じることができるので、幸福ホルモンとも言われています。
ストレスはセロトニンの分泌を減少させます。ストレスに長くさらされ、セロトニンが枯渇すると、鬱状態になると言われています。

運動すると5分ほどで、セロトニンが分泌され始め、10~15分で活性化され、30分でピークになるといわれています。軽いリズム運動で、セロトニンは分泌されるので、とくに激しい運動をする必要はありません

セロトニンは、ドーパミンやアドレナリンと並んで三大神経伝達物質と呼ばれています。
脳内の神経伝達物質は、脳内で情報を行き交わせる役目を果たしています。
人間の脳には、約1000億~2000億のニューロン、すなわち神経細胞があると言われています。この神経細胞が情報処理と情報伝達を行っています。シナプスは、そのつなぎ目であり受容体であり、無数に近い数があると推定されています。
これらの神経伝達物質と呼ばれる脳内化学物質は、シナプスを介して脳内で情報を交換し、コミュニケーションをスムーズにはかる役目をしているのです。

三つの神経伝達物質のなかで、セロトニンはブレーキ役も果たしています。
アドレナリンが過剰になると、不安や恐怖に敏感になりますが、それをちょうど良い具合に調整します。

またドーパミンが過剰に出過ぎると、アルコールやギャンブルの依存症を引き起こす可能性があります。ドーパミンがもっと、もっとと要求してもセロトニンは、もうちょうど良いよ、とブレーキをかけて、ドーパミンを抑制し、依存症を防止しているのです。

セロトニンは、不安をとり除き、気分の低下を防ぎ、前向きで建設的な気持にさせます。気分や感情のコントロールに欠かせない物質なのです。

ドーパミン

ドーパミンが分泌されます
ドーパミンは、やる気を引き起こすホルモンです。
ドーパミンが分泌されると、意欲が出て、集中力が増します。生き甲斐や達成感を感じることができます。苦しい時も頑張れるのはドーパミンがでているからです。

また他にも、成長ホルモン、エンドルフィンなどが分泌されることも分かっています。

成長ホルモン

成長ホルモンが分泌されます

運動すると筋肉繊維が損傷を受けます。すると、損傷部分を修復しようとして運動後の睡眠中に成長ホルモンが多く分泌されるのです。成長ホルモンは、成長を促すだけでなく、細胞や組織を修復するホルモンでもあるのです。
成長ホルモンは繊維芽細胞も増やします。
そのため肌が若返るのです。アスリートの方が、若々しく見えるのは、運動することで成長ホルモンが分泌されているためです。
運動することで成長ホルモンの分泌が促進され、中性脂肪を分解し体脂肪を減らすので、痩身効果をもたらします

6.鍼灸をすることによって身体の防衛機能が高まる

私たち人間には、細菌やウイルスなどの外敵や異物が身体の中に侵入すると、即座に撃退するシステムが生まれつき備わっております。その御陰で私たちの生命は守られています。
私たちの血液細胞である白血球が、その役目を果たしてくれています。
私たちは風邪やインフルエンザ、感染症や炎症を引き起こしても元気に回復してゆけるのは、意識しなくても命令しなくても、この白血球が日夜、監視し働いていてくれるからです。

鍼することによって発汗が促進され、尿の排出効果を高めるのです。
汗や尿と共に多くの細菌を体外に排出します。
さらに鍼によって体中の血流が増して、血液循環が良くなると、白血球によって作られたウイルスの抗体や白血球が体内をより早く循環します。なので、細菌やウイルスの侵入に、より早く対応でき、病気の予防につながります
また鍼によって体温が上がることによって、細菌の増殖が防止されます
適度な鍼が病気の予防につながり、健康を保つうえで大切だと言えるのです。

鍼治療に関するリンク集

筆者
はらだ鍼灸整骨院 院長 原田浩一
"はり・灸と健康は仲がいい"

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