鍼治療後の注意点
鍼治療後は、およそ90分ぐらいはゆっくり安静にしてくつろいでください。
治療後は、鍼の効果によって、身体が変化しようとしている状態です。人によっては身体が重だるいと感じる方もいると思います。
実は、治療後の90分は、鍼の効果が最も身体に影響を及ぼします。鍼治療では、五臓六腑の生理機能を調整しています。生理機能の崩れたバランスを整えているのです。
そのことによって、気が巡り、滞っている身体の中の血液や水分が巡りはじめます。必要な所に血液が行き届き、一か所に溜まって汚れている血液が流れだすのです。
その結果、神経や筋肉を圧迫していた原因が改善し、不要な老廃物が体内に流れ出て、身体全体が浄化されていきます。重だるさを感じることがあるのはそのためです。
そして、ゆっくり安静にする理由は、治療後も鍼の効果が持続している90分の間に、身体にとって良い状態を覚えさす大切な時間だからです。
その後、この効果は10時間ぐらい続きます。治療後に体が重く感じるのも、治療の翌日に効果を実感できるのも、この仕組みの効果です。
水分補給について
鍼治療後は、お茶などほっとする飲み物を飲んで、くつろいでください。
必ずたくさんの水分補給をする必要はなく、鍼治療中に汗などで失った水分を補給する程度で問題ありません。
ほっとする飲み物を飲む理由は、主に「くつろぐため」と考えてください。
鍼治療後の内出血について
鍼治療後、内出血が起こることがありますが、まったく心配はありません。
その理由を説明していきます。
血液の流れが悪い状態を「血瘀(けつお)」、
溜まって汚れている血液を「瘀血(おけつ)」と言います。
日頃から血流の悪い体質の方(瘀血症の方)は、内出血しやすいと言えます。
瘀血(おけつ)は、二次的病理産物と言われ、刺入痛、固定痛、夜間痛を引き起こしまが、命の元となり命を支える血液ではなく、既に老廃物です。
この病理産物である瘀血は、体内に吸収され、便で排出されます。
内出血は、青じみた部分は通常2,3日で長いものでも1,2週間で改善されますので、まったく心配は要りません。
入浴について
鍼治療後に入浴される場合は、治療後は90分以上あけてください。
抜鍼後は、鍼の良い効果がまだ残っています。
経絡のなかの気血の流れが落ち着くのに、60分から90分ぐらいかかります。
その間は、お風呂に入らずにリラックスしてゆっくりお過ごしください。
食事について
鍼治療するタイミングの理想は、食前、食後の90分、つまり食間です。
なぜなら、食後は、消化吸収をスムーズに行うためにお腹に血液が集まっています。
そのときに鍼治療をすると、血液は手や足や鍼をした部位にも流れ分散されてしまいます。
そのため消化活動に100%集中できなくなります。
鍼治療後の食事は最低、90分空けてください。
運動について
鍼の直後から90分は汗をかくほどの激しい運動は避けてください。
鍼によって血流が改善し、血液を必要としている部位に血液が送られ、血液が長く留まって汚れている部位の血液の流れが改善します。
これらの反応がしっかりと完了するまで運動は待ってください。
運動すると、血液はその運動をするために使う筋肉に集まるため、鍼の効果が薄れてしまいます。
5分程度のストレッチは有効
ただし、あくびをするときのような身体を少し伸ばすぐらいのストレッチは、有効です。
なぜなら、鍼をしたあとは、気持ちもリラックスしてすっきりおり、ストレスの解消になっていることを実感頂けると思います。これは、五臓が調整され、気血水の流れが良くなっているからです。
お茶を飲む5分ぐらいのストレッチは、鍼治療による身体の違和感を除去し、この流れを少しサラサラ広げ、全体になじませる効果が期待できます。
縮んだ身体を心地よく伸ばすようなゆっくりとしたストレッチは、さらにリフレッシュ感を高めますので、短時間、大きく深い呼吸でゆっくりとストレッチを行うのがいいでしょう。
ただし、身体を動かすことに不安がある方は、無理にストレッチをすると逆効果となりますので、ひかえてください。
あくまで、身体を動かしたい気持ちになった方だけ行ってください。
ポイントは、ストレッチをしてさらにリラックスすることです。
飲酒について
運動と同じ理由で、鍼治療の後、90分は飲酒を避けて下さい。
鍼治療によって、肉体疲労や精神疲労が軽減され、心と身体の両方に良い効果が現れます。
鍼をするとお酒を飲まなくても気分が晴れやかになります。どうしても飲みたいなら、少量にしてください。
血流が良くなっているので、少量でも良く回り、気分良く酔えます。
いつもの量を飲むと回りすぎるので、決していつもの量を飲まないで下さい。
鍼の後にお酒を飲むと言うことは少量で心地良く回るので安上がりと言えます。
Q&A
このような場合は、鍼の刺激を柔らかく、刺激量も減少させ、反応と経過を見ながら一人一人に合った治療内容に変更していきますので、遠慮なくご相談ください。
これらの症状の多くは一時的なもので、加えた刺激に過剰に反応したために起こるものと考えられます。