カテゴリー別アーカイブ: 当院の考え方

update:2026年9月16日 最終更新日:2026年9月18日

症状だけではなく、その人全体を見る治療を目指して

※効果や感じ方は人によって異なります

今回は、当院が大切にしている治療の考え方と、これからどのような治療所を目指していきたいのかについて、まとめてお話ししたいと思います。

当院の特徴の一つは、中医学の「弁証論治」という考え方を取り入れていることです。

人間の体は複雑です。

腰が痛いから腰だけを見る。肩が痛いから肩だけを見る。それだけでは、その方の状態の全体像が見えてこないことがあります。

当院では、症状が出ている場所だけではなく、「なぜ今、このような状態になっているのか」「何が大きく関係しているのか」ということを考えながら、体全体を見ていくことを大切にしています。

中医学の「弁証論治」とは

中医学では、体質や現在の身体状態、生活習慣、食事、睡眠、精神状態など、さまざまな情報を総合的に整理して、その方の状態を捉えることを「弁証」といいます。

そして、その弁証に基づいて治療方針を考えることを「論治」といいます。

簡単にいえば、「一人ひとりの状態を総合的に見て、その方に合わせて施術方法を考える」ということです。

映画の「あらすじ」のように体の流れを見る

私はこれを、映画を見るときの「あらすじ」に例えて説明することがあります。

映画を見る前に、あらすじや主題をある程度知っておくと、登場人物がなぜそのような行動をするのか、一つの出来事が次にどうつながっていくのかを理解しやすくなります。

人間の体も、それに似ていると思っています。

今出ている症状だけを見るのではなく、その方がこれまでどのような生活をしてきて、どのような経過をたどり、現在の状態になっているのか。

その流れを考えることで、何に焦点を当てて施術していくのかを整理していきます。

「地球儀を見るように」体全体を見る

私は患者さんの体を見るとき、「点や線だけではなく、地球儀を見るように立体的に見る」という感覚を大切にしています。

例えば肩こりがあったとしても、肩だけに問題があるとは限りません。

姿勢、筋肉の緊張、運動不足、睡眠不足などが関係していることもあれば、精神的な緊張が続き、無意識に肩や首へ力が入っていることもあります。

食事や胃腸の調子、呼吸、生活習慣などにも目を向けます。

原因を最初から一つに決めつけない

一つの症状に、一つの要因だけが関係しているとは限りません。

一つ、二つ、三つと、いくつかの要因が重なっていることもあります。

だからこそ、「これが原因です」と最初から一つに決めつけるのではなく、患者さんのお話を聞き、体の状態を確認しながら、何が大きく関係している可能性があるのかを一つずつ整理していきます。

患者さん自身の「気づき」も大切にする

治療で大切なのは、治療する側だけが頑張ることではないと私は考えています。

患者さん自身にも、自分の心と体の状態を知っていただくことが大切です。

  • 「最近、あまり眠れていなかった」
  • 「仕事中はずっと体に力が入っている」
  • 「気がつくと呼吸が浅くなっている」
  • 「長時間、同じ姿勢を続けている」
    • 問診をしながら生活を振り返っていくと、ご本人が初めて気づかれることがあります。

      治療する側が気づき、患者さん自身も気づく。

      そして、お互いが同じ方向を向いて、より良い状態を目指していく。

      私は、治療とは一方的に「治してもらう」だけのものではなく、患者さんと治療者が一緒になって進めていくものだと思っています。

      心が緊張すれば体も緊張する

      当院では、心と体の関係も大切にしています。

      私は、「心が緊張すれば体も緊張する。体が緊張すれば心も緊張する」と考えています。

      仕事や人間関係などで緊張が続いていると、知らないうちに肩に力が入ったり、体が硬くなったりすることがあります。

      心と体の状態を見るために「呼吸」にも目を向ける

      その状態を考えるうえで、私が特に注目しているものの一つが「呼吸」です。

      驚いたとき、怖いとき、緊張したときには、息を止めたり、呼吸が浅くなったり、吸う息に力が入ったりします。

      反対に、気持ちが落ち着いているときには、無理に力を入れなくても自然に呼吸しやすくなります。

      呼吸は、生きている間ずっと繰り返しているものです。

      だからこそ、当院では必要に応じて、これまで学んできたヨガの考え方も取り入れながら、自分の呼吸に気づくことをお伝えしています。

      呼吸を日常生活の中で見直す

      特別に長い時間を取らなくても、仕事や家事の合間などの隙間時間に、自分の呼吸を確認してみます。

      「今、息を止めていなかったかな」
      「肩に力が入っていないかな」
      「ゆっくり息を吐けているかな」

      そうした日常の小さな積み重ねも大切だと考えています。

      骨と筋肉は「夫婦のようなもの」

      もう一つ、私が治療で大切にしているのが筋肉です。

      腰や首、肩などに痛みがあると、「骨が悪いのではないか」と考える方も多いと思います。

      もちろん、骨や関節の状態を見ることは大切です。

      ただ、骨だけで人間の体を支え、動かしているわけではありません。

      骨格を筋肉が支え、関節とともに体の動きを作っています。

      私は患者さんに、「骨と筋肉は夫婦のようなものですよ」と説明することがあります。

      どちらか一方だけを見るのではなく、その関係を見ることが大切だという意味です。

      腰が痛い場合でも、腰の周囲だけではなく、お尻や脚、背中などの筋肉の状態や、体全体の動きを確認することがあります。

      長時間同じ姿勢を続けていたり、同じ場所に負担をかけ続けたり、精神的な緊張によって体に力が入り続けたりすることで、筋肉の緊張が強くなっていることもあります。

      そのため当院では、骨や関節だけに注目せず、それを支えている筋肉の状態も大切にしています。

      筋肉は畑、鍼灸は畑を耕すようなもの

      私は筋肉について、もう一つ患者さんによく使う例えがあります。

      「筋肉は畑のようなもの」という考え方です。

      畑は長い間手入れをしなければ、土が硬くなっていきます。

      筋肉も同じように、長期間の負担や生活習慣などによって緊張が続き、柔軟に動きにくくなっていることがあります。

      私は鍼灸を、その畑を少しずつ耕していくようなイメージで捉えています。

      これは鍼灸の医学的な作用そのものを表しているのではなく、私が患者さんに施術の考え方を説明するときの例えです。

      一度にすべてを変えようとするのではなく、今の筋肉や体の状態を確認し、その方に合わせて必要なところに働きかけていく。

      鍼灸を、筋肉の緊張をゆるめ、体を整えていくための方法の一つとして活用しています。

      症状だけではなく、その人全体を見る

      当院がこれからも大切にしていきたいのは、「症状だけではなく、その人全体を見る」ということです。

      筋肉、関節、骨格、姿勢といった体の状態だけではありません。

      睡眠、食事、運動、呼吸、生活習慣、精神的な緊張や感情の動きなど、その方に必要なことを総合的に考えます。

      そして、中医学の弁証論治を軸に、鍼灸、体の構造、これまで学んできた心理学やヨガなどの考え方も必要に応じて取り入れていきます。

      もちろん、すべての症状を鍼灸だけで考えるものではありません。

      症状によっては医療機関での検査や診察、治療が必要な場合があります。そのような場合には、適切に医療機関へ相談することも大切です。

      治療を「健康を考えるきっかけ」に

      私は、治療所は症状に対して施術をするだけの場所ではないと思っています。

      治療をきっかけに、自分自身の心と体を知っていただきたい。

      そして、

      「自分はどういうときに調子を崩しやすいのか」
      「どういう生活をすると体の調子がいいのか」
      「これから健康に過ごすために何を大切にすればいいのか」

      そうしたことに気づいていただく場所でもありたいと思っています。

      症状のある場所だけを見るのではなく、一人の人間として見る。

      何が大きく関係しているのかを一緒に考える。

      患者さん自身にも自分の体を知っていただき、治療者と患者さんが同じ方向を向いて、心と体のより良い状態を目指していく。

      これからも中医学の弁証論治を大切にしながら、一人ひとりの患者さんとしっかり向き合える治療所を目指していきたいと思っています。

      ※効果や感じ方は人によって異なります