update:2026年11月5日 最終更新日:2026年11月5日

身体の中の水は流れていますか?寝ても疲れが取れない重だるさを、食事と水分の巡りから考える

※効果や感じ方は人によって異なります

はらだ鍼灸整骨院 院長 原田浩一

眠ったはずなのに体が重い。私は、検査とともに毎日の暮らしもお聞きします

「しっかり寝たはずなのに、どうも体が重い」

「何となくだるくて、すぐに疲れてしまう」

そんな時、私たちは考えます。どこか悪いのだろうか。何か病気が隠れているのだろうか。検査を受けても、はっきりした原因が見つからず、戸惑うこともあるでしょう。

私は、そのような時にも、毎日の暮らしについてお聞きします。何を食べ、どのくらい食べているのか。眠りはどうか。体を動かしているか。気持ちの張りつめた毎日になっていないか。

その中で、今日は食生活と、中医学で考える体内の水分のお話をしたいと思います。

少し、きれいな川を思い浮かべてみてください。

体を潤す水を、必要なところへ。私は、その巡りを澄んだ川に重ねます

田舎を流れる、澄んだ川です。

水は透明で、底の石まで見える。魚が泳ぎ、流れを大きく妨げるものもない。新しい水が入り、下流へと流れていく。

眺めているだけで、気持ちがよいですね。

私は、体の中の水分について説明する時、この川にたとえることがあります。

私たちの体の大きな部分を占めているのは水分です。成人では体重のおよそ六割といわれますが、その割合は年齢や体格などによって違います。水は体を潤し、生命活動を支える大切な成分です。

中医学でも、体を支える「気・血・津液(き・けつ・しんえき)」を大切に考えます。津液とは、体を潤す正常な水分を表す言葉です。

必要な潤いが、必要なところへ行き渡る。その働きを、私は川の流れに重ねて考えるのです。

流れる川がため池になるように、中医学では水分の停滞を「湿」と考えます

ところが、川へ流れ込むものが増え、流れが妨げられると、様子が変わってきます。

底にものがたまり、水が濁り、以前は見えていた石が見えなくなる。すっと流れていた水が、よどんでいく。ため池のような状態を思い浮かべると、分かりやすいかもしれません。

中医学では、体の水分の巡りに関わる不調を考える時、「湿(しつ)」という言葉を使います。

私は患者さんに、「体の中の川が、少し停滞しているように考えてみてください」と説明することがあります。

もちろん、体内に泥がたまったり、体液そのものが腐ったりしているという意味ではありません。「水分が汚れる」「濁る」という表現は、中医学でいう不調を身近に感じてもらうためのたとえです。

では、その巡りを考える時、毎日の何に目を向けるのでしょうか。

私がまずお聞きするものの一つが、食事です。

よい食べ物も、多ければよいとは限りません。大切なのは、自分に合う量です

おいしいものを食べるのは、楽しみですね。栄養を取ることも大切です。

ただ、どれほどよい食べ物でも、たくさん食べれば、それだけ体によいとは限りません。

大切なのは、その人が無理なく受け止められる量かどうかです。

私は、食べ過ぎが続いていないか、甘いものや濃い味のおかず、脂っこいものに偏っていないかをお聞きします。醤油と砂糖をたっぷり使った味付けは、おいしくて、ご飯も進みます。揚げ物にも、食べたという満足感があります。

最近では、おかずだけでなく、お菓子やスナック類にも、油を使ったものが身近にあります。

おいしいから、つい、もう一口。気がつけば、必要以上に食べてしまう。そういうことが、毎日少しずつ重なっていないでしょうか。

私は、そうした食べ方と体調との関係に目を向けます。中医学では、飲食の偏りや胃腸の働きも含めて、湿が生じる背景を考えるのです。

特定の食べ物を一口食べれば悪い、という話ではありません。どれだけ、どのくらいの頻度で、自分の体調に合っているか。そこが大切です。

何を食べるかだけでなく、どう食べるか。私は、いつもの食卓まで知りたいのです

何を食べるかとともに、どう食べるかも見ていきます。

冷たいものを続けて取った時に、おなかの調子が悪くなることはないでしょうか。食事を抜いた後、一度にたくさん食べていないでしょうか。

食べたり食べなかったりする。おなかがすき過ぎて、どか食いする。忙しさの中で、食べ方が不規則になっている方もいます。

中医学では、こうした食事と胃腸の働き、水分の巡りを、別々に切り離して考えません。

私は、体がだるいというお話を聞く時にも、食卓の様子まで知りたいのです。

何か珍しいものを食べた日だけではなく、いつもの食事。その積み重ねの中に、見直せることがあるかもしれません。

重だるく、すっきりしない。中医学の「湿」は、じっとりした湿地帯を思わせます

「湿」という言葉が分かりにくければ、自然の湿地帯を想像してみてください。

いつ見ても地面が湿っている。じっとりして、乾きにくい。水が動かず、そこにとどまっているように見えます。

私は、湿の持つ重さや、長く居座るような性質を、この景色に重ねて説明します。中医学では、湿が関わる不調には、重だるさや、すっきりしにくさがあると考えます。

風邪の後などに、いつまでも調子が戻らない。何となく体が重く、気持ちまで晴れない。そうした時に、湿という見方も一つの手がかりにします。

ただし、回復が遅い理由やだるさの原因は、それだけではありません。現在の症状や経過、必要な診察・検査と合わせて考えます。

川や湿地帯は、体の状態を考えるための入口なのです。

湿がさらに粘りを帯びた状態を「痰湿」と呼びます。私のたとえでは「ドロドロ水」です

中医学では、湿の停滞が続き、さらに粘りを持つような状態を考える時、「痰湿(たんしつ)」という言葉を使います。

ため池の底に、少しずつ粘りのあるものがたまっていく。そんなイメージです。

ここでいう「痰」は、せきをした時に出る痰だけを指しているのではありません。体の中の不調を捉える、中医学独自の考え方です。

私はこれを、「ドロドロ水」と表現することもあります。

「ドロドロ血」という言葉は聞いたことがあっても、「ドロドロ水」は、あまり耳にしないでしょう。体を考える時に、水分のほうにも関心を持っていただきたいのです。

ただ、この言葉から、体液の粘りを実際に測定したり、血液の状態と必ず同じように変化したりすると受け取らないでください。あくまで、中医学の痰湿を伝えるためのたとえです。

検査で異常がなくても、つらさは残る。食事も含め、いくつもの手がかりを探します

体が重い。だるい。疲れやすい。眠っても、休まった感じがしない。いつも何となく眠たい。

こうした状態があると、何をするにも元気が出にくくなります。

中医学では、このような訴えを診る時に、湿や痰湿が関係していないかを考えることがあります。私も、食事、眠り、運動、ストレスなどをお聞きし、舌や脈なども合わせて、その方の状態を見ていきます。

「検査で異常がなかったから、食べ過ぎが原因だ」と、一つに決めることはしません。だるさや眠気、めまいなどには、いろいろな背景があります。続いたり悪化したりする時には、医療機関への相談も大切です。

そのうえで、検査とともに、日々の暮らしにも目を向けたいのです。

「いつもの食べ方が、今の自分に合っているだろうか」

その問いから、見えてくることがあると思っています。

同じ重だるさでも、背景は違います。食事とともに、心の張りつめ方も見ていきます

ここまで食事の話をしてきましたが、私は食べ物だけで体調を考えているわけではありません。

ストレスも、一緒に見ていきます。

中医学では、体の働きや巡りを支えるものを「気」と考えます。精神的な緊張によって気が滞ったり、過労などで気が不足したりすると、水分を巡らせる働きにも影響すると捉えます。

巡りを妨げるものがあるのか。それとも、巡らせる力が足りなくなっているのか。

同じような重だるさでも、その背景は違うかもしれません。

私は、食事や体の状態と、心の状態を合わせて考えています。その方が、毎日どんな気持ちで過ごしているのかも知りたいのです。

忙しくても、生き生きしている人がいる。心の負担は、出来事の数だけでは分かりません

忙しく働き、大きな課題を抱えていても、生き生きと過ごしている方がいます。

私は、困り事の数だけでは、その人の負担は分からないと思っています。同じ出来事でも、どう受け止め、どう取り組むかによって、気持ちは違ってきます。

「これは大変だ。でも、乗り越えることで、次の力になるかもしれない」

そんなふうに考えられる時には、難しいことにも向き合いやすくなるでしょう。

一方で、受け止め方を変えるだけでは難しい環境もあります。つらさを感じる自分を責める必要はありません。休むことや、誰かに相談すること、負担そのものを減らすことが必要な場合もあります。

自分の心に余裕を取り戻すには、何ができるだろうか。

そのことも、日常生活を考える一部だと思っています。

「腹八分目」から始めてみる。毎日の小さな見直しが、自分を支える一歩になります

昔から、「腹八分目」といいますね。

食べ過ぎを控える。偏りを見直す。自分に合う範囲で体を動かす。休養を取り、気持ちの張りつめた時間を長引かせ過ぎない。

特別なことのようには聞こえないかもしれません。それでも私は、この毎日の積み重ねを大切にしています。

病気や不調の原因を、すべて生活のせいにすることはできません。けれども、生活の中に見直せることがあるなら、そこは自分を支えるために取り組める場所です。

今日の食事は、少し多くなかったか。

おなかの調子を見ずに、食べ続けていなかったか。

疲れているのに、無理を重ねていなかったか。

自分の体の声を、食卓や暮らしの中で聞いてみる。そこから始めていただければと思います。

食べて、巡らせて、休ませる。その働きを支える「気」の話へ進みましょう

最初に思い浮かべた、あの澄んだ川を、もう一度想像してみてください。

底の石が見えて、魚が泳ぎ、水が流れていく。

私がこの景色をお話しするのは、体を「どこが悪いか」だけでなく、「毎日の暮らしの中で、どう働いているか」という目でも見てほしいからです。

食べたものを受け止める。必要なものを巡らせる。働いた体を休ませる。

その一日一日を、少しずつ整えていく。私は、そこに健康を支える大切な手がかりがあると思っています。

今日は、中医学でいう湿と、体内の水分についてお話ししました。

では、その巡りを支える「気」とは、どのようなものなのでしょうか。

次は、そのお話をしていきたいと思います。

※効果や感じ方は人によって異なります

電話予約の流れ