鍼治療後にしびれを感じるのはなぜか?

鍼を刺したことが原因ではないため、心配は要りません。ここでは、それを解説していきます。鍼治療は、鍼の主な効果の一つとして、鍼を刺した局所の強力な筋弛緩作用があります。強力な筋緊張を伴う場合、一度の鍼刺激では筋肉が緩みきらない場合があるからです。
筋肉の緊張が強い場合、鍼の残鍼感が1日、2日続くことが稀に発生します。
筋肉が緩みきっていないことが、痛みやしびれの原因です。

しびれを感じる原因

慢性に疲労すると筋肉は粘土化し、一時的に激しい痛みを抑制します。激しい痛みを抑制するために、一時的に神経が麻痺を起こしているのです。粘土化した筋肉には、古い水分がたくさんたまっています。これは、生命を潤す生理的水分ではなく、中医学でいう痰湿(古い水)となっています。ため池の濁った水と同じ状態で、飲用できない水で、二次的病理産物で、性質としては、気血水の流れをわるくする「阻あつ機気」、おもく汚く粘り長くとどまる「重濁粘滞(じゅうだくねんたい)」です。沼のような筋肉になっているのです。
身体を鍼治療を行うことで、新陳代謝がよくなり、気血水の流れが良くなります。その結果、筋肉の粘土状態が改善され、柔軟な筋肉に戻ろうとします。その時に、粘土状態で抑えられていたしびれを感じることが稀にあります。

しびれを感じた時の対処法

筋肉の性質は食事が50%関与しています。湿に偏った食事、油もの、味の濃いおかず、アルコールがそれにあたります。そこに運動不足や、過労やストレス、精神疲労が重なると余計代謝が悪くなり、粘土化がひどくなります。
ですので、特に食事に気を付けてください。水分と油ものを控え、アルコールは湿をためる代表ですので、絶対に禁酒してください。油に火を注ぐようなものです。

多くの場合は、しびれは一過性でおさまります。一日以上続く場合は、筋肉の質がよほど損なわれているだけに起こります。不安な場合は、治療院にご相談ください。

治療するまでなぜしびれを感じないのか?

重症化・慢性化して、神経がしびれにマヒしているケースがおおいです。しびれを感じなくなったのは、激しいしびれの前兆でもあります。筋肉がカチカチにこると、とてもしんどいです。それをつづけていくと、筋肉は粘土のように粘っこくなり、痛みを抑制します。これは、痛みが治ったように感じるのですが、実は、さらに病態は進んで筋肉が粘土のような状態で、痛みを感じにくくしている身体の一時的な自己適用反応です。しかし、身体はいつまでも適用しきれません。粘土かがさらに進むと、しびれや麻痺、骨の老化(骨粗鬆症)や変形につながっていくのです。

その次に起こるのが、骨の老化や変形によるしびれや麻痺です。こうなると、治るまでに多くの時間を要し、症状も繰り返し起こるようになります。

隠れ肩こりの肩は要注意!

肩は凝らないとおっしゃる方の肩を触ると、とても凝っていることがあるのはその初期状態です。このような方は、美容院でマッサージを受けた時に肩こりを指摘されますが、本人は肩をこっていないと感じていますが、麻痺や老化の前段階ですので、肩こりや腰に効くストレッチや体操を意識的に実行してください。

上記と繰り返しになりますが、この凝っているが自覚症状がない状態からもう少し時間がたつと、麻痺や、重篤なしびれにつながることが多くあります。なぜならば、筋肉が粘土化して動きが悪くなると、骨への血行が極端に悪くなるからです。背骨は身体が動きやすくするために、首から腰までひとつひとつの小さな骨が24個積み重なっています。骨は単独では姿勢を維持することもできず、立つことさえできません。筋肉が支えることで、立つことができ、運動をすることで、身体は血行や新陳代謝が良くなり、骨も筋肉も強くなり、丈夫で健康な体を維持できるのです。ここにバランスの取れた食事を行うことで、さらに骨は強くなります。

しかし
鍼を抜いてから2,3日はリンパ球が鍼を刺した局所に集まってきます。鍼は0.2㎜ほどの細いものですが、筋肉に微細な傷がつきます。それを修復しようとしてリンパ球が集まってきます。
これは傷ついた組織を修復しようとする、生まれつき持つ自然回復力で起こります。

鍼はこのような自然回復力を利用して組織を修復し、自ら治る力を利用して肩こりや腰痛などの疾病を改善してゆきます。
畑を作るときに、土をまず柔らかく耕します。水をやって肥料を与えるということを繰り返してゆくうちに、栄養分が豊富でよく肥えて柔らかく弾力のある畑になります。
鍼治療は、この畑を作るのに良く似ています。

鍼治療に関するリンク集

筆者
はらだ鍼灸整骨院 院長 原田浩一
"はり・灸と健康は仲がいい"

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