鍼治療後に痛みが悪化するのはなぜか?

鍼治療後に痛みが増すことが稀にあります
これには二つの原因が考えられます。

原因1:一時的なもの

一つ目が、これらの症状の多くは一時的なものです。

筋肉は強く収縮しようとしています。何度和らげる刺激を与えても収縮しようとします。これを形状記憶と言います。固く縮まった状態が正しいと身体が思い込んでいる状態です。例えば、猫背を矯正した時に、その場は楽になるのですが、少し時間がたつと猫背の状態でいる方が楽になるのと同じです。

筋肉を緩める治療に対して緩み切れずにさらに元に状態に戻ろうとする反応です。この場合、もう少し鍼治療をして、さらに緩めると改善するケースも多いのですが、筋肉が粘土のようになっていると、それ以上の刺激が難しいので一時的に痛みが起こるケースが有ります。

加えた刺激に対し反応しきれず、形状記憶がはたらき、回復しようとしたが再び収縮したものです。痛みはそのために一時的に起こっています。これは、一日から二日でおさまります。症状が悪化したものではありません。

回復反応は個々によって異なりますので、もし痛みが発生した時は、我慢せずすぐにご相談ください。
鍼の刺激や刺激量を調整し、個々に合わせて、痛みの発生しないように対応します。

次の二つ目を説明していきます。

原因2:麻痺した感覚が呼び戻された場合


鍼治療により、マヒした感覚が呼び戻され、時に痛みが激しく発生する場合があります。
これはマヒして痛みの感覚がなくなっていた神経が回復することによって、一時的に神経が過敏になり、血管周囲の炎症を起こし、その時に痛みが発生します。
筋肉を包んでいる筋膜にも炎症が起こり、はれぼったく感じることもあるでしょう。

感覚がマヒする理由

では、なぜマヒしていたのでしょう?

身体は痛みを強くすることによって、使ったり動けなくし、それ以上酷くなることを防ぎます。これは、身体が自然に行う回復運動で、人間に備わった自己防衛にスイッチが入っていた状態です。

こうなると私たちは、薬を飲んだり治療したり安静回復をはかります。そうすることによって痛みが緩和します。しかし、痛みが緩和されても、あくまで痛みを抑制した状態であって、治った状態ではありません。この状態で治ったと勘違いをして使い続けることで、筋肉の深層が固まっていき粘土化します。こうなると、痛みは緩和された状態で落ちつき、表面化しなくなります。この状態をマヒした状態と表現しています。

鍼治療でマヒした筋肉の中の水分や血液が動き出すと、痛みが増すことがあります。

全く動きが無いマヒした筋肉に鍼をすることによって、筋肉の収縮に変化が起こったり、停滞した古い水や汚れた血液が動き出します。動き出すと、麻痺した感覚が正常化しようとする過程で痛みが発生することがあります。新しい血液や水分が入ってきて患部を修復しようとするのですが、長く停滞した状態をとどめようとする働きも強く、一度の鍼治療では改善されないことがあります。

これは生体が正しい状態に回復しようとする中で起こる痛みです。このような時は、患部の血液や水分が新しく入れ替わるようにすることが大切です。長く汚れた川をきれいにするようなものですから、ある程度の時間がかかります。自然回復運動の働きを高めることによって、改善していきます。そのために鍼治療の間隔を開けずに治療を行っていきます。

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筆者
はらだ鍼灸整骨院 院長 原田浩一
"はり・灸と健康は仲がいい"

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