『身体の冷えは、毎日の食事とストレスの影響を受けている』
というと、みなさん不思議に思われるでしょう。
なぜ、食事とストレスが、身体の冷え(特に手足や下半身)に影響するのでしょうか?
ここでは、冷えの原因と対処法を
「食事」「ストレス」「就寝時の環境」「服装」
の4つにわけてお伝えしていきます。
①食事(味の濃いおかずや生野菜、果物を食べる)
しょうゆや砂糖が多い味の濃いおかずを明らかに偏って毎日多く食べる
味の濃いおかずは、身体の水分代謝を悪くし、身体の中に古い水が停滞しやすくなります。
古い水は、ため池のように溜まります。水は、高いところから低いところに流れるため、下半身、特に足や指先を冷やすのです。
そういう方を舌診すると、舌上(下の上)に白い苔が多く、べったりとついていることが多いです。
正常な状態は、天花粉をまいたように、苔は舌全体にまばらに広がり、舌本体は淡紅色にみえます。
真っ白い舌の方は、ご注意ください。
土から上の太陽に向かって生えている食物を多く生で食べる
太陽に向かって伸びていくもの、例えば、ナスやトマト、バナナなどの生野菜や果物は、身体を冷やします。バナナやマンゴー、パイナップルなど南国の果物は、身体を冷やします。
例外的に、りんごはくだものですが、お腹を調整する働きがある酵素を多く含むため、冷やす心配はいらず、昔から病気の時などに摂ることが多いです。
逆に、土の中に向かって生えているもの、芋やだいこん、にんじん、ショウガ、ニンニクなどの根菜類は、身体を温めます。
明らかに身体を冷やすものの食べ過ぎは、身体を冷やします。
冬に野菜サラダだけを食べることを続けるなどが、冷えの原因になります。
これらの身体を冷やす食べ物も温めて食べることで、身体を冷やさずにとることができます。
根菜類は、基本的に身体を温めます。
お腹を温めたい時は、ショウガをとると効果的です。ニンニクは全身を温めます。昔から寒い時に煮物が多いのは、日本で培った知恵といえるでしょう。
②ストレス
ストレスをためることは、身体を冷やす大きな要因の一つになります。
ストレスは、身体の中の気の流れ、特に肝気が鬱滞(うったい)すると、全身の気血水の流れが停滞します。気は血を推動し、水分を代謝させます。
気の流れが良い時、すなわち、夢や希望、楽しい、うれしい、穏やかな気持ちなど明らかにプラスの感情は、血液の巡りを良くして、水分代謝を潤滑にします。
気の流れが悪い時、イライラ、焦り、不安な時などは、血液の巡りや水分代謝が悪くなり、身体の中のものの流れが停滞します。ストレスを長く受けつづけることで、身体の中の気血の流れが悪くなり、流れず停滞することで身体が冷えるのです。さらに、流れが停滞すると、寒さの影響を明らかに受けやすくなります。
ストレスに対する対応は、疲れていても毎日10~15分で少し汗がにじむほどの軽い運動をお勧めします。
運動をすることで、吐く息が高まり、副交感神経を刺激し、交感神経から副交感神経を使う状態に変換できるからです。副交感神経は、リラックスしているとき、おだやかなとき、ゆっくりしているときに使われる神経です。
汗が出るころには、身体の気血水の流れが良くなり、身体の老廃物が排出され、さらにセロトニンが分泌されますので、心がおだやかに、気持ちがくつろぐのです。
疲れて帰ってきたときは、交感神経が優位になってますので、身体が緊張し、疲れているように感じます。しかし、実は疲れているのは身体ではなく、神経が疲れている場合が多いですので、運動することで副交感神経優位になる事は、もっとも手っ取り早いストレス解消法なのです。
③夜寝ている環境
夜寝ているときは、体温が起きているときより冷えている状態です。気血水の流れも一日の中で最もゆったりとしています。血液の流れがゆったりとしているということは、細菌やウイルスを発見し攻撃する白血球もゆっくりと流れていきますので、昼間に比べて対応が鈍く、遅くなります。
寝ているときは、起きているときよりも、熱さ寒さに弱いため、身体に対してよい環境を作っていく必要があります。
一つがお腹を出したり、足がはだけたりしない服装です。
もう一つが、お腹に布団をかける、足を出しっぱなしにしない習慣です。
そして最後に、エアコンです。
エアコンの風が直接あたらないことが重要です。
風は、体表の皮膚のキメをこじ開け、熱さや寒さ、乾燥、湿気を身体の中に招き入れます。泥棒にドアのカギを開けてやるようなものです。
身体はバリアをもっていますので、寒いだけだとそう簡単には身体に侵入できず風邪もひきにくいのですが、風があたり身体の中に招き入れることで、身体のバリアが破られ、短時間でも多くの寒邪を招き入れてしまいます。
部屋の温度は、肩、お腹や足に布団をかけた状態で、ご自身にとって暑すぎず、寒すぎない温度に安定させることが大事です。
④寒さをまねきいれる服装
明らかに寒いのに、首筋や背中、下半身が冷える服装は身体を冷やす原因になります。
寒邪は、肩や背中から侵入します。首筋や背中が冷えて正気が弱ると、寒邪が体表を覆い、全身の寒気をひき起こします。
腰やお腹が冷えていると、寒邪はさらに侵入しやすく体調の悪化を短期間で引き起こします。ですので、腰やお腹が冷えている状態は寒さに対する抵抗力が弱いと言えます。
対処法としては、身体と外気の間に薄い空気の層を作ることですので、足元まで羽織るものなどを持ち歩くこととなります。ただし、羽織っても寒く感じる場合は、より暖かく感じるものにかえましょう。
大事なことは、寒さを感じた時に温かくするように細かく対応することですので、覚えておいてください。