患者様の病態分析

[五十肩]腕が上に挙がらないので困っています。

初診

2018年3月12日  
49歳 女性

現病歴

kata_illust
左肩は、通常の痛みはおさまってきたのですが、腕が上に挙がらないので困っています。肩が固まってしまったのか、肩を水平より、すなわち90度よりやや下、それ以上挙げることができません。 

2017年6月くらいに整骨院、11月から整形外科に言っていたのに、こんなになってしまいました。整形外科では手術をすすめられ、大きい病院の紹介状も書いてもらいました。リハビリの度に理学療法士の方にも手術をすすめられ、精神的にも参ってしまいました。
夜は少々痛みがありますが、眠れています。

右肩は2016年夏頃、腱板損傷と五十肩と診断されました。今は腕も上がり、日常生活も困らないのですが、腕を上げるとゴリゴリという音がして、とても気持ち悪いです。

最近腰も重だるくなっています。整形外科では痛み止めと胃薬を服用しています。10年ほど前から母の看病で疲れ、少し鬱の症状が出ます。心療内科で薬をもらっています。

手術をするのが嫌でたまらなく、ネットで色々調べて当院のホームページに行き当たりました。藁を掴む思いで、来院いたしました。

現象

現代医学的な方法による病態の把握と、
中医学基礎理論を用いる中医学弁証による全身状態の把握

現代医学的な把握
byoutai02

  • 左肩 外転挙上自動で80度、他動でもそれ以上挙上することができない。完全拘縮を引き起こしている。
    下記の筋肉に筋緊張を認める
  • 上肢帯筋、三角筋、棘上筋、棘下筋、大胸筋、小胸筋、菱形筋、僧帽筋、頸部筋群、腰部筋群、脊柱起立筋

中医学による病態の把握
byoutai04

    ~舌診~

  • 舌体
  • 紅舌
  • 舌苔、厚膩苔で色は黄色。痰濁内停(これは、水分の代謝が悪くなり、体内に水分が長く留まり、古くなって体内水分が粘り、汚れて熱せられていることを示す)。
  • 舌下静脈の怒張、著明(脈絡が網目状になっており怒張がある。このことは、体内の血流が慢性的に非常に悪化していることを示す。
  • tongue out

    ~脈診~

  • 毎分、 脈
  • ~気血津液弁証~

  • 気滞証
    気の流れの停滞により、推動力が低下し、血液と体内水分の流れが悪くなり、それらの停滞を引き起こしている。
  • 痰湿証
    苔は舌全体に厚く広がり、黄色く粘っこくなっている。
    このことより、身体内の水分代謝が悪化し、慢性化して長期にわたり、身体内の水分は汚れて粘り熱せられ、重度の水分代謝障害があると判断する。
  • 瘀血証
    身体内の血液の流れが悪化し、慢性化していると判断する。

方解

byoutai09

瘀血証であり、湿証である。全身の血流と水分代謝が慢性的に悪化している。気の流れも低下している。五十肩のエネルギー(求心性萎縮)の強い時期に適切な治療が施されていない。
または運動療法の不足及びご自身の体質(瘀血及び水湿)により完全拘縮が引き起こされた。薬を飲んだり治療に行っていれば良いというわけではない。
五十肩のエネルギーに合わせて、一人一人治療方法が異なる。エネルギーが強い人は通院頻度を高め、筋緊張の改善、運動療法を沢山行なって、五十肩のエネルギーに対抗しなければならない。
動かすことで五十肩のエネルギーを弱体化することができるからだ。同時に体質改善も必要である。
瘀血証や水湿症の人は筋肉や関節の動きが固まりやすく、改善しにくいのである。食事療法や運動療法をきちんと指導する必要がある。
これらが全て適切に行われないと、エネルギーの強い人は拘縮を引き起こしてしまう。治療はこの逆をやっていけばいいのだが、拘縮してくる人があまりにも多いのは残念だ。

鍼治療により、全身の血流改善を行います。更に水分代謝を促進します。気の流れをスムースにして、五臓六腑の働きを高め、自然回復力を高めます。全身を巡る気・血・水の流れを良くすることで、局所の痛みである上腕部の改善を促進させます。緊張、萎縮した筋肉をひとつひとつ丁寧にほぐして行きます。全身の気・血・水の流れを改善するツボは以下の通りです。

合谷・太衝:気血の流れを改善
足三里・豊隆・三陰交:水分代謝を促進

ストレスを緩和し、全身の気・血・水の流れを改善し、自然回復力を高めることが部分である痛み、すなわち五十肩という症状を治す決め手なのです。

公開日:2018年3月23日 更新日:2018年3月19日 ©