患者様の病態分析

2017年11月30日

[頸椎ヘルニア] 女性

[神経痛]首から背中、上腕から肘、手首にかけての電気が走ったような激しい痛み

初診

2018年1月22日  
52歳 男性

主訴

首から背中にかけて、さらに上腕、肘、手首に電気が走ったような激しい痛みが起こり、手指がしびれ、握力が3分の1以下に低下し、手に力が入らなくなった。

診断名

胸郭出口症候群(頸椎症の疑いあり)と判断する

随伴症状

  • 首・肩・背中の凝り

現病歴

horse一日中、座って朝から晩までパソコンに向かっている仕事をしております。ですので日頃から常に、首、肩、背中が凝っております。趣味で馬術競技(レイニング)を毎週土日、10年程続けております。

朝起きた時、背中の肩甲間部に鈍い痛みが起こり、
左腕がとても重くなりました。

昨年の12月の半ば、朝起きた時、背中の肩甲間部に鈍い痛みが起こり、左腕がとても重くなりました。年が明けて正月より、馬術の練習を打ち込んで数日間行いました。
その後、いろいろな症状が起こり出しました。

  • 首の位置(向きを変える)によって背中及び上腕の後側から前腕外側、手首にかけて電気が走ったような激しい痛みが起こります。
    痛みが起こると、手の指がじんじんとしびれてきて(特に中指と薬指)、手の感覚がなくなり、だんだん力が入らなくなります。 
  • 車を運転していると、15分位で背中が強ばって、肩、腕にかけて感覚がなくなってきます。
  • 頭を洗った後、左手にドライヤーを持って、頭の後ろに回した状態で、頭を下げると、肩と肘と手首に鋭い痛みが走ります。
  • 仰向きで寝ると首が痛いので、左上、横向きで寝るようにしていますが、夜中に仰向きになるとズキッと痛みが走って、目が覚めます。

首が痺れて動かなくなることが、年に1,2回ありました。

neck馬術は、1時間程度で、あまり体力は使いませんが、馬がぬかるみに足をとられたり、こけかけたり、驚いて跳ねたりすると、肩と背中に力が凄く入ります。その後数分間、首が痺れて動かなくなることが、年に1,2回ありました。
1月13日に風邪をひき、1月22日に10日ほどかけて、やっと治りました。だんだん手の痺れが酷くなり、握力が半分以下に低下し、力が全く入らなくなりました。最初は脳梗塞かと思ったのですが、痛みが酷いので、これはもうすぐに当院に行った方が良いと思い、1月22日に急いで来院いたしました。

現象

現代医学的な方法による病態の把握と、
中医学基礎理論を用いる中医学弁証による全身状態の把握

現代医学的な把握
byoutai02

頸椎の徒手検査

前屈痛→背中の肩甲間部がつっぱって痛い。
後屈痛→肩引きのあたりにビリビリという痛みが走る。
左回旋痛→左上腕後側が痛む。
右回旋痛→痛みは起こらない。
右側屈痛→左の肩がつっぱる程度の軽い痛み。
左側屈痛→上腕の後ろから前腕の外側、中部までがじんじんする。
上腕と前腕が痺れてくると、次第に指先がじんと痺れ、感覚がなくなってくる。

  • 起立しようとすると、左足首内側が痛む
  • 左足の踵をつけてつま先を外側に開こうとすると、左足首内側が痛む
  • 左足首内顆及び三角靭帯の周囲に腫脹を認める(触診による圧痛なし)
  • 屈筋肢体の肥厚を認める(触診による圧痛なし)
  • 長母指屈筋の上3分の1の部分に強い筋緊張と圧痛を認める
    (足弓を保持する、足の指の底屈及び足の回外を行う)
  • ライトテスト(陽性)
    左の腕を外転し、90度以上挙げると脈の拍動が(肘をまげなくても)消失する。
  • 3分間挙上テスト(陽性)
    左腕を挙上すると、すぐに脈の拍動が消失する。
  • スパーリングテスト(陽性)
    左への側屈は、わずか20度が限度で、上腕、前腕への痛みが増強する。
  • エデンテスト(陰性)
  • 触診で、著しい筋緊張を下記に認めます。

  • 左頸部筋群及び左肩の僧帽筋
  • 頸部より、肩甲骨外側の上部にかけて、さらに菱形筋
  • 上肢帯筋及び上腕・前腕の筋群

中医学による病態の把握
byoutai04

    舌診

  • 舌体
  • 老舌

  • 舌色
  • 紅舌

  • 舌苔
  • 厚膩苔で色は黄色。痰濁内停
    これは、水分の代謝が悪くなり、体内に水分が長く留まり、古くなって体内水分が粘り、汚れて熱せられていることを示す

    tongue out

    脈診

  • 毎分72 滑脈
  • ~臓腑弁証~

  • 特になし
  • ~気血津液弁証~

  • 痰湿証
    苔は舌全体にやや厚く、黄色く粘っこくなっている。
    このことより、身体内の水分代謝が悪化し、慢性化して長期にわたっていることが分かる。体内水分が長期間留まると、水分は汚れて汚くなる。寒がりとか、暑がりとかあるように、乾燥や湿気の多い体質もあるのである。この水分が、筋肉の中に留まると、筋肉は粘土のようになり、弾力を失う。
    血流も悪くなり、自ら行う正常な筋肉への自然快復が障害される。
  • 瘀血証
    身体内の血液の流れが悪化し、身体のある部分で血瘀の状態が慢性化していることが分かる。

方解

byoutai09

パソコンに座り一日中、頭脳労働を行なっている。
首・肩・背中が常に凝り固まっている。1週間に2回の馬術の練習は、気晴らしにもなり、健康のためにも良いが、疲労が溜まった身体で競技を行うと筋肉に負担がかかり、逆に筋肉の緊張や疲労を引き起こす。
特に片手で手綱をもつ左腕から首・肩・背中にかけての筋肉の緊張は深層まで凝り固まっている。これは疲労が少しずつ積み重なっていたもので、首および胸郭・首から肩甲骨にかけての筋肉・肩甲間部の筋肉(菱形筋・脊柱起立筋)の深層まで凝り固まらせた。

特に頸部および胸郭、首から左肩甲骨外上角にかけての筋群の強力な筋緊張は頸部で神経圧迫を引き起こし、首から背中そして上腕から肘そして手首の痛みおよび手指のしびれ、さらに握力の低下をもたらしている。
痛みは、菱形筋および脊柱起立筋の深部まで凝り固まっているために引き起こされている。握力の低下は、筋緊張が深部にわたり慢性化し、それらによる神経の圧迫が重度であることを示している。

治療方針

~全身的な視点から診た鍼灸治療~
byoutai03

~握力の低下を考慮した治療~
握力の低下が正常時の3分の1以下に達しており、神経圧迫が重度であることを示している。現代医学的所見で原因となる筋肉を示したが、これらの筋群を丁寧に鍼で緩めていくことが、この病態の改善の決め手となる。

~神経圧迫は長引かしてはならない~
握力の低下を招いている神経圧迫は、長引かしてはならないが、深層の筋群まで緊張を緩めないと、この神経圧迫は取り除けない。
一刻も早く、深層の筋群へ鍼を進鍼させる。そのためには、治療間隔を密にしてあまり日にちをおいてはならない。
握力の改善が見られるまでは、治療間隔を中2日とし、3日ごとに治療を施すことが好ましい。
例え1回の治療時間がどれだけ長くかかっても、病態把握で指摘したすべての筋肉を緻密にかつ深部までほぐしてゆく。

鍼で筋肉をほぐすということは、手でトンガを持って畑を耕すこととよく似ている。荒れ果てた硬い畑を耕すことは、とても大変なことである。必死でトンガを入れて畑を掘り起こしても、畑全体を深く掘り起こすまでは時間を要することは誰にでも想像できることである。
少し掘っては、水をやり、肥料をやって緻密な作業を積み重ねて深い所まで柔らかくなった畑が始めて作られる。

鍼の作用
鍼を刺入すると、その人の筋肉は鍼の強い弛緩作用で緊張が緩んでゆく。
鍼を抜いた後も、リンパ球が一斉に流れてきて、修復するまでの間、2、3日留まり、自らの血液で筋肉を修復させてゆく。
有難い自然回復力は、人間には常に働いているのである。
頸椎症の疑いがあり、否定することができない。
頸椎がどのような状態であるか、いつでも診てもらえるように提携先の整形外科にも紹介状を既に書いた。
いずれにしても、全力で治療を進めてゆく。

治療経過

患者様のお声をそのまま記します

第1回目の治療

痛みの強さに変化はありますか?
痛さに変化はありません。まだ痛いです。

第2回目の治療

痛みの強さに変化はありますか?
握力が3分の一以下で全然手に力が入らなかったのですが、手が強く握れるようになりました。
~私の触診~
私の手を患者様の左手で、できるだけ強く握ってもらいました。
握力は当初、右手の三分の一以下だったのですが、半分ぐらいまで回復していることを確認しました。これは非常によい経過で、想定を越えた回復です。通常、握力の回復には10回以上の治療をおこなった段階で始めて見られるものです。
当クライアントの回復力は、めざましいことを示しており、特異であるとも言える。
心配した頸椎症からくる神経圧迫はほとんどなく、例えあったとしても、軽度であり握力の低下を引き起こしている神経圧迫は筋肉であることがより想定できる。想定より早い回復が可能かも知れない。

第3回目の治療

痛みの強さに変化はありますか?
背中の痛みはほとんどなくなり、痛みを感じるのは肩から手首だけになってきた。
手は、大分強く握れるようになりました。
~私の触診~
背中の硬結が前回の治療でほとんど取れ、今日は硬結を探す程しか確認できなかった。背中の痛みは、首からの神経痛ではなく、日常の凝りの上に馬術競技の負担が重なったものであると判断できる。
握力は、私の手を握ってもらうと痛い程まで改善した。正常時の2/3まで改善したと言える。頸椎の損傷を心配したが、順調な経緯である。

私見

bensyou

来院当初、手の握力が著しく低下していた。私の手を力一杯握ってもらったが、私が力を入れなくても、全く痛くない程で、正常時の1/3以下に低下していたと思われる。
通常握力が60kg程あるそうだが、20kgもないように感じた。当然ここで、頸椎の損傷を考えたが、とにかく治療をすすめることにした。

MRIなどで頸椎の椎間板が脊髄を圧迫していて、うわっと思う程の状態であっても、握力の低下や下垂手などの神経麻痺が改善し、日常生活に負担が無い状態まで改善することを何度も経験している。
当院では少しでも疑わしきは、調べろで、提携先の整形外科でレントゲンやMRIを撮ってもらうようにしているが、今回は検査に行く前に症状が改善されるかもしない。症状が改善された後で、念のため、レントゲンを撮るのであれば、患者様の精神的な負担もより軽減されたものとなるであろう。

症状が重い場合は、手術が必要となり提携の整形外科に紹介をするのだが、今回は早めに来院いただいたこともあり、改善が見られてよかった。

[左足首及びアキレス腱の疼痛](ムエタイの練習で8ヶ月前に傷めた)

初診

2018年1月30日  
53歳 男性

主訴

左足首及びアキレス腱の疼痛

診断名

長母指屈筋及び長趾屈筋の挫傷

随伴症状

  • 起床時、立つと左足首の内側が痛む
  • 歩行時、左アキレス腱の疼痛
  • 左足首を外に開こうとすると左足首の内側が痛む
  • 腰痛

現病歴

deec2d2988275cc41953bbcac9967dc9_s大学で空手道を初め、その後キックボクシングを行いました。ムエタイの世界チャンピオンと闘い、敗退をきっかけにムエタイを学び、現在タイでジムを開いて、ムエタイを教えております。中国拳法など数々の達人から武道を学び、武道家としての道を歩みながら、後輩を育てております。

朝立ち上がって体重をかけたら、
立ち上がれないことがありました。

去年の5月、ムエタイの練習中で選手を鍛えるために、私の左足首の内側で選手のすねを何度も(100回以上)蹴りました。外側で蹴ると強すぎるので、怪我をさせないために内側を使ったのです。その後、左足首をぶつけたり捻ったりすると、左足首の内側が激しく痛みます。朝立ち上がって体重をかけたら、立ち上がれないことがありました。左足の踵をつけて足の先を外側に回すと、足首の内側が痛みます。4日前の練習中に左足首の内側が当たり、歩行時アキレス腱が痛みます。

ムエタイの練習を通して、
心を研くことの大切さを知りました。

muetai昨年の5月より現在まで8ヶ月間、このような状態が続いております。また、1年前に130㎏の相手を右手で持ち上げて、何度も投げ身体を鍛えていたのですが、その後右腰が痛みます。
ムエタイの練習を通して、武道家として強いだけではなく、心を研くことの大切さを知りました。3年前、中学の教員を辞めて、現在志ある若者の中で、心技体揃った本物の心ある武道家を育てるため、タイに移住して、日本とタイを行き来しながら選手を育てております。

現象

現代医学的な方法による病態の把握と、
中医学基礎理論を用いる中医学弁証による全身状態の把握

現代医学的な把握
byoutai02

  • 起立しようとすると、左足首内側が痛む
  • 左足の踵をつけてつま先を外側に開こうとすると、左足首内側が痛む
  • 左足首内顆及び三角靭帯の周囲に腫脹を認める(触診による圧痛なし)
  • 屈筋肢体の肥厚を認める(触診による圧痛なし)
  • 長母指屈筋の上3分の1の部分に強い筋緊張と圧痛を認める
    (足弓を保持する、足の指の底屈及び足の回外を行う)
  • 長趾屈筋の上3分の1及び中央部に強い筋緊張と圧痛を認める
    (休脚では指を曲げ、足を底屈に曲げる、足を回外させる。立位では足弓を保護している)

中医学による病態の把握
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    舌診

  • 舌体
  • 良く動き、軽く締まった感じ。(特に異常はなし)

  • 舌色
  • 紅舌(寒熱を問えば、どちらかといえば熱証であることが分かる)

  • 舌苔
  • 全体に広がり、やや苔が多い

    脈診

  • 毎分60 滑脈
  • tongue out

    ~臓腑弁証~

  • 特になし
  • ~気血津液弁証~

  • 痰湿証
    苔は舌全体に薄く広がりやや厚めである。身体内の水分代謝が少し低下している。舌体の状態が良いので、ちょっとした食事療法で改善できる程度。

方解

byoutai09

~足首の痛い部分が主な要因ではない~
視診で、左足首の内顆及び三角靭帯の周囲の明らかな腫脹、及び屈筋支帯の肥厚が認められる。しかし、触診による圧痛はない。
左足首内側の周囲は、血行や代謝が悪くなり、むくんで腫脹しているので、当たると痛いが、今回の主訴の主な要因ではない。
この部分は代謝が悪くなったため、むくみが継続しているだけである。

~痛みの主な要因は長母指屈筋及び長趾屈筋にある~
主な原因は長母指屈筋及び長趾屈筋の慢性的な緊張・萎縮にある。
筋肉の作用からみて、また筋の起始停止・走行からみて、この筋の腱は足の内側を走り、足底へ出て拇指の末節骨底に終わる。
痛む部位は、これらの筋の走行部位であり、作用からみても原因はこれらの筋にある。
また腓腹筋も慢性的に萎縮・緊張している。足の内側の痛みの主な原因は、この2筋の慢性的な筋緊張である。

治療方針

~全身的な視点から診た鍼灸治療~
byoutai03

根本原因に対し治療を行えば痛みは改善する
足首の痛みを引き起こす主な原因であるこの2筋の筋緊張を改善させる。腓腹筋の下にあり、深層にある筋肉なので丁寧に浅層からほぐしていく。決して激しい手技を用いない。柔らかく浅層から丁寧にほぐし、深部までほぐしていく。

痛みの部分には根気よく対処療法をつづけるだけでよい。
足首の屈筋支帯の肥厚や内顆及び三角靭帯の周囲の腫脹は、丁寧にマッサージを続け、その後にボルタレンテープなどの炎症をとり、血行を促進するものをはり続けた対処療法を続けることで、対処的にそこのむくみがとれるまで、根気よく続けることで改善される。当たっても痛くなくなる。

そのために全身療法としては、全身の血行を促進させ、水分の代謝を促進させることにある。

治療経過

患者様のお声をそのまま記します

第1回目の治療

痛みの強さに変化はありますか?
足首の痛みがまったくなくなりました。とても不思議です。
2月7日にタイに帰るので、それまでに何回でも来ますので、根本的な治療をお願いします。

次回は2月1日の予定です。

私見

muetai

競技でいう「勝つか負けるか」にこだわらず、本当の強さを求め、世界を旅し、武道家としての道を歩もうとされています。
本当の強さとは、身体能力や技が磨き抜かれていて、そこに、心が備わった状態だと私は思います。
当クライアントは、心と技を磨いているうちに、それらが合致したとき、自分の身体能力や、技術以上のものが、繰り出せるようになったそうです。

心が備わるとは、腹ができている人間のことで、良心が磨かれているという意味であると私は思います。ご自身は、武道家としての道を限りなく追求しながら、心ある本当の武道家を育てることが、ご自身の仕事であり夢であると言います。私自身、お話をお聞きしていて、多くの共感するものがありました。武道もスポーツ化され、本物の武道家が少なくなった現在、大変に貴重な存在だと思います。

今回の負傷部位の障害を改善して、万全な体調で、志を達成して欲しいと思います。タイと日本を行き来され、次回日本に来られたときに、また来院されたいとのことでした。万全の体調を整えるためにまた喜んで全力で診させて頂きたいと思います。

[非定形型顔面痛]現代医学的な方法による病態の把握と、中医学基礎理論を用いる中医学弁証による全身状態の把握

初診

2017年12月12日  
55歳 女性

主訴

非定形型顔面痛

随伴症状

  • 首、肩の凝り
  • 腰痛

現病歴

528423今から5年程前、50歳の時、突然、左奥歯辺りが痛くなりました。歯科で奥歯を抜歯したが、痛みは良くならず、焼けるような痛みがのこりました。耳鼻科や神経内科で診てもらったが異常なしと診断されました。それから心療内科に行きました。そこでは抗うつ剤・安定剤・入眠剤が処方されました。痛みは少し柔らぎましたが、根本的には激しい痛みが続き、何も改善されませんでした。

ペインクリニックで
「非定形型顔面痛」との診断を受けました。

痛みが、どんどん増して焼け付くような痛みが続いて、もう一生治らないのではないかと思っていました。歯科・神経内科・心療内科に行きましたが、まったく改善されず、痛い時は家事さえできません。
あちこち転医しながら、最後にペインクリニックに行きました。ここで始めて「非定形型顔面痛」との診断を受けました。

治療は、星状神経節ブロックと抑肝散の漢方薬を処方されました。
この処方を受けて以来、痛みが少しずつ良くなりつつある感じがします。しかし以前より左の腰痛はあったのですが、ここ1年ほど前より、左半身全体に痛みが広がって、足の冷えも強くなってきました。そこで、家の近くの病院の痛み外来に行きました。そこでは、リリカを処方されましたが痛みはまったく改善されず、現在もその症状が続いております。

心配することが長く続き、不眠がちになりました。

616145今年は帯状疱疹にもなりました。
左上顎と口腔の上左奥歯のあたりの歯茎の痛みは、チリチリ、ジンジンし、家で一人でくつろいでいると酷くなります。
寝る前は、痛みがとても強く感じます。
また肩や腰を揉むと、顎の周りがチリチリと神経痛のように痛みます。
何かに集中していると気にならないときもありますが、その時に、首を揉んだりすると、ジーンと痛みが顎に伝わります。
首・肩は、いつも凝っております。

41歳で大阪に主人の転勤のため帰って以来、この10年は仕事(家でプリント添削などの内職)もあり、また趣味で英会話をやっており、英会話はすきでしたが、その役員もしていたので、その役員の仕事は私には責務がとても重く嫌なことでした。
3人の子供がおり、大学受験や高校受験などで心配することが長く続きました。不眠がちで、リーゼ(安定剤)を常に服用しておりました。

根本的に痛みがやわらぐ治療方法がないものかと
原田鍼灸整骨院に来院しました。

5年間続いているこの顎の痛み(口腔の左奥歯上顎の周囲の痛み)と、左半身全体に広がる痛みが出てきて、足は氷のように冷たく感じ、足が冷える症状が続いております。このような身体の状態なので日常生活がもっと楽に普通にできるようになるまで、痛みが改善できたらと考えておりました。もっと日常生活の質を上げたいと思っておりました。根本的に痛みがやわらぐ治療方法がないものかと思っておりました。
そんな折、主人が腰痛や腰仙関節の痛み、身体の歪みの改善のため通院している当院に行くことを勧められました。
そこで、12月14日(木)に当院に来院いたしました。

既往歴

08694640歳の頃より、不安証、不眠症などで心療内科にかかっていました。
35歳から40歳の頃、PTAの役員をしておりました。
役員をすることはとても苦手で、嫌でした。
長男が公立の中学受験で中高一貫の6年制に受かりました。しかし、地元の中学でないことと、やがて主人が転勤することなどを考えるととても不安でした。
主人は仕事が忙しく仕事に没頭していたので、子育ては一人でやってきた感じがいたします。
父は20歳の時他界し、30歳の時、母が亡くなり、相談する人がいなくなったのも不安が続いた原因と感じています。

現象

現代医学的な方法による病態の把握と、
中医学基礎理論を用いる中医学弁証による全身状態の把握

現代医学的な把握
byoutai02

  • 現代医学的な病態把握
  • 首、肩背筋群の筋緊張著明。
  • 腰部および臀筋群の筋緊張著明。
  • 腰を押圧すると筋緊張が著明で、本人も痛みを感じる。
  • 左臀部の中殿筋・梨状筋のあたりに著明な筋緊張を認める。

中医学による病態の把握
byoutai04

    舌診

  • 紅舌

  • 厚膩苔で色は黄色。痰濁内停(これは、水分の代謝が悪くなり、体内に水分が長く留まり、古くなって体内水分が粘り、汚れて熱せられていることを示す)。

  • 舌下静脈の怒張
  • 著明(脈絡が網目状になっており怒張がある。
    このことは、体内の血流が慢性的に非常に悪化していることを示す。)

  • 舌尖紅
  • 心火の亢盛を示す(自分の感情よりも、理性に重きを置いて行動する傾向にある)

    脈診

  • 渋脈(全身の血液の流れが悪いことを示す)
  • 90毎分、滑脈(脈が早く、黄膩苔であることから、舌診と合わせて、血液が熱せられていると判断できる)
    顔が赤く熱感がある。足については、本人は氷のように冷たいと感じているが、私が触診してみると、足の先はまったく冷たくはない。
    証は上熱下寒である。体内の陽気、すなわち熱量は十分であり不足していないが、熱が上半身に偏り、下半身に熱が不足している状態である。これは熱の分布に偏りがあることを示す。

    tongue out舌尖が紅(舌の先が赤い)で、心火が亢盛している。心火が亢盛すると、心火が下って腎陽を温め、腎水を蒸騰気化できなくなり、心陰が養われず、心陽を抑えきれなくなる。
    体内の火(心火)と水(腎水)の関係がうまく行かなくなり、心腎不交となる。

    治療法則は交通心腎である。

    心火を瀉し、腎陽を温め、心と腎の交通をはかる。
    経穴は、手の少陰心経の栄穴である少府に鍼で瀉法を施し、心火を瀉し、腎兪に灸を行う。

方解

byoutai09

舌診・脈診より体内水分が長く停滞し、粘って熱せられ汚れて、体内水分がドロドロになっていることが分かる。
重度な痰濁証であり、証は痰濁内停である。

さらに舌下静脈の脈絡の怒張が激しく、重度な血瘀の状態である。すなわち、体内の血液の流れが慢性的に悪化していると判断できる。心火亢盛と肝欝気滞を引き起こしている。

心火亢盛は、不安を増長させ、理性的な判断を低下させる。

また上熱下寒を引き起こす。

肝欝気滞は、感情の起伏が激しく、怒りやイライラをもたらし、精神の抑鬱状態を引き起こす。

舌脈診より熱証であり、体内の陽気、すなわち熱量は十分に存在する。

しかし足が氷のように冷えるのは、気滞証、痰濁証、瘀血症、上熱下寒のためで、本来の陽気不足のためではなく、著しく全身の血液の流れが傷害され、末梢では血流が停滞しているためである。

治療方針

~全身的な視点から診た鍼灸治療~
byoutai03

    z
    鍼治療で肝気の鬱滞と、心火亢盛を改善させる。

  • 治療法則は、肝気の鬱滞に対しては、疏肝理気を行う。
    経穴は、太衝、合谷、内関を選穴する。
    心火亢盛に対しては、清心瀉火を行う。
    経穴は、少府を選穴する。
  • 気滞、血瘀証に対しては、理気、活血を行う。

  • 経穴は、合谷、太衝、足三里、三陰交を選穴する。
    痰濁証に対しては、足三里、豊隆、三陰交、陰陵泉、合谷、曲池を選穴する。
  • 合谷、曲池で、全身の熱を清熱しながら、水分代謝を促進させる

  • 最も得意な経穴を選穴し、停滞した水分代謝の促進を行う。
  • 肝気の鬱滞と心火亢盛の証を改善させ、精神や感情の安定をはかる。

  • そして身体内の血流の改善や水分代謝の促進を行う。

~非定型形顔面痛について~

非定型形顔面痛は、原因が現代医学的にも明らかにされておらず、専門医も少なく、適切な治療を受けられるまでに何年も要すると言われている。また適切な治療を受けたとしても、痛みは改善するが完治には至らないことが多い疾患であると言われている。

このように改善の難しいこの疾患に対しては、中医学弁証により証をたて、証に基づいて全身的な総合的な病態に対して治療を施す必要がある。そうして悪化した体質改善をはかり、ご本人の生まれながらにして持つ自然回復力を最大限に引き出すことが何より大切なことである。

治療経過

患者様のお声をそのまま記します

第1回目の治療

痛みの強さに変化はありますか?
あります。
歯茎が腫れて出血 → 楽 → またジンジン →出血
腰、鼠径部、膝、肩など連動して痛い
体調の変化はありますか?
あります。
すごく楽になったり、また痛くなったりする。

第2回目の治療

痛みの強さに変化はありますか?
あります。
治療後半日ほど、だるさ、痛さ → その後、一枚はがれたようにだるさ、痛さが軽くなる。
体調の変化はありますか?
あります。
頭がぼーっとしていたのが、ましになる。家事がはかどりやすい。

第3回目の治療

痛みの強さに変化はありますか?
やや軽くなりました。
左脇腹や左みぞおち、左腹筋が、筋肉痛のようになった(今はやわらいでいる)。
体調の変化はありますか?
やや良くなりました。頭の重さ、身体のだるさがやや改善しました。

第4回目の治療

痛みの強さに変化はありますか?
あります。
波があるが、やや軽くなっている。
体調の変化はありますか?
あります。波があるが、頭のボンヤリ感がましになった。

第5回目の治療

痛みの強さに変化はありますか?
あります。前回と同じように一進一退。
体調の変化はありますか?
あります。一進一退だが、どんどん悪くなっていく不安感がうすれてきました。

第10回目の治療

痛みの強さに変化はありますか?
確実に痛みは和らいでいます。
体調の変化はありますか?
痛みが和らいでいるときは、体調もよいです。冷えも和らぎます。日によって、また一日の中でも上がり下がりがあります。

私見

bensyou
非定型形の顔面痛は、現代医学でも原因不明とされており、検査をしても異常がないため、本気で取り組まれず、精神的に追い込まれるケースが多い
しかし原因不明の痛みは、脳の中の痛みをコントロールしたり、認知したりするシステムに変調が起こって、脳の中で痛みが増幅されたり、勝手につくり出されるのだという事が解明されてきました。
痛み止め(鎮痛薬)は、末梢神経に作用する薬であるため、脳の中で起こる痛みには効果はありません。
脳に働きかける薬である抗うつ薬、抗てんかん薬、抗不安薬が効果を発揮すると言われています。

心理療法

一日中、痛みの事を考え続けると、いくら薬を服用しても意識が痛みに集中し、神経をさらに刺激して痛みがなかなか改善されなくなります。
このようなケースはよく見られることで、痛みから意識をそらせる認知行動療法などの心理的治療が大切です。

星状神経節ブロック

頸部にある星状神経節に局所麻酔薬を注射したり、レーザー照射を行います。痛みの悪循環を改善させる効果が期待できます。

鍼灸治療、漢方薬

鍼灸治療や漢方薬による治療も有効です。
鍼灸治療や漢方薬の治療は、体質改善や精神安定に効果があり、原因不明の痛みに対しても効果が期待できます。
効果的な現代医学的な治療方法と併用すれば、さらに効果的と言えます。

~当院での治療方針とその内容~

  • 中医学弁証論治により証をたて、証に基づき、証に対して治療を施し、根本原因に対してアプローチし、体質改善を行い疾病の根本改善を行う。
  • 現代医学的な知識を応用して、全身の筋肉の部分部分の疼痛を改善させる。
  • 交流分析に基づき、自律訓練法などを用いて心理療法を施し、精神状態の根本的な安定をはかり、痛みを改善させる。

現代医学的な治療と併用して当院の治療を行い、自然回復力を最大限に高めて、疾病の根本的な改善をはかり、日常生活に差し支えがないところまで、できるだけ短期間で改善させることを、現在の時点での第一目標とする。
そして、次の目標として、疾病の本格的な根本的改善に取り組んでいく。
改善後は症状が起こらないことを持続させ、心地よく生活にハリがあり、健康が感じられるベストなコンディションを維持していくことをお手伝いしていきます。

[ゴルフ肘]男性 会社員 ゴルフ肘の中医学による病態分析と治療

初診

2017年12月4日  
大阪府池田市在住 男性 会社員

主訴

ゴルフ肘

  • 右肘内側の疼痛
  • 左肘外側の疼痛

随伴症状

  • 疲れやすい
  • 慢性的な腰痛もち
  • 身体が異常なほど硬い

現病歴

ゴルフ肘1.jpg一年前から、ゴルフ肘で常に右が痛かった。
最近、左側も痛くなって、日常生活にも支障を来すようになってきた。ゴルフは我慢してやっています。
慢性的な腰痛持ちで、身体が異常なほど硬いです。
インターネットでゴルフ肘を治してくれるところを探したところ、当院を見つけました。
ゴルフ肘は諦めていましたが、治療に対する評価も良かったので行ってみようと思いました。
12月4日、当院に来院いたしました。

現象

現代医学的な方法による病態の把握と、中医学基礎理論を用いる中医学弁証による全身状態の把握

現代医学的な把握
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    右肘について

  • 右肘内側の痛み
  • 長掌筋、橈側手根屈筋、円回内筋、浅指屈筋、深指屈筋を押圧すると、激しい痛みを生じる。著明な筋緊張を認める。

  • 長掌筋
  • 手首を内側に曲げ、手のひらの内側にある手掌筋膜を緊張させる。

  • 橈側手根屈筋
  • 肘関節での弱い屈曲および回内。手根を内側および親指側に曲げる。

  • 円回内筋
  • 前腕を内側に回し、肘関節を曲げるのを助ける。

  • 浅指屈筋
  • 肘関節を曲げる(力は弱い)。手根の関節と手のひらに近い指の関節を強力に曲げる。

  • 深指屈筋
  • 手根、中手および指の関節を屈曲する。

これらは手首や手根(手のひらを内側に曲げる)および指関節を内側に曲げる筋肉である。

    左肘について

  • 左肘外側の痛み
  • 長短橈側手根伸筋、総指伸筋、小指伸筋、尺側手根伸筋のそれぞれの筋間を押圧すると激しい痛みを生じる。
    強い筋緊張を認める。

  • 長橈側手根伸筋
  • 肘関節では肘を曲げる働き(働きは弱い)
    腕を曲げた状態では前腕を内側に回す(働きは弱い)
    腕を伸ばした状態では前腕を外側に回す
    手首を外側に曲げる

  • 短橈側手根伸筋
  • 肘関節を曲げる(働きは弱い)
    手首を外側に曲げる(背側)

  • 総指伸筋
  • 指を伸ばし、扇状に開く
    手首を外側(背側)に曲げる最も強力な働きをする

  • 小指伸筋
  • 五本の指を伸ばし、手首を外側(背側)と尺側(小指側)に曲げる

  • 尺側手根伸筋
  • 前腕を外側に曲げる
    手首を背側に屈曲する
    上記のなかでも、長短橈側手根伸筋の筋溝を押圧すると最も痛みを生じ、最も強い緊張を認める。

~筋肉の筋繊維の性質についての指頭感覚~

キメが細かく、とても柔らかい筋肉で、特筆に値する。

中医学による状態の把握
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    舌診

  • 淡紅舌(気・血が充足していることを示す)

  • 白苔が全体に広がってやや厚い(体内に古い水分が多いことを示す)

  • 舌体
  • 舌本体も水分を含み、分厚くなり大きくなっている(体内の水分代謝が悪くなり、古い水分が多く停滞していることを示す)。

  • 舌下静脈の怒張
  • 舌の裏の2本の血管に脈絡があり、激しい静脈の怒張を認める(身体内の血流が悪いことを示す)

    脈診

  • 渋脈(全身の血液の流れが悪いことを示す)
  • 気の流れが停滞したり、水の流れが停滞すると、全身の血液の流れが悪化し、渋脈を引き起こすことが多い

    ~気・血・津液弁証~

  • 血瘀
  • 血液の流れが悪くなり、血液が汚れている状態

  • 痰湿
  • 体内水分の代謝が悪くなり、古い水分が停滞している
    脾気が弱っていることで起こりやすい

    方解

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    ~中医学理論を用い、中医学弁証を行い、治療方法を確定する~

    普段からお酒をよく飲み、ストレスを発散させているそうである。
    ということは、お酒で上手に発散させているが、ストレスが多いことが分かる

    舌・脈診より重度の血瘀の状態が認められる。

    ストレスからの気滞による血瘀(血液の流れが悪くなって汚れている)と、アルコールの飲み過ぎによる痰湿(体内水分が停滞)の両方を合わせたものによることが想定できる。
    体内水分の停滞については、苔が多いだけでなく、舌本体が分厚く大きくなっているので、かなりの水分の代謝が障害されていると分析できる。

    ~中医学の視点から診る~

    中医学的な視点から診ると部分の筋肉をどう緩めるかということよりも
    全身の血液の流れの改善と水分代謝を促進し、新陳代謝を高めることが何よりも大切である。

    ~それは何故でしょうか~

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    何故なら、川で例えて言うと、流れの良い川だと、川の水の流れを引き込めば、部分の汚れは簡単に解決する。しかし、流れの悪い川の一部分の汚れを改善させることは、川の水の流れを引き込んでも、もとも流れが弱いので、部分の汚れはなかなか綺麗にはならない。

    テニス肘で右肘では、右側内側の筋群に強い筋緊張を認め、左肘では、左側外側の筋群に強い筋緊張を認める。

    ~慢性的に緊張した筋肉は、どのようになっているでしょうか?~

    慢性的に緊張した筋肉は緊張し、血管が収縮して血液の流れは、著しく低下している。そのうえ、体内の水分は筋肉に停滞しやすい。そのため筋肉は著しく弾力を失い、正常に伸び縮みができない状態になる。すなわち、筋肉が粘土のようになってしまい、筋肉の運動能力が低下する。それは、自然界で常に湿気ている所は通気が悪かったり、水分代謝が悪い条件があるのと同じである。

    ~最短で筋肉を柔らかくするには~

    テニス肘により、緊張した筋肉を最短で柔らかく改善させるためには、全身の血流の改善と水分代謝を促進させることが一番大切である。

治療方針

~全身的な視点から診た鍼灸治療~
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ストレスを発散して長くもってはいないにしても、ストレスがあると気の流れは一時的に停滞する。

~気の流れは、血に影響し、全身の血流を悪化させる~

428752だから、まず気の流れを改善させ促進させることが大切である。
気の巡りが良くなると血は巡り、水も巡る
かつストレスも改善されるので、アルコールの飲み過ぎの改善にも繋がる。
気の停滞は、ストレスの矢面にたって働く肝気の鬱滞を引き起こす。
肝気が鬱滞すると、全身の気・血・水の流れは低下する。
脾に影響すると、水分の代謝が悪くなり、体内水分が停滞する。
血に影響すると全身の血流が悪くなる。
全身症状を改善させるために、肝気の鬱滞を取り除き、脾気を強め、気・血・水の流れを良くすることが大切である。
肝気の鬱滞を取り除く法則を疏肝理気という。
主な経穴は、太衝・合谷・内関・陽陵泉・期門などから選穴する。
気・血・水を巡らすツボは、足三里、三陰交が適している。
体内水分の新陳代謝を良くするツボは、豊隆・陰陵泉である。
これらの特別な経穴を中医学弁証により導き出し、全身症状を改善させることによりゴルフ肘を最短で改善させることができる。

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中医学弁証で全身症状を改善させる鍼治療を行った後、
現代医学的な知識を用いての鍼灸治療を行う。
全身治療のための鍼を配穴し置針した後に、局所の治療を行う。すなわち、全身症状を改善させるのと併行して、局所の治療を行うのである。

~現代医学的な知識を用いての鍼灸治療~
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その筋肉は、冒頭の現代医学的な病態把握のところでくわしく述べたので、参照してほしい。こうして特定した右肘の筋群および左側の筋群を一つ一つ丁寧に緩めて行くのである。

~鍼の治療には、高度な知識が必要である~

効果的な鍼をするためには、的確な深さと刺入速度や強さの加減が大切で、筋肉の硬結を見つけたら、カーテンから手を放さないように手を押したり引いたりする技術が必要である。これを面取りという。

~面取りについて~

筋肉の硬結を見つけたら、硬結を突き抜けても離れてもいけない。
硬結の中に刺入し、押したり引いたりして、筋肉をバネのように伸ばしたり縮めたりしながら筋肉を緩めて行くのである。
筋肉が緩むのを指頭感覚で感じながら、丁寧に手技を施す。

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よく使う鍼は、髪の毛ほどの細さで0.12ミリである。

筋肉に刺入したあと、鍼の先に感じる垂直圧と横側に受ける水平圧を指頭感覚で感じながら鍼を巧みに操作する必要がある。
学校を卒業してから、鍼を通し指頭感覚を鍛え、針先で筋肉を生きものと気を合わせて仲良く戯れるようになるためには、最低でも5年以上の厳しい修行が必要になってくる。

治療経過

初回の治療

初回の治療で、噓のように痛みが軽減された。
日常生活にも支障を来していたのが、日常生活ではまったく痛みを感じなくなった。

2回目の治療

一回目の治療の後にゴルフのラウンドを行った。
さすがにゴルフのプレー中は、肘が痛くなったが、右肘内側の痛みは消失したそうである。本日は、私も触診して確認したが、驚いたことに筋肉の硬結がほとんど無くなり、筋肉が随分、和らいでいた。
左肘の外側はまだまだ痛みが残存しているということである。
触診して診ると、筋肉の緊張が著しく、少し腫脹が認められた。そのため押圧すると酷く痛がった。冒頭の「現代医学の病態把握」のところで記した、一つ一つの筋肉を丁寧にほぐしていった。その後の触診により、かなり筋肉が緩んだことを確認した。治療に対して素直に良い反応を示してくれる筋肉である。キメの細かい本来耐久力のある筋肉であることを認識した。

私見

bensyou症状の割に予想より早く改善しているのは、中医学弁証論治により全身症状を改善させる治療をおこなったことによる。全身症状に潜む問題点は瘀血・痰湿であった。そこで、体内の血液の流れと水分の代謝を促進させ、部分の血液の流れと停滞した水分の代謝を促進させることにした。

加えて、患者様の筋肉は、質がキメ細かく、耐久力があり、本来、運動能力の高い筋肉である。だから、治療に対してとても素直に筋肉が反応してくれる。

週一回の練習と月二回のラウンドを行い、ゴルフが何より好きで取りくんでおられる。そのため、上腕・前腕・肘に直接関係する筋肉だけでなく、全身の筋肉がバランス良く発達している。とてもスポーツをすることにおいて良い体質と言える。
予想より痛みが早く改善しているのは、それらの要素が相乗的に効果を高めていると判断する。

[頸椎ヘルニア] 女性 50歳
頸椎ヘルニアから来る左肩甲骨、腕、肘の激しい痛みが、10回で改善。

主訴

首から左肩甲骨、肘にかけての鋭い痛み。

    随伴症状

  • いくら寝ても疲労が取れない。
  • ストレスから何もする気が起こらない。

現病歴

肩が痛い
左肩甲骨、腕、肘にかけて鋭い痛みが続いて、仕事に支障をきたすようになりました。
整形外科を受診し、MRIの結果、頸椎ヘルニアと診断されました。
首の牽引をして、鎮痛剤を処方されましたが、数日たっても仕事に支障を来すほどの痛みが続いていました。
仕事が忙しく、ストレスが溜まって、腹立たしく思う日々でした。

疲労が取れず、痛みで身体が疲れて何もする気が起こらなくなり、好きな本も読まなくなりました。
早く寝て睡眠をとるようにしておりますが、毎日、疲れております。
病院では、このまま温存するより他はないと言われ、ネットで検索して、当院のホームページを見て、2017年10月5日に来院しました。

現象

現代医学的な方法による病態の把握と、中医学基礎理論を用いる中医学弁証による全身状態の把握

現代医学的な把握
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    全身的視点から診た筋肉の状態

  • 頸部より肩、肩甲患部の筋群の筋緊張、著明
  • 胸鎖乳突筋、斜角筋群、板状筋、後頭下筋、脊柱起立筋、前鋸筋、上肢帯筋

  • 肘関節
  • 長短橈側手根伸筋、小指総指伸筋、尺側手根伸筋

  • 腰部筋群に著明な緊張を認める。とくに右の腰方形筋、脊髄起立筋

    ~首の徒手検査~

  • スパーリングテスト(陰性)→ 神経根症は認められない。
  • これは、神経根症を判定するのに最も重要な検査法である。

  • ライトテスト(陽性)→ 胸郭出口症候群において陽性になることが多い。
  • 首の側屈テスト、後屈テスト
  • 痛みや痺れ感の誘発・増悪が見られない。

当院での首の徒手検査により得られた情報
首の徒手検査により得られた情報は、頸椎症はあるにしても、現在の症状は、頸椎症の症状ではなく、胸郭出口症候群によるものと判断できる。

中医学による病態の把握
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  • 脈診
  • 渋脈(血液の流れの悪いことを示す)

  • 舌診
  • ・淡紅舌やや紅、白膩苔(苔が多い、水分が停滞し、古い水が体内に長く留まっていることを表す)
    ・舌下静脈の怒張

    血液の流れの悪いことを示す。

    ~臓腑弁証~

  • 肝気鬱滞
  • 肝気が鬱滞し、気・血・水の流れが停滞している。
    そのため、全身の血液の流れが悪化し、水分代謝が悪くなっている。
    精神的には、ストレスが溜まりやすく、気力が低下し何もする気が起こらなくなっている。

    ~気血津液弁証~

  • 気滞証
  • 気のながれが停滞しているため、何もする気が起こらなくなっている。

  • 瘀血症
  • 全身の血液の流れが悪いことが慢性化し、首や肩の凝りが強烈に増強され、神経圧迫を引き起こし、上腕から肘にかけての神経痛を引き起こしている。

  • 痰湿証
  • 身体内の水分代謝が悪く、筋肉や身体の疲労が取れなくなっている。
    水分が停滞すると疾病の回復を著しく遅らせる。

方解

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首・肩および肩甲患部、上肢帯筋に強力な筋緊張を引き起こしています。
腰の筋肉も緊張して疲労しております。

首の運動痛と運動障害はありますが、当院の首の神経根症状を判断する医学的な徒手検査において神経根症は認められませんでした

したがって、首から上腕・肘にかけての神経痛様の鋭い痛みは、MRIで頸椎症は認められるものの、現在の症状は頸椎症からくるものではなく、胸郭出口症候群によるものと私は判断いたしました。

~胸郭出口症候群について~

胸郭出口症候群とは、首や胸郭の筋群が強い緊張を引き起こしたために、頸椎から神経が出てきたところで、神経の圧迫を引き起こし上腕や肘・手指に痛みやしびれを引き起こす病態です。

仕事が忙しく、精神的にも疲労が溜まっています。
腹が立ったり、やる気が起こらなくなるのは、肝気が鬱滞しているためです。

肝気が鬱滞すると、イライラしたり、腹が立ちます。肝気の鬱滞が長引くと、全身の血流が悪くなります。
さらに、水分代謝が低下して、古い水が体内に停滞します。身体の疲労が回復しにくくなり、精神が抑圧され気力もなくなります。

治療方針

~全身的な視点から診た鍼灸治療~
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hirousinkyu

鍼治療で全身の血流と水分の停滞の改善を行います。肝気を巡らせ、肝気の鬱滞を改善させることで、精神の抑圧を減少させます。
以上で全身の血流と水分代謝が促進されます。
全身の自然回復力を高めることで、局所の緊張を早く改善し神経圧迫を抑制します。

~現代医学の知識を用いての鍼灸治療~
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首の筋肉を緩めるためには、首に鍼をうつだけでは全く首の筋肉の緊張は改善されません。
首の筋肉の緊張を改善させ、神経圧迫を取りのぞくためには、首の筋肉の土台となる腰の筋群、脊柱起立筋、肩背筋群、上肢帯筋の筋緊張を鍼でまず改善させることが大切です。

これらの筋肉が緩めば、首の筋肉の緊張も取れやすくなるのです。
何故なら全身の筋肉は数珠つなぎのようにつながっており、ちょっとした動作も腕や首だけでなく全身の筋肉が同時に働いております。

首という局所の神経圧迫を引き起こすほどの激しい筋緊張を取り除くためには、全身的な視点で筋緊張を取り除くことが不可欠です。

~鍼灸治療でこれらの筋肉を丁寧にほぐし、最後に首の筋緊張を鍼で改善させます~

治療経過

患者様のお声をそのまま記します。

3,4回目の治療

鍼施術で痛みが改善。

9回目の治療

痛みが消失する。

10回目の治療

自覚していなかった右腰深部の痛みや顎の筋肉の凝りが改善。身体全体の調子がよくなる。

私見

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痛みが早く治ったのは、MRIで頸椎症と診断されていましたが、徒手検査では、神経根症は認められませんでした。
したがって、頸椎症(骨の変形や椎間板の繊維化により、椎間板が薄くなった状態)はあっても、今回の症状は頸椎症からのものではなく、筋肉が凝り固まったことから神経圧迫を引き起こした(胸郭出口症候群)ものであったからです。

中医学弁証により証を立てるということは

中医学弁証により証を立てるということは、全身の病態を様々な視点から分析した総合的な病態把握です。

中医学弁証により治療方法が決定される

中医学弁証により治療方法が決定され、最も効果的な経穴を選穴し、全身症状を改善させます。

  • 中医学弁証による鍼治療は、全身のコンディションを改善させ、自然回復力を著しく高めることができるので、局所の病態を改善させることに大いに貢献してくれるのです。
  • 中医学弁証により肝気の鬱滞と瘀血証、湿証であることが分かったので、肝気を巡らし、全身の血流の改善と水分代謝を促進させました。肝気を巡らすことで精神の抑圧を同時に改善するよう努めました。

中医学による鍼灸治療

中医学による鍼灸治療は、身体の病態の根本的な改善と真の健康を作ることを常に根本理念にしています。
気を巡らし、ストレスや抑圧を改善させることも、肉体疲労を取り除くことと同じように大切に考えています。

患者様へのアドバイス

これからは、身体や精神の疲労があまり溜まらないうちに治療をして、いつも元気で健康な状態を保っていきましょう。

[顎関節症] 女性 32歳
顎関節症で口が指2本分しか開かない症状が、7回の治療で改善。

主訴

顎関節症

    随伴症状

  • 肩こり
  • 腰痛
  • 緊張しやすい

現病歴

gakukansetsu
去年の今頃から顎関節症が始まりました。口を開けるとガクッと痛いことが時々あります。

歯医者さんで顎関節症と診断され、マウスピースを口にはめる治療をして頂きました。マウスピースを付けても改善が見られず、徐々に悪化して行きました。
1ヶ月前から徐々に酷くなり、起床時、口が指2本分ほどしか開かなくなりました。

痛みは感じていないのですが、2週間前からは口が開かず、ものが口に入らなくなり、食事も困難になってきました。
普段から食い縛る緊張しやすい癖があります。このまま行くとどうなるのかととても心配になり、ネットで調べました。
普段から、よく肩が凝り、時々腰痛にも悩まされます。

池田・豊中・十三辺りなら車で行けると思い、地区を絞っていくつか顎関節の治療をされている所を探しましたが、どれもピンと来ず、鍼に興味があったため、鍼治療のあるところを探して、ホームページで当院を見つけました。
中医学に興味があったのと、ホームページの記載内容に信頼を持てたため、ここに決めました。

現象

現代医学的な方法による病態の把握と、中医学基礎理論を用いる中医学弁証による全身状態の把握

現代医学的な把握

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  • 口の開口
  • 指2本弱がやっと開く状態。
    口を大きく開けるとガクンと大きな音がするが、口を大きく開けられないので、音はなし。

  • 痛みについて
  • 開口時も閉口時も痛みはない。

  • 咀嚼筋(閉口筋)について
  • 押圧すると鋭い痛みがあり
    咬筋、内側外側翼突筋、側頭筋に強い筋緊張を認める

  • 頸部、肩背部、上肢帯筋、肩甲患部の筋群、腰部の筋群について
  • 胸鎖乳突筋、斜角筋群、板状筋、僧帽筋、菱形筋、上肢帯筋および脊柱起立筋、腰部筋群とくに右側および臀筋群の著明な筋緊張を認める。

中医学による病態の把握
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  • 舌診
  • ・淡紅舌、白苔が舌全体に広がってやや厚い。
    体内の水分の代謝が悪くなって、体内に古い水分が溜まっていることを示す。
    ・舌下静脈の怒張あり。
    体内の血液の流れが、全体的に滞っていることを示す。そのため、肩や首、顎の筋肉(咀嚼筋)、腰の筋肉など筋緊張の強いところは血液の流れがより渋滞する。

  • 臓腑弁証
  • ・肝欝気滞
    普段から緊張しやすい状態は、肝の経絡に影響し、気・血・水の流れを阻害する。
    肝は必要な所に血液を分配する働きをしており、肝気が鬱滞すると脳や筋肉の必要な所に十分な血液を分配できなくなる。
    そのため筋肉の働きや動きが悪くなる。
    脳に影響すると、血管が細く緊張し不安感や抑圧感をもたらす。

  • 気血津液弁証
  • ・気滞
    気の流れが滞り、緊張しやすい。気の鬱滞は血に影響して、血液の流れが悪くなっている。
    ・瘀血
    血液の流れが悪くなり、血液が汚れている状態。
    ・痰湿
    体内水分の代謝が悪くなり、古い水分が停滞している。

方解

~中医学理論を用い、中医学弁証を行い、治療方法を確定する~

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普段から緊張しやすく、肝気が鬱滞しやすい。
肝気の鬱滞が全身の気・血・水の流れを阻害する。
気の流れの滞りは、血に影響し血液の流れを低下させる。中医学では、これを気滞血瘀という。
また水に影響すると、体内水分の代謝が悪くなり身体が重だるくなる。脳に影響すると、不安や緊張をもたらし、脳の血管は収縮する。顔の筋肉(表情筋)も緊張し、筋の働きが低下する。

治療方針

~中医学弁証論治による治療~
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肝の経絡すなわち肝気の鬱滞を取り除くと、気・血・水の流れは改善する。同時に不安や緊張感がやわらぐ。
全身の血液や水分の流れが良くなるので、身体の一部分の硬くしている筋肉や凝りを和らげる

不安や緊張を改善させることにより、100以上ある顔の表情筋の働きが良くなり、咀嚼筋の緊張を改善させる。

肝気の鬱滞を取り除く治療法則を疏肝理気と言う。
主な経穴は、太衝、合谷、内関である。

このツボは、肝気の鬱滞を取り除き、肝気の流れを良くし、上記の全身症状を改善させる特別な経穴であり、三穴を配穴することにより効果を発揮する。
さらに足三里と豊隆、三陰交に鍼を刺入し置針し、効果を増強させる。
足三里は気を巡らす、豊隆は水を代謝させる、三陰交は気・血・水を巡らせ肝気の鬱滞を取り除く、それぞれ名穴である

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心身のコンディションを改善させ、自然回復力を高める。顎関節症は全身の精神疲労や肉体疲労を取り除くことが一番大切な治療である。
部分治療では、なかなか改善できない。顎の緊張の原因は、全身の疲労であるからだ。顔だけ、顎の筋肉だけが緊張する人はいない

~現代医学の知識を用いての鍼灸治療~

顎の筋肉(咀嚼筋)の緊張を和らげるためには、首・肩・背中・腰の筋緊張を取り除くことが大切である。
全身の筋肉の緊張が改善すれば、顎の筋肉(咀嚼筋)の緊張も自然に緩む。

胸鎖乳突筋・斜角筋群・僧帽筋・菱形筋などの肩背筋群や上肢帯筋・脊柱起立筋・腰部筋群・臀筋群を一つ一つ丁寧に鍼灸治療で緊張をほぐしてゆく。そのことで全身の疲労が改善される。

全身の治療を施してから、初めて顎の筋肉(咀嚼筋)を直接鍼を用いて緩めて行く。
咀嚼筋は口を閉じる、すなわち噛んだりかみ砕いたり、ものを咀嚼する筋肉なので、筋肉の緊張は強烈である。

~鍼の刺入には高度な技術が必要である~

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くり返し鍼で治療し、何度も何度も筋肉の硬結に対して鍼を刺入し緩める必要がある。
筋肉が緩むのを指頭感覚で感じながら、丁寧に手技を施す。鍼をツボに刺入すれば効くというものではない。

的確な深さと角度、強さが大切で、筋肉の硬結を見つけたら、時計の振り子を手で押して戻すように、硬結を突き抜けても、離れてもいけない。

鍼の刺入には高度な技術が必要である。

治療経過

~患者様のお声に基づく治療経過の報告~

初回の治療

初回の治療後に顎の緊張が取れているのが分かりました。

2回目の治療

2回目には食べられなかったお寿司が食べられるようになりました。

その後

5回ほど通いました。
痛みも取れ、大きなアクビもできるようになりましたし、治らないと言われた顎関節症が、音も鳴ることもなく、改善しました。
鍼治療のお蔭で、顔のむくみも取れ、肌が綺麗になりました。

10月25日、上記症状による治療を終了した。
以後、一ヶ月ごとに身体のメンテをして、ベストコンディションを保つようにした。

11月29日、身体のメンテのために来院された。
顎関節の痛みが全くなくなっていたので、顔の鍼は美容のための鍼に切り替えた。
腰・肩のメンテをし、中医学弁証により五臓六腑の生理機能の調整と気・血・水の流れを改善させる鍼灸治療を行った。
顔のむくみが取れて、筋肉が引き締まり小顔になったと喜んで頂いた。

患者様へのアドバイス

精神疲労や肉体疲労がピークになる前に、コンディションの改善に来て、ベストコンディションで仕事に臨んでください。

私見

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顎関節症は、部分的な治療では治りにくいです。
マウスピースだけ、顔の鍼だけ、顔のマッサージだけ、顔の整体や矯正だけでは、改善できないと言っても過言ではないです。

顎関節症は咀嚼筋が緊張し、口が開かなくなり
激しい痛みがあり、食事をするのも困難になる

数ヵ月前に、中学2年生の男性が、ゼリー状のものだけで水も飲めなくなり、歯科医に行って口腔外科に行っても改善されず、母親が心配して当院を訪れた。
結局、4回の鍼治療で治癒したが、勉強にスポーツに一生懸命の少年で、首・肩の筋肉がガチガチに凝り、全身の疲労がピークになっていた。勉強も頑張っていたので、精神的な疲労も大きかった。

鍼灸治療で全身の気・血・水の流れを改善させ、肉体疲労と精神疲労の両方を取り除くことを最も重要な治療方針とした。
首や肩背筋群の筋肉も丁寧にほぐした。最後に顎の筋肉(咀嚼筋)の緊張を改善させる鍼治療を行った。

若い身体は1回毎の治療でメキメキ改善し、3回の治療で口は全開し、肉体疲労や精神疲労も改善したということで、4回の鍼治療で治療を終了した。
食事もまったく困難になっていたので、短期間で治ってくれて、本当に良かったと思い胸をなで下ろした。
勉強やスポーツは大切ですが、やり過ぎには気を付けて、勇気をもって休息も取って、身体を休めてほしい。

[頸椎ヘルニア] 女性

主訴

頸椎ヘルニアから来る左肩甲骨、腕、肘の激しい痛み

現病歴

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左肩甲骨、腕、肘にかけて鋭い痛みが続いて、仕事に支障をきたすようになりました。
整形外科を受診し、MRIの結果、頸椎ヘルニアと診断されました。首の牽引をして、鎮痛剤を処方されましたが、数日たっても仕事に支障を来すほどの痛みが続いていました。

仕事が忙しく、ストレスが溜まって、腹立たしく思う日々でした。
疲労が取れず、痛みで身体が疲れて何もする気が起こらなくなり、好きな本も読まなくなりました。
早く寝て睡眠をとるようにしておりますが、毎日、疲れております。

病院では、このまま温存するより他はないと言われ、ネットで検索して、当院のホームページを見て、2017年10月5日に来院しました。

現象

~現代医学的な方法による病態の把握と、
中医学基礎理論に基づく中医学弁証による全身状態の把握~

  • 頸部より肩、肩甲患部の筋群の筋緊張
    (胸鎖乳突筋、斜角筋群、板状筋、後頭下筋、脊柱起立筋、前鋸筋、上肢帯筋)
  • 肘関節
    (長短橈側手根伸筋、小指総指伸筋、尺側手根伸筋)

  • (腰部筋群に著明な緊張を認める。とくに右の腰方形筋、脊髄起立筋)

    首の徒手検査

  • スパーリングテスト(陰性)→神経根症は認められない。
    ※これは、神経根症を判定するのに最も重要な検査法である。
  • ライトテスト(陽性)→胸郭出口症候群において陽性になることが多い。

首の側屈痛、後屈痛あり。
痛みや痺れ感の誘発・増悪が見られない。

脈診 : 渋脈(血液の流れの悪いことを示す)
舌診 : 淡紅舌やや紅、白膩苔(苔が多い、水分が停滞し、古い水が体内に長く留まっていることを表す)

方解

首・肩および肩甲患部、上肢帯筋に強力な筋緊張を引き起こしています。
腰の筋肉も緊張して疲労しております。

首の運動痛と運動障害はありますが、徒手検査において神経根症は認められませんでした。
したがって、首から上腕・肘にかけての神経痛様の鋭い痛みは胸郭出口症候群によるものと判断いたします。
首の筋肉が緊張しすぎたために、神経圧迫を引き起こし、腕や肘・肩甲骨に痛みを引き起こしたものと判断します。

仕事が忙しく、精神的にも疲労が溜まっています。
腹が立ったり、やる気が起こらなくなるのは、肝気が鬱滞しているためです。
肝気が鬱滞すると、イライラしたり、腹が立ちます。肝気の鬱滞が長引くと、全身の血流が悪くなります。
さらに、水分代謝が低下して、古い水が体内に停滞します。
身体の疲労が回復しにくくなり、精神が抑圧され気力もなくなります。

中医学弁証では、臓腑弁証は肝欝気滞です。
気血津液弁証は、気滞・血瘀・痰湿証です。

治療方針

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首・肩・肘・肩甲患部・腰の筋肉を鍼灸治療で緩めて、神経圧迫を改善させます。
さらに鍼治療で全身の血流と水分の停滞の改善を行います。
肝気を巡らせ、肝気の鬱滞を改善させることで、精神の抑圧を減少させます。

以上で全身の血流と水分代謝が促進されます。
全身の自然回復力を高めることで、局所の緊張を早く改善し神経圧迫を抑制します。

治療経過

第3回、4回目の治療

鍼施術で痛みが7割改善。

第9回目の治療

痛みが完全に消失する

第10回目の治療

自覚していなかった右腰深部の痛みや顎の筋肉の凝りが改善。
身体全体の調子がよくなる。

私見

痛みが早く治ったのは、MRIで頸椎症と診断されていましたが、徒手検査では、神経根症は認められませんでした。
したがって、頸椎症(※)はあっても、今回の症状は頸椎症からのものではなく、筋肉が凝り固まったことから神経圧迫を引き起こした(胸郭出口症候群)ものであったからです。
※…骨の変形や椎間板の繊維化により、椎間板が薄くなった状態

さらに中医学弁証により肝気の鬱滞と瘀血証、湿証であることが分かったので、肝気を巡らし、全身の血流の改善と水分代謝を促進させました。
肝気を巡らすことで精神の抑圧を同時に改善させたからです。

~中医学による鍼灸治療~

中医学による鍼灸治療は、身体の病態の根本的な改善と真の健康を作ることを常に根本理念にしています。
気を巡らし、ストレスや抑圧を改善させることも、肉体疲労を取り除くことと同じように大切に考えています。

患者様へのアドバイス

234164
これからは、身体や精神の疲労があまり溜まらないうちに治療をして、いつも元気で健康な状態を保っていきましょう。

[テニス肘] 50歳 女性 K.Kさん

主訴

テニス肘

随伴症状

  • 首、肩のこり
  • 腰痛

現病歴

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テニスを6月から始めました。テニス歴は15年ですが、3年ほどやっていませんでした。また再び始めて2ヶ月になります。週2回90分プレーを行っていますが、8月の中頃より、右肘が痛み出しました。

ストローク、特にボレーをしたときに、右肘の内側部に激痛が走ります。右肘の外側部には、痛みを感じておりません。

整形外科を受診し、腱が傷んでいると言われました。痛み止めをくれましたが、全く効果がなく、プレーができない状態になったので、根本的に治さないと行けないと思いました。

ネットで当院を見て、詳しく分かりやすく説明されていたので、当院に来院しました。

現象

  • 肘を伸ばしたら、前腕の内側部が痛む
  • ドアを開け閉めすると、前腕の内側部が痛む
  • ボレーの動作をすると、前腕の内側部が痛む
  • 長掌筋、橈側手根屈筋、円回内筋、浅指屈筋を押圧すると、激しく痛む
  • 上腕二頭筋の下部を押圧すると、激しく痛む
  • 長短橈側手根伸筋腱を押圧すると、圧痛
  • 総指伸筋、小指伸筋、尺側手根伸筋、それぞれの筋溝に圧痛

傷病分析

  • 主に内側の痛みを訴えるが、肘を伸ばすと痛みが出るので、上腕も関与している。
  • 上腕二頭筋には肘を伸ばす及び手首を回内する働きがあり、ドアを開け閉めすると、痛むのはそのためである。
  • 外側の筋群も押圧すると圧痛があり、見逃してはならない。
  • 一番傷めているのは、内側部の筋群と上腕二頭筋下部である。

治療方針

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上腕二頭筋と前腕内側の筋群を丁寧に鍼でほぐしていく。浅層から中層、深層まで緊張や炎症を取り除いていく。

さらに併行して外側部の緊張や炎症も取り除いていく。

治療経過

第4回目の治療

痛みの強さに変化はありますか?
日常生活では全く痛みなし。ただし重い鍋等を持ったときに、痛みが少し出る。曲げて引き寄せるときに右肘内側の一箇所が痛む。
その他ご希望があれば、自由にお書き下さい
全身のメンテナンスもお願いします。

第5回目の治療

痛みの強さに変化はありますか?
日常生活での痛みは完全になくなりました。強い負荷をかけたとき、特に肘を曲げた状態で指に力を入れると痛みが出ます。

痛みをスコアで表すと治療前は10で、治療後の現在は2です。

第7回目の治療

痛みの強さに変化はありますか?
痛みはほぼ消失。ただし、強い負荷をかけたとき(曲げた肘内側を強く押す)に少しにぶい痛み
痛みをスコアで表すと、10→1

第8回目の治療

明日、テニスの練習をしたいのですが、よいですか?
練習中痛みが出たら、練習をストップするのを条件に許可。今日の治療で痛みは1→0になる可能性はあるが、もう一回待ったらいいですよ。やってみましょう、と言えるかなというのが現状。

私見

~50歳からスポーツを行う方を、応援します~

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50歳でスポーツを行うことは大変です。一つは筋肉痛をおこしたり、怪我をしやすいということがあります。
また疲れが明日に持ち越すこともあります。マイナス面もありますが、プラスも大きいのです。

~スポーツを行うことのプラス面~

  • ストレス発散や心肺機能の向上、反射神経、筋肉の老化防止、瞬発力やスピードを養うことができます。
  • 老化を防止できるだけでなく、若返ることができます。セロトニンなどの有益な脳内ホルモンが促進され、ストレスが発散されます。

メンテは必要ですが、まだまだ筋力もアップし、選手も目指すことができます。

~運動前のアップと運動後のクールダウンが大切~

運動前のアップと運動後のクールダウンをしっかりやって、疲れを明日に残さないようにしましょう。

当院で開発したヨガリハビリ呼吸体操は、あらゆるスポーツのケアに最適なものです。

金曜日の夜、9時~10時半まで毎週やっているので、興味のある方は、どうか気軽にお越しください。
やってみて覚えてください。必ず役に立ちます。

[顎関節症] 80歳 女性 K.Sさん

症例

  
顎関節症

主訴

顎関節の疼痛(口を2分以上、大きく開けられない。物を噛むと痛む。)

随伴症状

  • 右膝関節の痛み
  • 腰痛
  • 首・肩の凝り

現病歴

gakuillust5月よりアクビをしたら、顎関節が痛くなり、口を開けると左顎関節が痛みます。
指2本くらいしか開けられず、ものを噛むと強く痛みます。
首・肩の凝りが酷く、首があまり動きません。とくに右肩・首が凝ります。
口を開けると、ものが噛めないので、とても困っています。

膝が痛い

2011年に右膝の手術(骨切り術)をしましたが、あまり曲がらず、曲げると痛みが起こります。

腰が痛く20分以上寝ると起きられなくなる

youtsu_woman仰向けに20分以上、寝ると、起きれなくなり起きると腰痛がしばらく続きます。ベットでは寝返りを打つことができません。
腰・膝が痛いので、家の中でほとんど動かずじっとしています。
首・肩の凝りが酷く、首をあまり動かすことができません。
とくに右側が凝り、右の肩と腱引きがとても痛いです。

家の中でもほとんど動かないので、動作はスローモーション

家の中でもほとんど動かないので、動作はスローモーションのようにゆっくりしか動けません。

P.S

来院前に息子さんより電話をいただきました

phone_man1_smile息子さんからお母様がベットの上で、20分以上寝られないこと、寝て起きるとしばらく動けないが、治療は可能かという電話でお問い合わせがあった。とても痛くて歯医者にも口腔外科にも行ったが治らないということであった。とても痛くて困っているということなので、当院で治療がうまく行けば、通常は5、6回、難しい疾患も10回ほどで大概治る。ただしお母様の治療は1回でどこまでの治療ができるかにかかっている。
治療を受けられなければ回数がかかる、と言うことを伝えた。
取りあえず、治療さえできれば何とかなるので、来て状態を診せて頂くことにした。

現象

  • 口が指2本分以上開けられない
  • 腰が痛く、寝返りが打てない
    • 仰向きで20分以上、寝られない。20分以上寝て起きると、30分ほど動けないくらい腰が痛い。
    • 膝、腰が痛いために、ほとんど動かない。動きは遅く、スローモーションのようになる。
  • 右肩・首・腱引きが強く起こり、首を動かせない。

病態分析と治療方針

顎関節症は鍼灸治療で改善を図る

a0259fa42fc798e1d039724c42ca3c4a_m顎関節の痛みは、咀嚼筋の強い緊張のためである。
咀嚼筋の緊張は、首肩の強烈な凝りから来ている。
なので、首・肩・肩甲間部・上腕・上肢帯筋の凝りを丁寧にほぐして行く。その後、頸椎を矯正し、咀嚼筋を一つ一つ丁寧にほぐして行く。
腰と膝が痛いために、家の中でもほとんど動いていない。
動くと痛い、痛いからじっとしている。
気持ちは分かるが、自然界で例えると畑を耕して野菜を植えられるようにしても、何もせずに放置しておけば畑は土が硬くなったり、粘土上になって作物が育たない土地に変わってしまう。
人間も同じで、痛いからと言って庇いすぎると、そう悪くないのに動けなくなってしまう。

膝も一緒に治療

膝は動かないので、膝の筋肉が弱って下腿部がむくみ、水が溜まっている。
膝関節を支える筋群(大腿四頭筋、ハムストリングス、腓腹筋、前脛骨筋)を鍼でしっかりほぐして、筋肉を強くして、家の中から歩けるようにして行く。

腰も一緒に治療

illust4238腰も同様に庇いすぎなので、筋力が低下し弾力性を失っている。
そのために痛みが悪化している。
腰の筋群を鍼でほぐし、動けるようにする。
日常生活でももう少し動くようにアドバイスし、治療の進行とともに動けるようになれば、足はまだ歩けること、腰痛も改善することを伝え、自信をもたせる。

治療経過

4回目の治療経過

痛みの強さに変化はありますか?
口を開けてもさほど痛くなくなった。
体調の変化はありますか?
歩くのが速くなった気がする。

現象

口が指3本開けられるようになりました。
首・肩の筋肉の緊張が大きく減少しています。
歩くスピードは2倍以上になっています。

5回目の治療経過

痛みの強さに変化はありますか?
仰向きで少し寝られるようになり寝返りするのが大分楽になった。
体調の変化はありますか?
特に思い当たらないが、身体が軽くなった気がする。

6回目の治療経過

痛みの強さに変化はありますか?
顎の痛みはなくなりました。
首、肩の凝りもとても良くなりました。

8回目の治療経過

1、顎の痛みがなくなり、体が軽くなった。歩くのも速くなった。

9回目の治療

顎の痛みがなくなり、体が軽くなって、歩くのもはやくなったので、治療を終了する。

第10回目の治療経過

痛みの強さに変化はありますか?
痛みはなくなりました。
体調の変化はありますか?
身体が軽くなりました。
今後どうされたいですか?
おまかせします。

痛みが消失し、身体も軽くなったので、顎関節症の治療を本日で終了した。

以後、2週間毎にしばらく肩、腰、膝の体調管理とコンディションを向上させていく治療を行うことにする。なぜなら、身体も軽くなり、速く歩けるようになったが、腰、膝、肩の状態はもう少し改善できそうである。より良いコンディションでいてほしいからだ。

私見

ベッドに寝られなかったのが、顎関節の治療を通して寝られるようになりました

neru_woman腰が痛く、ベッドに仰向けに寝られないということで、治療ができるかどうか心配したが、腰も以前より良くなり、仰向けで20分寝ても痛くなくなった。そして、家でも仰向けで寝られるようになった。膝も痛みは残存するが、倍以上速く歩けるようになった。

安静より動くことの方が大切です

bensyou当院に来るまでは、安静にして何もしないことが、一番良いことだと思っていました。当院に来て、動くことが何より大切という気持ちになられた。どんなに良く肥えた、耕された畑でも、何も植えずに何もしないでいると、荒れ地になってしまう。それと同じで、人間の身体は動けるうちは動かし、例え寝ていても動かせる部分は動かす方が良い。生命がその方が喜ぶのである。

[腰の痛み] 女性 H.Yさん

現病歴

youtsu_woman
普通の速度で歩くと、左殿筋がぎゅっと痛くなるので、腰を少し前にかがめて、ゆっくり歩くことができない。時々ぎくっとなって、それ以上歩けなくなるときがある。

夜寝返りをすると、左臀部が痛くなる。

お尻が痛み、階段の上り下りがしんどい。その痛みは、鼠径部や左の坐骨にも神経痛様の痛みが走る。

整形外科では、すべり症と言われて、整形外科は三件行ったが、一件目は軽いヘルニア、後の二件はすべり症であるといわれた。

薬を服用しても一切効かず、カイロやAK療法にも通った。いずれも効果がなく、病院まわりをして7,8年になる。どこにいっても治らなかった。

これまで全て、骨が悪いと言われ、骨の治療ばかりを行ったが、私は筋肉が関係しているように思います。

今度こそ、根本的に治りたいと思い、当院のホームページに出逢いました。当院のホームページには、筋肉についても詳しい説明がされ、ここしか治らない、最後の砦だと思って、来院した。

現象

  • 腰部筋緊張あり
  • 臀筋群 筋緊張著明
  • 大臀筋・中殿筋・梨状筋・外旋筋群
  • 徒手検査
  • SLR・Kボンネット・股内旋外旋テストなど、全ての徒手検査では異常はなかった
    腰椎の4番に階段状変形をわずかに認める

病態分析

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徒手検査では異常はない

以上より、骨には大した異常がないことがわかる。ヘルニアも軽度である。また、分離すべり症も軽度である。

腰部の筋緊張著明・臀筋群の筋緊張著明であり、歩行が困難なのは、筋肉の緊張が最大限に高じたものである。筋肉は押圧すると炎症反応や押圧痛があるが、筋肉が硬いというよりぬまっている。

自然界の例で例えると、よく耕した畑を1、2年放っておくと硬くなったり、沼地になったりする。現在の状態は筋肉の問題であり、筋肉の状態を快復させれば、歩行は快復する。7年も8年も苦しむような病態でないことは、筋肉と骨の両方の角度から診ると、明らかである。

したがって、10回でぬまった筋肉を鍼で戻し、後の10回で弾力のある筋肉に鍼で変えていく。灸も利用する。

10回以降は、リハビリを併行し、弱った筋肉の強化に努める。