update:2013年10月19日 最終更新日:2018年10月18日

わかりやすい中医学入門【腎】16

※効果や感じ方は人によって異なります

④陰陽(いんよう)の根源である腎(じん)陰(いん)・腎(じんよう)陽(よう)を化生(かせい)する
さて、腎(じん)精(せい)から化生(かせい)されるのは腎(じん)陰(いん)と腎(じん)陽(よう)です。

腎(じん)陰(いん)は人体の陰液(いんえき)の根源であり、腎(じん)陽(よう)は人体の陽気(ようき)の根源です。
腎(じん)陰(いん)とは何かというと、腎(じん)自体の陰液(いんえき)であり、腎(じん)陽(よう)の活動を支える基礎的物質です。
さらに、腎(じん)陰(いん)はあらゆる臓腑や組織を潤し滋養(じよう)しています。
たとえば、肝(かん)・心(しん)・脾(ひ)・肺(はい)・腎(じん)の陰(いん)液(えき)の根源は腎(じん)陰(いん)なのです。

腎(じん)陽(よう)は腎(じん)陰(いん)の状態が機能としてあらわれたもので、人体の各臓腑(ぞうふ)の生理機能に対し、温煦(おんく)と推動(すいどう)の作用を果たしています。
人体の生理活動全般を起こす動力の源泉(げんせん)である腎(じん)陽(よう)は「命門(めいもん)の火(ひ)」ともいわれ、生命力そのものをあらわしています。

「命門(めいもん)の火(ひ)」が強ければ強いほど、生命力が充実して、筋肉や骨がたくましくなり、気力が充実して身体のあらゆる機能、臓腑(ぞうふ)も活発にはたらきます。
「命門(めいもん)の火(ひ)」の盛衰(せいすい)は、命のはたらきそのものです。
腎(じん)陰(いん)と腎(じんよう)陽(よう)はともに腎(じん)精(せい)を物質的な基礎としています。
ともに腎(じん)精(せい)が物質的な基礎であり、根源となる材料が同じということです。

腎(じん)陰(いん)か腎(じん)陽(よう)のどちらかに不足を生じた場合には、腎(じん)陰虚(いんきょ)とか腎(じん)陽(よう)虚(きょ)とか表現されますが、実際はどちらも腎(じん)精(せい)の不足なのです。
ですから、腎(じん)陰虚(いんきょ)がある程度まで進行すると、かならず腎(じん)陽(よう)に波及して腎(じん)陽(よう)も不足しはじめ、陰陽(いんよう)両虚(りょうきょ)損(そん)に発展します。
逆に腎(じん)陽虚(ようきょ)がある程度まで進行しても、腎(じん)陰(いん)に及んで腎(じん)陰(いん)も不足しはじめ、同じく陰陽(いんよう)両虚(りょうきょ)損(そん)となります。

これは中医典では「陽(よう)損なわれ(そこ)陰(いん)に及ぶ(およ)」あるいは「陰(いん)損なわれ(そこ)陽(よう)に及ぶ(およ)」と表現されています。陰と陽は互根なので、陰(いん)と陽(よう)どちらも不足した状態である陰陽(いんよう)両虚(りょうきょ)となるのです。これは慢性の虚証(きょしょう)の病によくみられる病理の進行過程です。

陰(いん)と陽(よう)のどちらか一方が生理的調節範囲を超えて長く消耗しているにもかかわらずそれを補うことができないために、他方も消耗してしまうのです。
私の経験した症例の一つを例に挙げます。

この症例は多臓器疾患から、腎陰虚が起こり、さらに腎陽虚も派生したという例です。
本来陽(よう)性体質である方が、過剰な精神的ストレスが長く続き、腎の陰液(いんえき)を消耗してしまいました。さらに長くわずらって腎の陽(よう)気(き)も不足する状態となりました。身体には主訴(しゅそ)以外に様々な不定(ふてい)愁訴(しゅうそ)が表れ、精(せい)神面も身体のこまやかな症状にとらわれ、異常なほどの不安に襲われ心の落ち着きを失い、精神面でのいちじるしい衰弱があらわれました。
この場合、根本は陰の不足ですので、まず、陰(いん)を補うことが大切です。陽虚の症状がでているということは、陰の消耗がある程度以上進行していることを示しています。できるだけ早く合理的に陰を補う方法が必要です。陰虚である以上全体としては熱症状であるので、本来熱を加えずに、陰(いん)を補うことで、熱を制するのです。
しかし、この症例のケースでは、陽虚(ようきょ)の症状、つまり冷えの症状が表れ、陰陽(いんよう)両虚損(りょうきょそん)の症状へ病態が進行しようとしています。
陰中求陽で、陽を補うことで、腎精そのものを充足することができるのです。陰陽の根源は腎精だからです。
甘いぜんざいに少し塩を入れてやると、ぜんざいそのものの甘さが増すように、少しの陽(よう)を補うことで、陰(いん)をより強力に補うことができるのです。
陰陽(いんよう)両虚(りょうきょ)になると症状が複雑で、病態が重くなっていきます。
患者さんとの精神的な信頼関係が一番大切なことは言うまでもありません。しかし、病気の状態というのは一定ではありません。絶えず変化していくので病態の変化に素早く対処できることが必要です。そのために、症状や総合的な病態を表す証の変化を、舌診や脈診で常に観察しながら対処していくことを習慣として身につけることが大切です。

※効果や感じ方は人によって異なります

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