update:2012年4月9日 最終更新日:2018年11月1日

不眠症 ①

※効果や感じ方は人によって異なります

女性 57歳 主婦
初診:平成17年12月7日
主訴:不眠
随伴症状:便秘、胃下垂、首・肩のこり、顎内症

現病歴:
27歳の時、妊娠中に痔(脱肛)になった。
お産だけでも大変なのに、痔が悪化したらどうしようと思いつめているうちにある日突然眠れなくなった。
睡眠薬をもらったが、当時サリドマイド奇形児がはやっていたので、
あれこれ考えているうちに、不安と出産の恐怖とが重なった。以後、1日3時間しか眠れず、目を閉じたら朝という感じだった。
夢を見たときは眠れたという感じがした。
眠れない状態が続いて、すっかり自律神経失調気味になった。そのとき私は病気だから寝なければならない、寝ることが責任だと思いこみ、体操する、薬を飲むなどやり続けた。
そしてその翌年パニック障害に陥った。

以来、眠れないから、眠ることにこの30年間ずっと努力し続けてきた。しかし、毎日いろいろ考えているうちに、爛々と目が覚めてしまう。この不眠から抜け出したいと思い、知人の紹介を受け当院に来院した。

考えすぎる。リラックスできない。不安。心配。悩む。落ち込む。納少。
足がとても冷たく、またのぼせて顔がよく赤くなる。
大便秘結。排便時力むと脱肛し、出血する。
人の好き嫌いが多い。
私は母親との関係でずっと悩んでいた。
母親の権威が強く、いまだに常に干渉されるが、親の言うことに逆らえない。
母親が怒るのも泣くのも自分のせいで、相手の感情の責任を取らなければいけないと思っていた。
機嫌良くなってもらうために要求を満たしてきた。
自分の言葉と行動と、自分が本当にそうしたいと思っていることとはいつも違っていてフラストレーションがたまっている。

嗜好:濃い味のもの(中華・油物など)、甘い物
既往歴:自律神経失調症、パニック障害
舌診:紅舌やや紫、舌尖:茶紅
舌苔:薄白苔やや黄膩
脈診:弦、滑、72/分、実
気血津液弁証:気滞血瘀、湿熱

弁証:
肝鬱化火、大便秘結、排便困難、脾気不足、心火内熾による心腎不交
治療方法:疏肝瀉火、寧心安神、交通心腎、寛腸通便、理気導滞

配穴:
太衝、内関、合谷、疏肝理気
天枢、上巨虚、足三里、曲池、合谷、内庭
寛腸通便、理気導滞
少府、行間、太谿、腎兪、交通心腎(引火帰原)
脾兪、百会、健脾昇提

温灸:太谿、湧泉、腎兪

方解:
主な症候は肝気鬱結である。感情をいつも抑えるため肝気の鬱結状態が続いた。肝鬱の長期化は肝鬱化火を引き起こし、津液や血を煮詰め、湿熱、瘀血を生じさせる。肝火が頭部を上擾し、心神不安を引き起こし、イライラする、不安、頭がさえて眠れないといった不眠を引き起こす。肝火はよく心火を誘って上炎する。心火が神明を擾し、不眠に拍車をかける。心火がこもり、心火内熾となり、下って腎と交わりをもてなくなり上熱下寒となり、冷えのぼしを起こす。甘いものや脂っこいものの過食により、胃腸に積熱を生じ、津液を損傷し、大便秘結となる。排便時力むため脱肛を起こしている。また思いすぎるは脾気を低下させる。そのため胃下垂、食欲はあるがあまり食べられないなどの症状が起こる。

私見:
自分の本当の気持ちを抑えて、親や大人、周囲の期待に沿おうとする過剰適応の傾向があり、主体性欠如のまま周囲に合わせていくので本当の自分がまったく生かされないことになる。そのため常に不本意な心理状態にあり欲求不満が強くイライラした気分と焦燥感からストレスをためやすいのである。

反面、「~すべきだ、~ねばならない」という理性すなわち意識が強く、真面目で、規律をよく守り、義務感が強く、欲望や感情を抑えても仕事をやり遂げるが、自由な発想や創造性に欠ける、融通が効かない、人の間違いが許せないなどの傾向があり、フラストレーションを溜めやすい。

また取り越し苦労の多いタイプでいつも不安な状態にある。あれはうまくいくだろうか、これは大丈夫だろうかと、心の安まる暇がない。このような心の構えが常に肝鬱に結びつき、30年間もの不眠をもたらしたと思科する。人生シナリオの基本的な態度、すなわち人生への構え(自分と他人との関係において終始一貫して取るその人の基本的な態度のあり方)はYou are OK.I am not OK.である。自己否定は、母親の愛情に対する疑念や不信感・喪失感のため、自分を信頼し、肯定することができなくなったためである。

また親や周りの大人からの一方的な期待に負けて本来の自分の姿が歪められているのである。劣等感、コンプレックスで悩んだり憂鬱になりやく、消極的な構えである。人の過去は変えられないし他人を変えることもできないが、自分の今これからの生き方、態度は変えていくことができるのである。この人生シナリオを建設的なものに書き換えることが彼女にとって本当の意味で不眠から脱却するために一番必要なことであると考える。

経過:
肝鬱の改善を中心として治療を進めた。回を重ねる毎に気持ちが和らいで、少しずつ眠れるようになった。五回目の治療で初めて私は眠れるという自信のような喜びを持った。同時にクライエントの人生シナリオについて問いかけていった。私は人にNOと言っていいのだ、~ねばならないではなくて、~できたらいいなのになぁと思えるようになった。その後、眠れないときがあっても眠れなくていいんだというように心にも変化が表れて不眠を気にしなくなった。リラックス感をもてるようになり気持ちもずいぶん明るくなった。

20回、三ヶ月ほどの治療で30年来の不眠はほぼ解消した。
以後の鍼灸治療はもっと癒されたい、自分の心と体を大事にしたいというクライエントの気持ちに添って鍼灸治療を進めている。

近い将来、I am not OK.からI am OKと自信を持って言えるようになるだろう。

※効果や感じ方は人によって異なります

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