腱板損傷

腱板損傷とは

腱板損傷とは、肩部のなんらかの外傷により、腱板の筋肉群が緊張委縮し、付着している腱板の一部が断裂することを指します。

腱板(けんばん)とは、腕を身体につなげている筋肉群の事を指します。腕を自由に動かせるのは、腕を身体につなげている筋肉群があるからです。



肩甲骨の後ろに棘上筋(きょくじょうきん)、棘下筋(きょっかきん)、小円筋、肩甲骨の内側から肩甲下筋が、体幹部分からしっかりと腕を支えているため、腕を自在に動かすことができます。

それらの筋肉群は腱(けん)となって上腕骨頭にしっかりと固定されており、これらを腱板と言います。

腱板損傷が疑われる外傷を負った場合は、まず整形外科を受診しましょう。

参考サイト:順天堂大学医学部附属順天堂医院

腱板損傷と五十肩の違い

腱板損傷と五十肩の違いは、原因が外傷か内傷かということです。

腱板損傷の原因は肩を激しく打ったり、重いものを持つなどの外的要因です。

五十肩は、内傷病で新陳代謝の障害と身体の歪みが原因で起こります。40代や50代の身体の代謝や体質の変わり目に起こることが多いため五十肩といいます。

肩が上がらない原因は3つあり、腱板損傷、五十肩と頚椎症が有ります。
頚椎症とは、首の骨の変性や椎間板の損傷が原因で上腕、及び指先のしびれを引き起こします。重度な頚椎症では腕が上がらなくなる場合が有ります。

腱板損傷の原因・症状

原因

腱板損傷の原因は、肩を激しく打つなどの外傷が主です。

例えば、転んで肩をうったり、野球のヘッドスライディングや、自転車やオートバイで塀にぶつかったりなど、重いものを急激にもちあげたり、長い時間重いものをもっているなど、

アクシデントをもとに起こり、日常生活の中で何もないところから急に発生するものではありません。

※例外として、加齢などで腱板の劣化による損傷もあります。

症状

症状は、まずはじめに捻挫と同じで、筋肉が真っ赤になった状態で、激しい炎症を伴います。腱板の骨についている付着部は、はがれようとする力がかかります。

なぜならば、腱板自体の筋肉事態に激しい力が加わったために、生体防衛として筋肉が激しく収縮し、緊張しているからです。

その後も、肩を挙げようとすると激しい痛みが伴います。自力でようやく上げるか、他力で腕を支えないと挙げれなくなる場合もあります。

肩を挙げた時の痛みや夜間のうずくような痛み、または肩をあげようとする動作で常に炎症による痛みが伴います。

その緊張委縮はだんだんと強く固まっていきます。長い期間放っておくと、筋肉の廃用性委縮が伴いリハビリが難しくなっていきます。

腱板損傷が起こった場合の対処法

腱板損傷が疑われる場合は、炎症が起こり、筋肉が真っ赤になった状態ですので、
まずは冷やすことが大切です。
起こったときには、まずコールドスプレーや氷で冷やし、その後湿布をして安静にします。
炎症の時間が長くなるほど、痛む時間が長くなるため、リハビリの開始が遅れますので、速やかに、整形外科を受診してください。

改善にはリハビリが必要

軽度損傷の場合は、炎症が収まったら、できるだけ早くリハビリを開始する必要が有ります。しかし、筋肉は緊張委縮していますので、リハビリには激しい痛みが伴います。マッサージや鍼などでしっかりと腱板の筋肉全体を緩めてからリハビリは少しずつはじめます。

一番いけないのは、炎症が収まると痛みが楽になるため、そのまま放置することです。

放置することで、腱板が委縮し、手を挙げることが困難になります。ひどい場合は筋肉が拘縮を起こし、ある角度以上は肩があげられなくなります。

半年、一年、三年と経ち、上げられないとあきらめている方も多くいると思います。この場合も、時間はかかりますが回復は可能です。

腱板損傷への鍼治療の役割

鍼治療の利点は、リハビリの痛みを軽減することにあります。

腱板損傷後のリハビリは、思った以上に痛みが伴います。その痛みで、リハビリをやらなくなる方が多くいらっしゃいます。しかし、その状態でほうっておくと、肩が挙げられない状態で固定してしまいます。

ですので、鍼治療では、まずは痛みの原因である炎症や、筋肉の緊張拘縮により肩を挙げる動作の際の痛みを和らげるための治療を行います。腱板の筋肉をひとつずつ浅層から深層まで鍼治療で緩めていきます。肩を挙げる筋肉である三角筋や上腕を動かす全ての筋肉である僧帽筋や、頸部の筋群なども全て緩めていきます。

そうすると、炎症もはやく取れやすく、かつリハビリの痛みを軽減し、リハビリを早くはじめられ、かつしっかりとリハビリを行うことができます。

診療後のセルフケア

激しい炎症が収まると、医師の指導を得て、痛みを伴いますが、とにかくストレッチとリハビリをすることが大切です。

リハビリが必要な理由は、筋肉拘縮を予防するためです。痛みが伴うと、動かしたくないため、どんどん筋肉を使わず拘縮を起こしていきます。こうなると、肩があがらなくなってきますので、ますます回復までに時間がかかってしまいます。

炎症が収まっても、うごかすとやはり痛いため、動かしてはいけないと思う方も多くいます。しかし、手術を伴わない腱板損傷の場合、リハビリをすることで回復をしますので、腕を上げるリハビリを根気よく続けることが大切です。

※リハビリ時の痛みなどがひどい場合は、鍼治療を併用することで、リハビリ時の痛みが軽減し、かつ筋肉の緊張を早くとることが出来るため、本格的なリハビリに早期に取り組め、直りが早くなりますので、鍼灸院にご相談ください。

筆者
はらだ鍼灸整骨院 院長 原田浩一
"はり・灸と健康は仲がいい"

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