帯状疱疹

筆者
はらだ鍼灸整骨院 院長 原田浩一
"はり・灸と健康は仲がいい"

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帯状疱疹とは?


身体の左右どちらか一方に、ピリピリと刺すような痛みと、これに続いて赤い斑点(はんてん)と小さな水ぶくれが帯状(おびじょう)にあらわれる病気
です。

帯状疱疹の特徴は、通常、体の左右どちらか一方に帯状に出ることで、発症しやすい部位は胸、首、顔、腰など体幹に近い部分となっています。

引用元:マルホ株式会社

帯状疱疹の原因

極度の疲労で誰でも発症する可能性があります

帯状疱疹は、中高年から高齢者に発症するケースが多いのですが、若い方でも発症する可能性があります。
抵抗力が低下して、感染リスクが高い高齢者はもちろんの事、忙しくて疲労がたまり免疫力が極力に低下した人、極度のストレスによって、(例えば就職活動や、仕事など)で多忙な20代30代、40代でも起こりえます。

帯状疱疹の原因は水ぼうそうと同じウイルスです

帯状疱疹は、体内の水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスが活動を再開することで発症します。

初めて水痘・帯状疱疹(以降ウイルス)に感染した場合は、水ぼうそうとして発症します。

水疱瘡そのものは、乳幼児や10歳以下の子供の約90%がかかる感染症ですが、通常は発症して一週間程度で治ります。

しかしそのとき体内に入ったウイルスは消滅せずに、神経節(顔面の三叉神経、脊髄神経、坐骨神経など)に数十年間も潜伏します。

そのため、非常に多くの成人が水疱瘡ウイルスをもっていますが、健康で免疫力が強いあいだは活動が抑えられていますので、何ら症状が起こることはありません。

帯状疱疹を発症する方は、自分が水疱瘡ウイルスをもっていることなど、ほとんど意識していないでしょう。

ところが、加齢やストレス、疲労、感染症、生活習慣病などによって、からだの免疫力が低下すると、急に再活動、増殖を始めるのです。

その際、水痘・帯状疱疹ウイルスは神経節から皮膚へと移動し、神経の流れに沿って帯状に痛みや発疹(ほっしん)が出る帯状疱疹を発症します。

帯状疱疹になるしくみ

  • 水ぼうそう

    はじめての感染時は水ぼうそうとして発症

  • 潜伏感染

    体内のウィルスは普段は免疫力によって抑制

  • 免疫力低下

    免疫力が低下するとウイルスが活発化

  • 帯状疱疹

    ウイルスは皮膚に到達し帯状疱疹を発症

通常発症は一生のうちに一回程度ですが、近年、二度、三度と再発される方が増えています。
これは現代のストレス社会による個々の免疫力の低下が原因です。
もし帯状疱疹が発症したとき、適切な対処ができるように、帯状疱疹についての知識を持っておきましょう。

帯状疱疹の症状と経過

発疹が現れる数日前から違和感やチクチク・ピリピリした痛みと言った神経痛を感じることがあります

そしてその痛みを感じた部分に赤い発疹(紅斑) ができます。

この発疹は帯状に広がることが多く、顔や手足、特に胸・背中・腹部などによくみられます。軽度の発熱やリンパ節の腫れなどがみられることもあります。

その紅斑上に水疱ができ、水泡が破れ皮膚がただれカサブタができます。

このカサブタが取れると治癒したこととなります。

(水ぶくれの特徴)・・・ 粟粒大~小豆大の大きさで中央部にくぼみがみられます。

帯状疱疹の痛み

痛みについてですが、これは症状が出ている間、続きます。
比較的痛みが軽い方もいますが、強い痛みを感じることも多く、夜も眠れないほど悩まされることもあります。(皮膚と神経でウイルスが増殖し、炎症を起こす事が原因です)

帯状疱疹の初期症状は、体の片側に痛みやかゆみ、知覚異常(刺激がないのに痛みやしびれを感じるなど通常と異なる知覚のこと)などが現れます。これらの症状は数日~1週間程度続くことが一般的です。その後、同じ場所に虫刺されのような(赤い腫れ)が現れるほか、軽度の発熱やリンパの腫れ、頭痛などの症状を伴うこともあります。続いて紅斑の上に水ぶくれが現れ、1週間程度で破れて(組織の欠損)やただれとなります。
患部は軽く触れる程度の刺激でも敏感に反応し、激しい痛みを感じることがありますが、2週間程度でかさぶたになり3週間程度でかさぶたが脱落して治癒するとされています。赤い紅斑はだんだん枯れて茶色になり、だんだん薄くなって痛みも消滅します。
引用元:Medical Note

中医学の視点から見た帯状疱疹の原因

帯状疱疹の原因は、極度の抵抗力の低下です。

すなわち、過労や睡眠不足によって、肉体疲労と精神疲労が重なり、疲労困ぱいし極度に免疫力や抵抗力が低下した状態です。この時身体は、五臓の機能が低下し、胃や腸の働きも低下しています。身体内の気血水の流れが低下し、気の流れが鬱滞し、血液や水が体内に停滞しがちです。
停滞した血液や水はお血水湿と言われ二次的病理産物といって命を養う血液や水ではなく、不要な老廃物で免疫力を低下させ身体の回復力を妨げます。

筋肉は、弾力を失い、粘土のようになり骨の支持力や活力を失っています。そうなると身体は重だるく、気力もわきません。
気力や体力を全開まで使って、落ち込んだ状態です。気の流れは停滞しています。このような時は、脈にも力がなく、流れる血液も渋滞を起こしています。

帯状疱疹の鍼灸による治療法

鍼灸治療では、問診で身体全体の総合的な病態を把握し、五臓の生理機能と気・血・津液の働きを改善させます。
経絡にあるツボに、五臓六腑の機能と物質の過不足の状態を絶えず正確に伝えてくれています。
鍼治療師は脈やツボの反応を診ることで、五臓六腑の状態を正確に読み取ることができます。

脈とツボを診ることで、どの臓の何の生理機能が弱っているかが分かるのです
舌診や脈診で病態を最終確認し、病態だけでなく、体力・体質・抵抗力など一人一人の状態に合わせた治療を施します。

鍼灸治療の目的は、五臓六腑の生理機能を改善し、気血水の流れを促し、老廃物を体外に排出する新陳代謝を高め、抵抗力を最大限に高めることです。
精神面の働きがどのように五臓六腑の働きに影響したかを分析し、精神や感情の働きを正常に作用させる経絡とツボを使って治療を施します。
精神面を安定させ、肉体面の疲労の、改善に努め、免疫力を高めていきます。

ツボと経絡への鍼治療で免疫力を高める


経絡とツボを使ってあらゆる症状に対応しますが、帯状疱疹では五臓の特に肝気をめぐらし、
ストレスやいらいら、不安や落ち込み、集中力の低下を改善させます。
さらに心・肺・腎・脾の機能を高めます。
呼吸や消化、尿や老廃物の排泄、血液の浄化の機能の改善を図ります。
 
さらに胃や腸の働きを整えます。胃腸の働きが整い正常化すると脳も安定し、深い睡眠につながります。
なぜなら、胃腸の機能が安定すると、食欲が増すだけでなく、精神が安定し眠れるからです。
眠りを深くすることは免疫力の改善にとても重要です。

肉体の疲れを取り除く

肉体面では、疲労しきった筋肉を丁寧に鍼でほぐしていきます。特に首や肩、腰、下体部を重点的に行います。
筋肉の疲労をとることで、肉体面から疲れを取り除けます。
肉体の疲れをとると元気が出るからです。
精神と肉体は密接につながっているのです。

鍼灸治療の目的と効果

~症状を楽に早く改善させること〜

鍼灸治療を行うことで、肉体及び精神疲労を改善し、免疫力を最大限に高めていきます。

  • 疲労が困憊し疲れがピークに達した状態では、いくら良く効く薬でも、胃腸機能が低下し体力が低下してしまう場合もあります。
  • 胃腸機能が低下すると夜が眠れず浅い睡眠しかとれなくなり、不眠状態が続いたりします。このような状態ではいくら良い薬であっても逆に身体には仇になってしまいます。

鍼灸治療の目的は免疫力が低下し、精神と肉体が疲れ切って、いわゆる回復力を失ってなかなか改善できない身体の正気を補い最大限に高めて、再び健康な体に導くものであります。

その結果として

病態を悪化させず、症状を早く楽に改善させるのです。
薬を飲むと、本来の働き通りの効果が得られるのです。

現代医学による治療

原因となるウイルスに対しては抗ウイルス薬 、痛みに対しては 消炎鎮痛薬を用います。
また、水疱がつぶれて細菌感染した場合は抗菌薬を使用します。

痛みが治まらないときは我慢せず、早めに病院を受診し、鎮痛薬の量や種類について相談しましょう。

抗ウイルス薬
    • 水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスの増殖を抑える薬。
    • 発疹(ほっしん)が出てから3日以内に飲みはじめるとよい。
    • 症状が治まっても、ウイルスがしっかり抑えられていないこともあるため、処方された薬は最後まで飲む。
    • 効果が出るまでに2~3日かかることがある。
    • 基本的には飲み薬(内服薬)であるが、場合によっては点滴薬が使われることもある。

抗ウイルス薬 ⇒ 塩酸バラシクロビルアシクロビルファムシクロビルなど

鎮痛薬
  • 帯状疱疹の痛みを抑える薬。
  • 痛みの種類と程度にあわせて、様々な薬が使われる。
  • 痛みが治まらない場合は、薬を増やしたり、変えたりする必要がある。
  • 基本的には飲み薬(内服薬)で、重症な場合は注射薬が使われる。
ぬり薬
(外用薬)
  • 皮膚の症状や痛みを改善する。
  • 水疱(すいほう)の中のウイルスが外に出て、他の人にうつらないよう、皮膚を覆う効果もある。

早期発見・早期治療することで、ウイルス増殖を抑え、皮膚への炎症や痛みの重症化を防ぎ、
帯状疱疹後神経痛が残るのを抑える
ことも期待できます。

引用元:帯状疱疹.jp

筆者
はらだ鍼灸整骨院 院長 原田浩一
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