更年期障害とは
更年期とは
女性ホルモンを分泌する卵巣の働きが衰え停止し、女性ホルモンが欠乏した状態で安定するまでの時期を指します。
更年期の期間は一般的に、閉経前後の五年間、合計で10年間。
閉経の年齢は40歳前半から50歳代後半までと個人差が大きいとされています。
更年期障害の症状と原因
①火照り・のぼせ・発汗・吐き気・冷え
火照りは、突然身体がカッとなって、顔が熱くなり紅潮し、顔の周りに汗をかきます。顔が赤くなるのが特徴です。冷や汗をかくケースもあります。
火照りとのぼせは、気の鬱滞(うったい)が長期化し、熱を発生し、さらに気鬱化火し頭部に熱が昇って現れる症状です。
冷えは、熱が上半身(特に頭部)に偏るため、腎水が蒸騰気化できなくなり、下半身に体内水分が下降して起こる症状です。(心腎不交)
これは、精神状態のバランスを保ち、感情をコントロールする「心火(しんか)」の不調が引き起こしている症状で、身体の変化が大きな更年期にはとても多く見られます。
②肩こり・腰痛・背中の痛み
更年期に伴う身体の変化への不安や緊張が気血の流れに影響して引き起こります。
具体的には血液の循環が悪くなり、筋肉や関節のさまざまな部位に痛みが表れます。
③めまい・動悸・胸が締め付けられる・頭痛・不眠
精神的なストレスが主な原因で、身体に現れる症状です。冷えのぼせなどの症状と一緒に現れるケースもあります。
④気分の落ち込み・意欲の低下・イライラ・情緒不安定
ストレスが原因となり、精神症状として表れた症状です。
更年期障害の治療法
問診・舌脈診・中医学弁証を行い、病気の原因と発展のメカニズム、そしてどのように病態なのかという身体の総合的な状態を把握し、治療方針と治療内容を決定していきます。
治療は、鍼治療が中心となります。
言葉は難しくなりますのが、それぞれの症状に対して中医学でおこなっている治療を紹介します。
①火照り・のぼせ・発汗・吐き気・冷え
治療法則は、交通心腎です。
吐き気がある場合は、疏肝理気(そかんりき)、胃の和降(わこう)を加えます。
②肩こり・腰痛・背中の痛み
ストレスからきていますので、疏肝理気(そかんりき)で気血の流れを改善し、その後、痛みに対する対処療法を行います。
③めまい・動悸・胸が締め付けられる・頭痛・不眠
動悸や胸が締め付けられる症状は、心火が亢進し情志が乱れ、心気の鬱滞や、心血の不足により起こります。鍼治療で、清心瀉火(せいしんしゃか)、行進心気(ぎょうしんしんき)、補心血、清瀉肝火(せいしゃかんか)、補肝血などの治療法をそれぞれの症状に合わせ、経穴に組み合わせて行います。
④気分の落ち込み・意欲の低下・イライラ・情緒不安定
疏肝理気(そかんりき)を症状の程度に合わせて鍼治療を加減して行います。
更年期障害の治療期間
それぞれのホルモンバランスによって、期間はさまざまですが、身体が安定するまで約5年間の期間があります。
治療を始めて、1〜4ヶ月は症状の改善に集中します。
改善後、定期的なメンテナンスで体調の安定を図っていきます。