頭痛は、日常誰もが経験したことのある症状ですが、頭痛を引き起こす背景となる原因は様々です。
その原因によって、頭痛は、
①日常的に起こる頭痛
②脳の病気による頭痛
③慢性頭痛
の大きく三つに分類されています。
頭痛の種類 1. 日常に起こる頭痛 風邪・二日酔い 2. 脳の病気による頭痛 くも膜下出血、髄膜炎、慢性硬膜下血腫、脳出血 3. 慢性(反復性)頭痛 ①緊張型頭痛 ②片頭痛 ③群発頭痛 (日本臨床内科医会のホームページに基づく。http://www.japha.jp/doc/byoki/011.pdf)
①の日常的に起こる頭痛とは、風邪や二日酔いなどに伴って起こる一時的な頭痛で、原因が改善されれば自然と治ります。全頭痛の10%を占めると言われています。
②は、脳の病気が原因で起こる頭痛です。
脳の病気には、以下のようなものがあります。
くも膜下出血、脳出血、脳腫瘍、髄膜炎、高血圧性脳症、外傷後の頭蓋内血腫などです。
頭痛全体のうちの10%を占めると言われ、命にかかわる危険な頭痛です。
なので、頭痛という痛みに対処的な治療を施すのではなく、痛みの原因となる脳の病気に対して治療が必要です。
なお、頭痛の原因が危険な脳の病気である場合、どのような症状の特徴があるか、この原稿の最後に記しておきますので、頭の片隅に置いておいてください。
(日本臨床内科医会の「頭痛」の中の「危険な頭痛の見分け方」をご参照ください。 http://www.japha.jp/doc/byoki/011.pdf)
③の慢性頭痛は、器質的には何ら異常が無いので、病院で診てもらっても検査では「異常なし」という結果になります。器質的な原因がなく機能的なものなので、ほとんどのケースで、「頭痛」という痛みを止めるために、対処的に痛み止めが処方されます。
この痛みは、何年にもわたり繰りかえし起こり、多くの方が悩まされています。全頭痛の80%を占め、一般にほとんどの頭痛は、この慢性頭痛です。
現代医学的な視点から診ると、何ら器質的な原因は見られず、機能的なものに過ぎないとして、軽んじられています。
ですから、私たち患者も「痛み止め」などの薬に頼るだけになるのです。
しかし、そうした対処的な対応に止まることが、何年にもわたり、私たちを苦しめることになります。このように痛みが繰りかえし起こるのに、現代医学では単に「頭痛持ちの頭痛」として、この慢性頭痛を片付けています。
しかし何ら原因もないのに、このような痛みが起こるということがあるのでしょうか?
中医学の視点から診た慢性頭痛
この点、中医学は、機能的な原因で起こる頭痛に対しても深く研究し、医学として体系づけています。
ここで慢性頭痛の痛みの原因を、中医学の視点から少し見てみましょう。詳しく知りたい方は、後ろにより詳細な解説を載せますので、合わせてご参照ください。
中医学では、慢性頭痛は、精神的な緊張や身体の様々な機能的な変調が原因で起こる頭痛と考えています。
慢性頭痛は、精神面や身体的に、以下のような様々な随伴症状を伴うのが特徴です。
①肩こりや目の疲れ
②不安や緊張、イライラ、落ち込み、集中力の低下
③不眠や動悸、夢をよく見る
④疲れやすい、身体が重い、足がむくむ
これらの症状が、より悪化する原因として、
○過剰な精神活動やストレス
○肉体の過労
○睡眠不足
○アルコールの取りすぎ
○不規則な生活
などが挙げられます。
中医学の視点から診ると、慢性頭痛の原因は日常生活のなかにあるのです。
ストレスや肉体疲労、不規則な生活を強いられて心身の状態が機能的にオーパーワークになったり、心身の疲労状態で表れたりする症状であると言えます。
ここで、中医学による鍼灸治療の実際の一症例を見てみましょう。
ストレスや肉体疲労が原因である頭痛
脈を診ながら疾病に対応
激しい頭痛の患者様の例
当院の患者さんで、激しい頭痛を訴えて来院された方がいらっしゃいます。3歳と7歳の子供が二人いて、共稼ぎで働いているので、非常に疲れているとのことでした。数日前から頭痛が起こり、なかなか治らないと言うことでした。
脈は、毎分90回、そして強く激しく感じられる脈でした。病態は、ストレスの矢面に立って、私たちの身体をいつも守ってくれている経絡の異常でした。問診で、過剰な精神活動や肉体労働があることも分かっていました。
強く速く指を押し上げる脈は、ストレスが極まったための一過性の脈であると判断しました。望診でも、疲れた様子は見えても、元気は失ってはいませんでした。
そこで、まず強く激しい脈を改善するために、鍼を一本打ち、脈を確認しながら、3本の鍼を置針しました。使用した経穴は、合谷・太衝・足三里で、気血を巡らせ精神疲労と肉体疲労に対応いたしました。鍼を打った数分後、激しく強い力で押し上げる脈が明らかに穏やかになり、脈数も毎分78と減少してきました。原因がストレスとはっきり分かったので、確信をもって治療を進めました。ストレスに対応した後、肉体疲労を取り除く治療を行いました。首や肩・背中の筋肉が緊張して、とても凝っていました。丁寧に鍼を打って、それらの緊張を取り除きました。
頭痛の背景にある精神疲労と肉体疲労の改善の治療を行いました。
本来の脈状に変わる
治療後は、脈数は毎分72、脈状もとても穏やかな状態になりました。この脈状こそが、この人の脈なりなのです。治療後、頭痛は完全に治まっていました。さらに気持ちがとてもスッキリし、肉体の疲労も改善されていました。
頭痛という症状は、ストレスと精神過労、さらに肉体疲労が原因でした
この脈状が、この人の本来の脈状なのです。疾病は軽度で、頭痛という症状の背景にあるものは、精神過労と肉体疲労でした。
頭痛の背景となる原因に対して治療を施す
中医学による鍼灸治療は、このように頭痛の背景となる真の原因に対して治療を施します。
機能的な原因で起こる頭痛の根治原因を改善させることによって、痛みを取り除くのです。
精神過労や肉体疲労がピークに達しないうちに、治療を施すことで、頭痛から解放されるだけでなく、ベストなコンディションを保つことができるようになるのです。
頭痛の背景となる原因は、一人一人異なります。
なので、同じ頭痛という病気であっても、個々の原因や体質によって、一人一人治療は異なります。
頭痛や色々な症状が出る前に、来院される方が多くいます。
鍼灸治療を続けていくと、やがて体質も改善されて、ほとんどの方が痛みが取れ、「頭痛持ちの頭痛」という状態から解放されています。
ここまでで慢性頭痛について少し理解して頂けたでしょうか?
これから、もう少し深く慢性頭痛について見ていきます。
現代医学による慢性頭痛の分類
慢性頭痛は、大きく性質の異なる緊張性頭痛と血管性頭痛の二つに分けられます。
このうち血管性頭痛には、片頭痛と群発頭痛があります。
さらに、これらに加えて混合性頭痛があります。
対処法はそれぞれ異なる
慢性頭痛を改善するためには、自分がどのタイプの慢性頭痛に属するかを知ることが大切です。
何故なら、慢性頭痛のタイプによって対処法は、それぞれ異なるからです。
基本的な対処法としては、筋肉の緊張で起こる緊張性頭痛に対しては、運動やマッサージで筋肉や心身の緊張をほぐすことが有効です。
また血管の拡張や炎症に因る血管性頭痛の片頭痛は、動くと症状がさらに増悪するので、安静にすることが重要になります。
静かな部屋で電気を消して休む、眠りにつくなどが有効です。
このように対処法は真逆となりますので、それぞれ慢性頭痛の症状の特徴を知って、自分がどのタイプの慢性頭痛に属するかを知ることが大切です。
最後に一般的に用いられている慢性頭痛のチェックシートとチェック表を挙げましたので、一つの参考にして下さい。
チェックシートへ
①緊張性頭痛
症状
緊張性頭痛は、日常、慢性的に起こる最も一般的な頭痛で、慢性頭痛の70%を占めると言われています。
日常生活のなかで起こる、身体的・精神的ストレスによる筋肉の緊張が原因です。
頭を支える首や肩の筋肉も凝って、頭の筋肉も緊張して血流が悪くなり頭痛が起こります。
頭全体が締め付けられる
症状は、頭全体が鉢巻きで締め付けられているような痛みが特徴です。
頭に輪っかをはめられて、ぎゅっと締め付けられているような痛みと表現する方も多くいます。
痛みは我慢できる範囲の鈍痛で、通常の仕事はこなせ、日常生活が何もできなくなるほどに支障を来すことはありません。ほとんど毎日のように頭痛が起こり、一日中頭が痛いこともあれば、数時間で収まることもあります。
随伴症状として
随伴症状として多く見られるのは、首や肩がこる、目の奥が痛んだり、目がショボショボして眼精疲労を伴う、集中力の低下などがあります。
身体を動かしても痛みは悪化せず、頭痛が起きても吐き気や嘔吐はありません。光か音が気になったとしても、どちらか一つです。
自分でできる対処法
緊張した頭のまわりの筋肉や、頚、肩のまわりの筋肉はストレッチや軽い柔軟体操をするなど、できるだけ身体を動かしてほぐすとよいでしょう。
ヨガや太極拳などは、精神的なリラックスもはかれるのでさらにお勧めです。
頭痛の根本的な原因の解決には、ストレスの発散と精神的なリラックスをはかることがいちばん大切です。意識的にくつろぐ時間を作りましょう。
当院推奨の効果の高い頭痛対処法
合わせて、当院が推奨する頭痛体操を行なって下さい。
慢性頭痛に効果がある体操
これだけで、とても効果があります。
それができないときは、基本呼吸法をお勧めします。
基本呼吸法は息を長く吐き出すだけなので、いつでもどこでも、どんな状況でも、誰でも行うことができます。
さらに深くくつろぐためには、イメージによるリラックスができる「リラックス呼吸法」をお勧めします。
リラックス呼吸法
続けていると、不思議なぐらいイメージしただけで、くつろげるようになるのです。
また、ストレスがかかり、気の流れが停滞すると気持ちがめいります。
ライラしたり、落ち込んだり、不安になったり、気分が高揚して怒りっぽくなったりします。
気がめいったときは大息、つまり深いため息をつきます。これは鬱滞した気の流れを流そうとする自然のはたらきです。
笑いは最良のストレス解消法
さらにもっと良い方法は笑いです。笑いは深く強く息を吐き出す呼吸です。笑いによって吐き出される息は、鬱滞した気の流れを一掃し、気の総入れ替えをしてくれます。ストレスの多い私たち現代人には、笑いが最も有効な治療法であるといえるでしょう。
②血管性頭痛
症状
緊張性頭痛が締め付けられるような頭痛であるのに対して、血管性頭痛はとても耐えがたい激しい痛みが特徴です。そして、日常生活に支障を来すことが多いです。
頭痛の発生原因は、収縮した頭の血管が拡張する時に感じる血管性の頭痛であると言われています。
片頭痛
日常生活において慢性頭痛に悩んでいる方が多いのですが、そのなかでも代表的なものがこの片頭痛です。
日本国内で800万以上いると言われています。片頭痛は、20代から40代の女性に多く、とくに30代の女性の内、約2割は片頭痛の経験をしているそうです。
ちょっとした痛みからはじまり、頭の片側もしくは両側が脈打つのに合わせて、ズキンズキンと痛みます。
ただし、ズキンズキンと痛むのは片頭痛の特徴ですが、伊東秀文先生(関西医科大学附属滝井病院神経内科助教授 http://www2.kmu.ac.jp/openSeminar/open09/05itouh.html)によると、50%以上は拍動性がなく、左右どちらか片方の痛みばかりでは無く、両側であったり、左右痛みが移動することがあるそうです。
ですので、痛みが強く、日常生活に支障があって発作性に痛むというのが、片頭痛を見分ける大切な特徴と言われています。
また片頭痛は、身体を動かすと痛みが増悪します。光と音の両方に敏感となります。
じっとして寝てしまうと楽になるのですが、我慢して動き回っていると、吐き気を催し、嘔吐して薬も飲めない状態になることもあります。
痛みは、1週間に1日ないし2日、または週末、また何かのストレスをきっかけに発症します。数時間から1日中、起こることもありますが、緊張性頭痛のようにほぼ毎日起こるのではなく、ある期間をおいて、短期間続くのが特徴と言えます。
鍼灸治療による片頭痛の根本改善
中医学による鍼灸治療は、片頭痛に対してもとても有効です。根本的な改善ができます。
何故なら、片頭痛の背景となる原因は、生活の中にあり、緊張性頭痛であっても、血管性頭痛であっても同じなのです。
それぞれの原因が身体にどのように影響をし、何れの機能が失調したかは、一人一人異なります。
緊張性にでるか血管性にでるかは、個々の体質によって現れ方が違うだけです。
中医学弁証によって証を立てれば、日常生活のどのような原因が身体にどのように影響を与え、疾病が発生したかは具に明確にできます。
対応方法も、既に体系づけられています。
自分でできる対処法
対処法としては、静かな薄暗い部屋で横になり安静にします。できればそのまま寝てしまう方が良いでしょう。
さらに、血管を収縮させるために頭を冷やしたり、コーヒー・紅茶を飲むのも良いでしょう。
軽いマッサージ・指圧は良いですが、強いものは避けてください。
痛みが起こるな、と思ったらすぐ薬を飲んだり、無理をして動かないで横になったりする、などが基本的な対処法ですが、無理をしていると繰り返し痛みが反復してしまい、やたらに薬の量が増えてしまいます。ですから、事前に頭痛を引き起こさないようにすることが大切です。
呼吸法が発症の抑止
そのために、ストレスの発散や気持ちを落ち着かせることができる基本呼吸法を日頃から行うことをお勧めします。
もし、実際に頭痛が起こってしまったときは リラックス呼吸法を行ってください。
リラックス呼吸法
③群発性頭痛
症状
ある一定期間、いつも同じ時間に決まって起こる頭痛です。群発地震のように一定時間継続して激しい痛みが襲います。
目がえぐられるように痛む
どちらか一方の眼の奥が激しく痛むのが特徴で、眼がえぐられるような強い痛みがあります。
頭痛は、毎日決まった時間に1~2時間起こり、自然に治りますが、このような頭痛が1、2ヶ月の間、ほとんど毎日生じ、長いものでは半年以上続くケースもあります。
群発性頭痛の名前は、群発性地震(マグマや地殻のエネルギーが徐々に高まって、ピークに達したとき平衡状態が崩れ、そのエネルギーを放出しようとして一定期間激しい活発な地震活動が継続する地震)からきています。
この群発性頭痛は、慢性頭痛のおよそ4%いると言われています。
血管性頭痛が起こる機能的な原因は生活の中にあります。
中医学による鍼灸治療により根本改善をはかりましょう。
自分でできる対処法
①アルコール飲料を中止します。
②下半身を温め、上半身にかたよった熱を下します。
③精神的リラックスをはかることが一番大切です。
たとえば、家事、子育て、仕事と全てについてがんばっている人がいます。
しかし、さまざまなことを同時に、完璧にこなそうとすると無理が生じます。
無理をしすぎて、疲れたり、病気になってしまうと、かえって大変です。
人間は完璧ではありません。頭のなかを整理して、どこかで調整して、無理を除きましょう。
~NHK健康チャンネルによる予防法~
就寝時刻が不規則になったり、長時間昼寝をしたりすると、予想外のタイミングで頭痛が起こることがあります。
睡眠時間を規則正しくし、昼寝をしすぎないようにして、頭痛が起こる時間帯を一定にし、あらかじめ自己注射の準備をしておくと群発頭痛に対処しやすくなります。
(群発性頭痛の予防として日常生活での注意点を、NHK健康チャンネルのホームページより一部引用しました。参考にしてください。 https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_730.html)
③混合性頭痛
症状
血管性頭痛と緊張性頭痛が入り混じった症状です。
ストレスが加わることにより、筋肉への血流が悪くなり、筋肉の緊張や凝りを生じて、血管が収縮し脳への血流が悪くなって起こる頭痛と、頭の血管が拡張し、血管の周囲に炎症を生じる血管性頭痛の両方の要素を持っています。
いくら薬を飲んでも治らないという頭痛にこのタイプが多いのです。
混合性頭痛のように相反する原因が重なっている疾患に対しても、中医学による鍼灸治療は、十分に対応することができます。
中医学弁証によって詳しく分析でき、証という形に表して、個の総合的な病態が把握できるからです。
そして、証によって治療方針や治療方法が導き出され、五臓六腑のどの経絡のどのツボに対してどのような効力をどれくらい投与したらよいかということがわかるのです。
そのため、血管の拡張を抑える、ということと筋肉の緊張を和らげて血行をよくする、という治療を同時に行うことができます。
ツボの配穴や鍼の手技操作によって目的に応じて治療を施すことができるのです。
自分でできる対処法
日頃より、精神的な面では、ストレスの発散、身体的な面では筋肉の緊張を和らげるように努めます。
緊張性頭痛と、血管性頭痛の対処法の両方を合わせて行います。
まず血管性頭痛の症状に対応してから、緊張性頭痛の対処法を行います。
まとめ
慢性頭痛が起こっている時の対処療法としては、緊張性頭痛と血管性頭痛では、それぞれのタイプによって対処療法は異なります。
ですから、ご自身の頭痛が、どのタイプの慢性頭痛に属すかをよく知って、上記を参照して対応して頂きたいと思います。
症状は異なっても、原因は同じ
同じ慢性頭痛という症状でも、血管性頭痛になる人と、緊張性頭痛になる人がいます。
「中医学の視点から診た慢性頭痛」のところで説明したように、慢性頭痛は精神的な緊張や身体の様々な変調が原因で起こります。
ストレスや肉体疲労、不規則な生活を強いられて、心身の状態が機能的にオーバーワークになったり、心身の疲労状態で表れたりする症状なのです。
慢性頭痛の原因は、日常生活の中にあると結論できます。
なので、慢性頭痛に対する根本的な改善法は、基本的には同じです。生活習慣の改善なのです。
緊張性頭痛も血管性頭痛も、症状としての身体の表れ方が違うだけで、その原因は、何れも日常生活の中にあります。
表れ方が異なるのは、一人一人、体質や性質が違うからです。
心身の機能が、どのような影響を受けるかは、人により異なるので、血管性頭痛として表れる人もいれば、緊張性頭痛として表れる人もいるのです。
もっと言えば、疾病は、個々の一番弱い部分に表れるのです。ですから、頭痛ではなく、別の症状や疾病として表われる可能性もあります。
大切なことは、疾病の発生原因は、日常生活習慣の中にあるということです。
ですから、頭痛であろうと、どのような疾患であろうと、症状や疾病を通して、日常生活習慣を見直す一つの機会として捉えることが大切です。
行法哲学としての本当のヨガを行っています
私は鍼灸治療を通して、疾病の改善に努めておりますが、根底にヨガの思想が流れています。
みなさんが家庭でできる根本的な改善法の一つとして、私はヨガをお勧めします。
ヨガを正しく行うと呼吸が深くなり、丹田力が強化され、生命力が高まります。自律神経のバランスが整い、脳が安定します。
丹田呼吸法と冥想を続けることによって、五臓の機能が整い、肉体的にも精神的にも強くたくましく進化していくのです。
週に1回、仕事が終わってから、当院ではヨガを行っています。興味がある方は、どうぞ是非お越し下さい。正しいヨガの修得方法を身につけて頂けたらと思います。
集中のお勧め
また、音楽やスポーツ、絵画や料理など、何かに打ち込み、心が楽しく集中できるものなら、何でもお勧めです。
ストレスを上手に発散することで前向きな生き方につながり、夢や希望がもてるようにもなります。
頭痛という症状は嫌なもので、頭痛さえなかったら、どんなに良いだろうと思うかもしれません。
しかし頭痛は、精神状態の影響を強く受け、その反映とも言っても過言ではありません。
無心で何かを続けていたら、痛みを忘れていたと言う経験もよくあることです。
何かに集中することで、ストレスや緊張から解放されているのです。
頭を空っぽにすることの勧め
相反するようですが、頭を空っぽにするということもとても大切なことです。
私はヨガの時、よく頭を空っぽにしましょうといいます。頭の中を何も無い状態にすることを、頭を空じると言います。
頭の中が空っぽになると、一挙に心も身体も緊張から解放されます。精神と肉体の関係を、ものすごく感じる一瞬でもあります。
私たちは、取り入れることだけを考えがちですが、それ以上に吐き出すことが大切なのです。
付録1.慢性頭痛のタイプチェックシート
自分がどのタイプの慢性頭痛に属するか確認するために、分かりやすいチェックシートを作りました。
チェックを入れてみましょう。
1.どこが痛む?
2.どんな痛み?
3.痛みの強さは?
4.動くと痛い?
5.頭痛以外の症状はある?
6.痛みの周期は?
北里大学医学部内科教授 坂井文彦先生/監修による「頭痛チェックシート」(読売新聞2000年11月26日掲載)に基づいて作成
(総合南東北病院(福島県)のホームページhttps://www.minamitohoku.or.jp)
上記のチェックシートは、ご自身の頭痛のタイプを判断するのに役立ちます。
病院や鍼灸院に行かれた際にこれらを伝えると、より的確な治療を受けるのに役立つでしょう。
さらに慢性頭痛について理解を深めるために、それぞれのタイプの症状を文章で示します。
次に下記の六つの項目からなるチェック表で、自分がどのタイプの慢性頭痛に属するか確認しましょう。
○緊張性頭痛
緊張型頭痛かどうかを判断できるチェック表には、6つの項目があります。
2.圧迫・締めつけるような痛み
3.がまんできる・仕事などがこなせる
4.体を動かしても痛みが悪化しない
5.頭痛が起きても吐き気・おう吐はない
6.光か音が気になったとしてもどちらか1つ
1~4の2つ以上が当てはまり、5と6の両方が当てはまる場合は、緊張型頭痛であると考えられます。
(NHK健康チャンネル https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_489.html)
○片頭痛
片頭痛かどうかを判断するチェックには、6つの項目があります。
2.ズキンズキンと拍動性の痛み
3.がまんできない・仕事などに支障
4.体を動かすと痛みが悪化
5.頭痛が起こると吐き気
6.光・音に敏感になる
1~4の症状のうち、2つ以上が当てはまり、5と6のうち1つ以上が当てはまる場合は、片頭痛であると考えられます。
○群発性頭痛
群発性頭痛については、チェックリストに替わり、その特徴を示しますので、参考にしてください。
2.症状は1~2時間ほど続く
3.夜間・睡眠中に起こることが多い
4.群発期の痛みは、1~2ヶ月、毎日のように繰り返す
5.群発期は、半年~2年おきに起こる
群発頭痛が起こると、痛みだけが理由ではなく、興奮した状態になって動き回ったり、気分が落ち着かなくなったりします。
群発頭痛の症状は1~2時間ほど続き、夜から明け方に起こることが多いとされています。
特に、眠ってから2時間ほどで起こることが多くみられます。また、毎日ほぼ同じ時間帯に起こるのが特徴です。
これは視床下部がつかさどる体内時計が影響しているためと考えられています。
(NHK健康チャンネル https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_729.html)
付録2.危険な頭痛について
頭痛は、脳の重大な病気のサインのことがあります。
以下のようなときには、危険な頭痛ですから、救急車を呼ぶなど早急に医療機関を受診することが勧められます。
今までに経験したことのないような激しい頭痛が突然起こった場合は、すぐに救急車を呼びましょう。
くも膜下出血の疑いがあります。
2.発熱を伴う強い頭痛
発熱を伴う強い頭痛は風邪でも起こりますが、激しい痛みは脳を覆っている髄膜に炎症が起こる髄膜炎のことがあります。
3.手足のマヒ、めまい、ボケなど
随伴症状のある頭痛
手足のマヒ、歩行障害、言語障害、めまいなどを伴う頭痛では、脳腫瘍、脳血管障害が疑われます。
頭痛の程度が軽くても、神経内科、脳神経外科などの専門医を受診しましょう。
ボケを伴う頭痛では、慢性硬膜下血腫が疑われます。これは、転倒などによる頭部の打撲で、頭蓋骨の内側に血の固まりができ、それが大きくなって脳を圧迫するものです。
打撲直後には検査で異常がなくても、数カ月後の忘れたころに、手足のマヒなどとともに症状が現れることがあります。
4.だんだん強くなる頭痛
徐々に痛みが増強する頭痛、早朝~朝方の頭痛は、脳腫瘍が疑われます。
(日本臨床内科医会の「頭痛」の中の「危険な頭痛の見分け方」より http://www.japha.jp/doc/byoki/011.pdf)