コロナウイルス影響下で、日本中のみなさんが家の中に閉じこもっています。
今まで家の外に出かけたり、高齢者の方であればデイサービスや老人憩いの施設、万青などに良く通っていた方であっても、大概の方がテレビを見たり、横になったり、運動不足になっています。
高齢者だけに限りませんが、我慢していますので、欲求不満が募ります。
発散不足となり、ストレスがたくさん溜まっていきます。こうなると免疫力が下がってくるのです。
なぜ免疫力が下がるのか?
運動不足になる
運動不足になると、筋肉が硬化し、血流が悪くなります。
症状としては、肩が凝ってきたり、腰がだるくなってきます。
外出することで、生活のメリハリがつき生活リズムができていましたが、家の中にずっといることで、意欲の低下につながったり、胃腸の働きも低下し、食欲不振になったりします。
新陳代謝が悪くなる
上記で書いた通り、運動不足により全身の血流が悪くなっているうえに、精神的に意欲がなくなると、全身の気血水の流れが悪くなり、新陳代謝が障害されます。
そうなることで、新しいものを体内で作り、不要なものを体外に出す機能が低下していきます。いわゆる代謝障害です。
意欲の低下は、さらに脳内伝達物質である、セロトニンやエンドルフィン、ドーパミンなどの脳の活動を守りストレスを解消するホルモンの分泌を低下させます。
ストレスホルモンである、コーチゾンやアドレナリンが増えていき、これが免疫力の低下につながります。
中医学的な観点
ストレスが溜まると、気の流れがうっ滞し、気は血を推動している役目をしているのですが、気滞血瘀(きたいけつお)を引き起こします。
気滞血瘀(きたいけつお)とは、気の推動力が低下し、血液の流れが悪くなった状態です。
特に肝の気がうっ滞すると、肝鬱気滞(かんうつきたい)を引き起こします。
肝鬱気滞(かんうつきたい)とは、ストレスが人体にストレートに障害をしないように、ストレスの矢面に立って守ってくれている経絡である、肝気が滞っている状態です。
その状態になると、急に怒ったり、イライラしたり、落ち込んで何もしたくなくなります。憂鬱な感情が伴います。
さらに肝は、他の4つの臓器である心、肺、脾、腎がうまく働くように統制しています。
肝気がうっ滞すると、4つの臓器の生理機能に影響するため、身体のすべての働きに影響を及ぼす可能性があります。
こうやって、運動不足により、ストレスが溜まることで、五臓六腑の働きが低下し、免疫力が低下していくのです。
さらに、精神的なストレスが要因となり、免疫力が低下します。
過度にコロナを怖がることにより、強いストレスとなり、精神が抑圧され、代謝障害を引き起こし、免疫力の低下につながるのです。
運動不足を解消する、自宅でできる3つの運動
ここでは、自宅で、高齢者でもできる、3つの運動不足解消をご紹介いたします。
10分のリズム運動がどのように身体に影響するのか
ストレスがある状態では、呼吸が浅くなっています。
呼吸が浅いということは、吸う息も吐く息も短く少ない状態です。
つまり、酸素の出入りが少ない状態で、いいものも入ってこず、悪いものも出ていきにくい状態です。
こういったストレスが吐き出せない欲求不満の状態の時に上記で説明した、肝鬱気滞(かんうつきたい)を引き起こしやすくなります。
そうすると自然と免疫力がさがって、やる気がなくなってきます。
5~10分ぐらい運動して、汗がにじみ出てくるころ、だんだん気分が明るくなってきます。なんだか意欲が出てくるのです。
これは、運動をすることで、気が巡りだし、全身の血流や水分代謝をうながし、スムーズに流れ出すからです。
気が巡ると、気分が晴れ、血が巡り水分が代謝されると、身体もよく動きやすくなり、気分も向上しやる気がでてきます。
さらに、運動をすることで、吐く息が主体となって、副交感神経が優位に働きます。
副交感神経は、気持ちが明るくゆったりして、気分が落ち着いているときに働いている神経です。
副交感神経が優位にはたらくことで、ストレスが解消されていくのです。
また汗がにじみ出てくる位の軽いリズム運動を行うことで、脳内伝達物質であるセロトニンの分泌が促されることが分かっています。
セロトニンは、脳内の情報をスムーズにし、思考をクリアにする効果があります。
さらに、セロトニンは気持ちを明るくする幸福ホルモンともいわれ、ストレスホルモンであるコーチゾンやアドレナリンを抑制します。
以上のことが複合し、10分のリズム運動がストレスの解消と免疫力の向上につながるといえるのです。
1.踏み台昇降
ストレス解消に踏み台昇降?と思われた方もいるでしょう。
まず踏み台昇降がなぜストレス解消と免疫力向上に効果があるかを説明していきます。
踏み台昇降は、台の上にあがったり下りたりの同じ動作を繰り返すリズム運動です。
リズム運動を5~10分続けることで、セロトニンの分泌が促され、思考が明瞭になり、気分が明るくなり、ストレスが解消されます。
さらに副交感神経が優位になっている状態になっていきますので、和やかな気分になるのです。
踏み台昇降の行い方
3cmほどの高さの安定した板の台を用意します。縦40cm、横80cm 以上の板が望ましいです。
上がったり下りたりの運動をゆっくり繰り返します。
片足ずつゆっくり上がって板の上で、両足で立ち、またゆっくりと片方ずつ降りて両足で立ちます。
これを1セットとし、10回繰り返すことで、だいたい1分かけましょう。
効果とポイント
・リズミカルに行う
一定のリズムで行うことが大切です。
一定のリズムによって運動することで、セロトニンの分泌を早く促すことができるからです。
リズムは、ご自身の体調に合わせてください。ゆっくりでも効果は変わりません。
・全身でおこなう
踏み台昇降は全身体操です。
つま先に力をいれて、それをばねにして階段を上るように足を上げます。
足を高く上げることによって、太ももが高く上がります。
力を入れて、段にあがる時におしりと腰の筋肉を使います。
手を振って上がると上がりやすくなります。
この動きを考えると、全身を使っていることがわかってきます。
・声に出して数を数える
一段上がって下りて「いち」と数えていきます。
声に出すことによって、丹田に力がこもり、重心が下半身に下がり、肩の力が抜けます。
そうすることで、心が安定し動作も安定してきます。
2.毛管法
毛管法の行い方
あおむけに寝て、両手、両足を天井に向かって、床に垂直に上げます。
膝や腰が緊張したり痛い方は、ご自身のちょうどよい角度まで上げてください。
手足をできるだけ、細かく、そして早く揺さぶります。
一生懸命手足を振るのではなく、何かに揺さぶられているような受動的な感覚で早く揺さぶりましょう。
そうすることで、手足の力が抜けて、力みがとれ、細かく早く動かすことができるようになっていきます。
効果とポイント
手足に毛細血管の70%が集中しています。
手足を動かすことで、血流が鼓舞され、全身の血流がスムースに流れるようになります。
人体に害になるものを排除する白血球が隅々まで早く流れることで、免疫力を高める効果があります。
血流がよくなることで、心臓や肺などの循環器の負担を軽減します。
・声を出す
「あ」「い」「う」「え」「お」五十音の発生や、ヨガのマントラである「ア・オ・ン」を声に出しながら一息で出来るだけ長く行うことで、内臓マッサージになり、上昇した気を丹田に下げることができます。
そうすることによって、自律神経を整え、五臓六腑の働きを促す効果があります。
3.金魚法
金魚法の行い方
仰向けになり、両手を首の後ろで組み、足を軽く合わせて揃えます。
お腹に少し力を入れ腹圧を高め、頭を少し浮かせます。
首の後ろで組んだ肘を床にほぼ平行にします。その状態を保持したままで、肘を左右交互に樹下に素早く細かく動かします。
このとき、常に両肘が床に平行して移動することがポイントです。
首の後ろで組んだ肘を発動源として、身体が左右に金魚が泳いでいるようにクネクネ動きます。
効果とポイント
・効果
両肘を細かく早く揺さぶることで、ずれた背骨が元の位置に収まり、神経圧迫を改善する効果があります。
神経圧迫を改善することによって、運動神経や感覚神経、内臓にいっている神経の働きをスムーズにしていきます。
神経圧迫による身体の痛みを取り除きます。
お腹に力を入れて、揺さぶることで、丹田力を高めることができます。
丹田とは、自律神経である太陽神経叢が集まったところで、自律神経の働きを調整しています。
丹田力を高めることによって、自律神経が整い、平常心を保つ効果があります。
・ポイント
両肘が床から離れて左右の肘頭が近づいたりしないように注意しましょう。
肘は床とほぼ平行に開いたままとなります。
足は、力を抜いておくと肘が移動した方向に連動して動きます。