腰から離れた痛みも坐骨神経痛 [症例を紹介]

腰から離れた痛みも神経痛です。

お尻や太もも、ふくらはぎ、などの部位に起こる単独の神経痛のような痛みも、まず腰の骨や筋肉が原因の可能性が高く、坐骨神経痛を疑いましょう。

症例を二例見ていきながら、説明をしていきます。
※症例は参考であり、効果には個人差があります。

 

腰に痛みがなく、太ももに痛みがあった方

一症例として太ももに痛みがあった方(65歳女性)の例を紹介します。

太ももの神経痛のような痛みを訴えて来院されました。

太ももがまっすぐに伸ばせず、足が「く」の字に曲がり、腰を前傾していました。

すぐに坐骨神経痛と分かりましたので、

それは腰から来る神経痛ですよ、と言うと

「腰には全く痛みがありません」と仰いました。

腰を見せてもらうと、腰の筋肉がセメントのように固くなって、盛り上がっていました。

明らかに腰の筋肉が浅層から深層の奥深くまで収縮して神経圧迫を起こし、その結果太ももの前部に、神経痛の痛みを引き起こしたと考えられます。

腰に痛みが無かったのは、収縮が慢性化して腰の筋肉が固く粘土状になったもので、粘土状になった筋肉が自己防衛で痛みが緩和していたためです。

腰と腰の骨や筋肉を支える臀筋群の治療を並行しました。

さっそく腰の筋肉を浅層から深層まで緩めていく鍼を行いました。一挙に深層の筋肉まで鍼を通しますが、浅層からだんだん緩んでいき、深層が緩むのは平均10回程度の治療が必要です。しかし治療回数はその人の回復力によって変わります。遅い方は2倍以上かかることもあります。この方は、15回要しました。

この回数は深層まで緩ましていくための必要日数です。

それだけ無理を重ねてきたわけですから、焦ってはいけません。

弾力があり、支持力が強い筋肉に回復させることがなにより大切な事ですから、必要日数と考えてください。

 

歩行時のふくらはぎの神経痛のような痛みと痺れ

2症例目として、

ふくらはぎの神経痛のような痛みとしびれを訴えて、来院されました[63歳女性]

3か月前から歩いたらしびれるような感覚と鋭い痛みが伴っていますが、腰は全く痛みがありません。

腰からの神経痛を一番に疑いました。

腰の筋肉は、右側だけが固く強く盛り上がっていました。

左右を比べると、7:3ぐらいの右腰重心でした。ふくらはぎを触診しましたが、何の問題もありませんでした。

右重心で右側の筋肉だけをよく使い、盛り上がっていた原因

左右の足の長さを比べると、右足が1.5cmぐらい短く、骨盤の左右の大きなずれが有りました。そのために右腰ばかりに重心がかかっていたのです。このままですと右腰ばかりに重心がかかり、左右のバランスから言うと、とてもアンバランスな力関係となります。そのため神経痛を再発しやすいのです。この骨盤を矯正して、左右の足の長さをそろえる必要があります。

触診すると左右の骨盤の高さが異なっていて、右側の骨盤が後方回転して、右側の骨盤が5mmほど低くなっていました。骨盤をそろえると足の長さもそろいました。

形状記憶といって、正しい形に戻しても元の形に戻ろうとする力があるので、矯正は形状記憶を打破するまでしばらく続ける必要があります。

家庭ででき、一番簡単で有効な骨盤調整方法をお教えしました。

長年の癖ですから、形状記憶を打破し、正しい形状記憶を認識するまで半年から一年は行う必要があります。

右側の筋肉を鍼で浅層から深層まで徹底的にほぐしていきました。

その結果、11回で神経痛は改善しました。

 

筆者
はらだ鍼灸整骨院 院長 原田浩一
"はり・灸と健康は仲がいい"

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