坐骨神経痛は冷やした方が良い?温めた方が良い?

結論からお伝えすると、「温めてあげた方がいい」です。

ただし、温めすぎは避けてください。温度が高すぎる、温める時間が長すぎると、回復力が低下する場合もあります。電気毛布を一日中、つけておくのと同じです。

要するに、患部および身体を冷やさないことが大事であると考えてください。
冷えると筋肉が硬化し、血管が収縮して、血流が悪くなり、回復する働きを妨げるからです。

冷やさないことが大切


一番大切なことは「冷やさない」ことです。

中医学では、身体を冷やす要因が多くなり、身体が冷えることを「寒性(かんせい)」といいます。
寒性(かんせい)の状態になると、収引(しゅういん)と冷通が引き起ります。

冷痛というものは、寒そのものの性質で痛みを発することをいいます。氷をずっと押し付けていると痛みが発するのが冷通です。

収引は、筋肉や血管の収縮を引き起こすことで神経を圧迫し、血流が悪くなることで神経を維持するための栄養が不足し痛みが発します。

陰性の方と陽性の方で少し対処がかわります

陰性の方(冷えの体質の方)の対処法

陰性の方の対処法は、身体全体を冷やさない事、特に下半身を温めることです。

冷えの体質(陰性)の方は身体の中にもともと寒の性質を多く持っています。だから少しの冷えでも痛みが起こるのです。

外気の寒い状態・肌寒いのに薄着の状態など、他の人にとってはちょっとした寒さでも影響を受けやすい状態です。

対処としては、夏であっても下半身を冷やさないように温かいズボンをはくなど、「下半身を温める」ことが大切です。
また身体を温める食事をとるのも効果的です。

陰性の方がやってはいけないこと

  • 寒い所での長い立ち話
  • 服を着替えないで寒いのを我慢する
  • 足が冷たいのに台所などにずっと立っている
  • 足が冷たいのにスカートをはく
  • 風にあたること
  • 湿気があり寒い所(夏のクーラーの下)

<何故風にあたるといけないか?>

風は百病の長と言われ、湿気や寒邪を身体に引き込む性質があります。具体的にいうと、風が皮膚にあたることで、皮膚の腠理 (ソウリ)つまり皮膚のキメをこじ開け、皮膚のガードを崩し、自然界の六気を多く取り入れすぎてしまいます。六気自体は、悪いものではないのですが、多くなりすぎると、寒すぎる、湿気過ぎるなど身体に害を及ぼします。

陽性の方の対処法

陽性の方の対処法は、動き過ぎないことと、汗をほったらかしにせず、すぐにぬぐうことです。
薄着でいつも汗をかき気味で顔が赤く、馬力のある方は、陽性すなわち、熱の性質がもともと多いので、よく動きかつ汗をかきやすいのが特徴です。
そのような方は、動き過ぎに注意をしてください。動き過ぎることでも、深層の筋肉まで負担がかかり、筋肉が硬化し神経圧迫を引き起こします。
動いて汗をかくことで汗が蒸発し熱を奪うため、陽性の方でも部分的に冷えを引き起こします。これは汗を拭くことで対処できます。

特に陽性の人は、暑がりで日ごろから身体が温かく、汗をかきやすいです。このような方は、汗をかいたらすぐに拭き、身体や患部を冷やさないようにするだけで良いです。温めても改善はあまり期待できないので、負担のかかる動作や姿勢を取らないことの方が重要です。

陽性の方がやってはいけないこと

  • 汗をかくような運動
  • 重いものを運ぶ
  • 過労や重労働
  • 風にあたること
  • 身体を温めすぎない

にんにくや唐辛子を汗をかくほどとりすぎるのは、身体を冷やし、特に患部である腰や臀部を冷す結果になります。

両方の性質に共通すること

両方の性質に共通することはストレスをためることで、気・血・津液の流れが悪化し停滞します。

その結果、身体の中には汚れた血や水分が停滞します。すなわち、これは新陳代謝が悪くなっている状態です。
この状態では、疾病の回復力は弱まります。
停滞して汚れた血液のことをお血といい、夜間痛、刺入痛、固定通を引き起こします。
停滞して汚れた水分のことを痰質(たんしつ)といい、気血の流れを妨げて、疾病の回復を阻害します。

対処法としては、痛みにこだわらないことです。

何故なら、呼吸が深くなると、副交感神経が優位に働き、リラックスし、全身の緊張が緩み、血流が改善し温まるからです。

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筆者
はらだ鍼灸整骨院 院長 原田浩一
"はり・灸と健康は仲がいい"

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