気(き)とは、いったい何なのでしょうか?
例えば、人が死んだ時に、死ぬ直前と死んだ直後では一体何が変わったのでしょうか。
物質の出入りは何もないはずです。
しかし、人には生から死への大きな変化が起こります。
無くなったものは何もないのでしょうか?
このときに失ったもの、それが気(き)なのです。
気は生命が生きるために必要な要素
食べ物で考えてみましょう。
玄米を食べるのと、玄米とぬか層と胚芽と白米にして別に分けたものを同時に食べるのではどうでしょうか。
まとまったものを食べても別々に分けたものを食べても栄養成分は同じですね。
それでは玄米と別々に分解された米(ぬか層・胚芽・白米)を水に浸せばどうでしょう。
別々に分解されたお米は水に浸しておくと数日で腐ってしまいますが、玄米は発芽しはじめます。同じ栄養物でも、一方は腐ってしまいました。一方は芽を出して成長し始めました。つまり、生きているのです。気は生命が生きるために必要な要素なのです。
元気と気(き)の関係
中医学では、気(き)は持って生まれた「先天(せんてん)の気(き)」に身体の働きによって補充される「後天(こうてん)の気」が合わさって身体全体の気(き)となると言われています。
これを元気(げんき)といいます。
日本語の“お元気(げんき)ですか”とか。
“元気(げんき)がいっぱいの人”などの言い方は、
このあたりからきているのです。
気には種類が有あります
気には5つの種類があり、その気が作用することで生命は生きています。
元気の素「宗気(そうき)」
宗気が不足すると、呼吸が浅く短くなり、しゃべり声も低く、力がなくなります。
宗気には、呼吸や、血流、発声、脈管内の気血の流れを推動します。(呼吸作用や心血の運行を推動する)
体外から身体を守る「衛気(えき)」
体表付近に広く分布して、ウィルスなどの侵入を防いだり、皮膚や体毛を潤したり、汗孔(かんこう)の開閉を調節します。
とくに、体表をめぐって、バリアのように、肌表 、すなわち体表を防御し、外邪の侵入を防ぐ働きを持っています。衛気には、さらに肌表を保護して、体温の調節や汗腺の開閉や、皮膚のキメ(肌肉の締まり具合)を調節し、津液を皮毛に運び潤すなどの作用があります。
体内の機能を守る「営気(えいき)」
営気は、食べ物などで取り入れた栄養素を、血液の一部分として循環し、全身に栄養を供給して、身体の内側の機能を守っています。
体内の機能の基「臓腑の気」
五臓六腑(ごぞうろっぷ)の各生理機能を動かす機能(推進する機能)となって、五臓六腑(ごぞうろっぷ)の役割を支えています。
臓腑の気が不足や停滞することで、以下のような身体に不調を引き起こします。
- 風邪をひきやすくなる(肺の機能が弱る)
- 疲れやすい(消化吸収できなくなる)
- 呼吸が浅くなる(肺の機能が弱る)
- 不安や精神的にイライラする(身体の気血水を動かす機能が弱る)
- 食欲不振(胃腸の動きが弱る)
- 睡眠ができない(身体の気血水を動かす機能が停滞する)
- 病気の回復が遅い(脾・肺・腎の機能が低下して水分停滞して代謝がわるくなる)
- やる気が起こらない(肝気が不足している
ツボを組み合わせることによって、鍼灸でそれぞれの臓腑の生理機能に直接働きかけ改善することができるため、中医学ではもっとも重要視している部分です。
五臓(ごぞう)=>[心(しん)・ 肺(はい)・脾(ひ)・ 肝(かん)・ 腎(じん)]
六腑(ろっぷ)=>[小腸(しょうちょう)・ 大腸(だいちょう)・ 胃(い)・ 胆(たん)・ 膀胱(ぼうこう)]
経絡の気
体表面の穴より五臓六腑を連絡するルートの中を流れる気(経気)のことをいいます。
鍼灸治療では、体表面の穴「つぼ」を使って五臓六腑の生理機能を調整します。