中医学による診断から施術まで
このページでは中医学でどのように病気を見分けているか、どのように診察を進め、診断をするのかを詳しく説明していきます。
どなたにも中医学がどのようなものか想像がつきやすくするために、中医学用語の使用をなるべく避け、一般的な言葉に置き換えて説明しています。
中医学の特徴
①完全オーダーメイドでの施術
中医学での診察で、同じ症例は二度とありません。
睡眠などの生活習慣、体質、体の使い方や職業にいたるまで、患者さん自身のことをヒアリングし、その患者さんだけに合った施術を施します。
②原因そのものにアプローチ
同じ頭痛という症状でも、原因、発生メカニズムは異なります。
その原因や発生メカニズムを、中医学理論で分析し、原因そのものにアプローチします。
③周辺症状にも作用
ある症状の原因となる生活習慣などが、別の症状の原因になっているということは多々あります。
根本的な原因に施術を施しますので、芋づる式に症状を改善に導くことができます。
中医学による病気の見分け方
ここでは中医学でどのように病気を見分けているかを説明していきます。
中医学では病気の状態を「正と邪」で見分け、「実証と虚証」を判断していきます。
一見難しそうに感じますが、一つずつ見ていくとわかりやすくなりますので、下記でご説明します。
①「身体に元来なくてはならないもの」で判断する
「正」は、「身体に元来なくてはならないもの」をさします。
例えば、手足や骨、筋肉、内臓、血液、胃腸、体温を維持する機能や食物を消化分解する能力、細菌に対する抵抗力も正となります。
正は「身体に本来なければならないもの」である以上、不足すれば健康な状態ではなくなります。
中医学ではこの正が不足している状態を「虚証」と言います。
②「身体に本来あってはならないもの」を判断する
では「邪」はどうでしょうか。
邪は「身体に本来あってはならないもの」を指します。
例えば体内に侵入した病原菌やウイルス、細菌などが邪となります。
寒い環境に長くいる時、身体がその寒さ冷たさに十分対応できなければ体調を崩してしまいます。これは寒という邪が身体の中に侵入してきたために引き起こると考えます。湿気が多いところに長くいると、湿という邪が体内に侵入し体調が悪くなります。
邪は「身体に存在してはならないもの」である以上、邪が人体に存在していれば健康な状態ではなくなります。
邪が身体に入っている状態を中医学では「実証」といいます。
しかし、臨床で出会う多くの病症は完全な虚証や実証であるというような単純な症例は少なく、実証と虚証が互いにいずれかの割合で混ざり合っているのが大半です。
③「何」が過不足しているのかを判断する
気・血・津液弁証をおこないます
中医学では、体内の水分や体液、血液などのことを三宝(気・血・津液)と言い、身体を維持する最も大切なものとしています。
体内の水分や体液、血液などは不足しても流れが滞っても健康状態を保てません。
そして不足を補ったり、過ぎたものを取り除くことで安定した状態つまり健康状態が導かれるのです。
中医学による診断では、体内の水分や血液、体液の過不足がないか、流れは滞っていないかなど生理作用の失調等をみていきます。
これを気・血・津液弁証と言います。
寒熱弁証をおこないます
さらに寒熱弁証で、施術の方向性を決めていきます。
1. 身体に寒い性質が多すぎる状態「寒証」
なのか、
2. 熱い性質が多すぎる状態「熱証」
なのか、
3. 寒・熱の性質がどちらにも傾いていない状態「平」
なのか、
4. 寒・熱が混ざっているの状態
なのか、1〜4を判断してゆきます。
寒証の場合は、冷やすと、病態が悪化します。寒邪を取り除く施術をおこないます。
熱証の場合は、温めると病態が悪化するので、熱邪を取り除く施術をおこないます。
④「どこ」が不調なのかを判断する
どこが不調なのかを判断するためには「どこの」と言う情報が必要になってきます。
臓腑弁証を行います
肺・心・脾(ひ)・肝・腎(じん)の五つの内臓のことを指す「五臓」には、それぞれの役割があり、いくつもの生理作用(働き)があります。
この五臓の、どの臓腑の生理作用のどんな働きが「不足したり過剰になっている」のか診ていくことを臓腑弁証といいます。
どの臓腑の何と何の生理作用(すなわち働き)が、失調(過不足)しているかどうかを診ることにより、身体の具合が悪くなっている理由が分かり、かつ何を改善したらよいのかがわかるのです。
五臓の働きは、互いに助け合ったり牽制し合ったりしてバランスを取っています。五臓のバランスが崩れた時に疾病がおこりますので、失調した生理作用を改善させることによって健康に導かれます。
診断の結果を施術にいかす
生理作用の失調が分かり、臓腑弁証により五臓のどこを施術すればよいのかわかっていますので、鍼治療では、その臓の生理作用の働きのバランスを整える、最も効果的な経穴(ツボ)をいくつか選択して、その働きを改善させます。
臓腑弁証により証が決定されると、証に対して最適な施術方法が選択できるのです。
証というのは一つ一つの症状では無く、疾病の病態、すなわち身体の総合的な状態を意味します。
一つ一つの症状に対して鍼を打つ対処療法ではなく、病態を総合的に診察した上で鍼治療を始めます。そのため少ない経穴でもっとも効果的な施術方法を選択できるのが中医学にもとづく鍼治療の特徴です。
証を立てる事によって、身体全体の調子を整え、自然回復力や免疫力を高めることによって、疾病の改善を大幅に促進させることができるのです。
中医学による診察から鍼灸治療までの流れ
問診
問診で、身体の状態と病気の状態(病態)がどうなっているか、それが邪がどれぐらい多いか、正が足りていないかなどの身体の総合的な状態を問診で導き出します(証を立てる)。
舌脈診
導き出した証を舌脈診で確認し、証を確定します。
脈の状態は28種類まででわけられておりますが、分かりやすく説明するために代表的な6種類の脈(六祖脈)を挙げます。脈が浮いているか沈んでいるか、早いか遅いか、力が有るか無いか、この6つの脈と舌をみることで、大まかな身体の病態が分かります。
まずは脈の浮沈をみます。これは脈が浮いているか沈んでいるかをみています。
これで、病気の位置が浅いか深いかがわかり、脈が速いか遅いかで、病気の性質が寒性か熱性かがわかり、脈の指をおしあげる力が有るか無いかで、虚証か実証か、虚・実がどのように、どの程度、入り交じっているかがわかります。
正常な脈は、しなやかなリズムでゆったりして、落ち着いた感じで、指を押し上げる力があります。
検査を行います
すでについている病名や症状が正しいかどうか、徒手検査で確認します。
姿勢の偏りや骨盤の歪みを見たり、触診でどの筋肉が関係しているか、骨がどうなっているか、血管や神経がどの程度圧迫されているかなどを一つ一つ検査します。現代医学的に見た病態把握を確定させます。
病態の説明と施術方針・施術方法の説明をします
身体の状態がどうなっているのか、病態を詳しく説明をします。そして施術方針と施術方法を説明します。
どれぐらいの期間でなおるか、回復の見通し、回数などを説明し、納得して頂いて始めて鍼治療を進めていきます。
鍼治療をおこないます
院長自ら施術します
当院は、施術の一部を他のスタッフに任せるなどはせず、診療から施術まで、全て院長が自ら行います。
原田鍼灸整骨院長 鍼灸師・柔整師・カイロブラクター・サイコセラピスト
(財)東洋医学手技療法師協会認定プロ養成講師
・大阪中医学研究会主宰
・中国刺絡学会最高顧問
・日本心理センター認定サイコセラピスト(理事長 立木 寅雄氏)
・近畿療術師会連絡協議会認定カイロブラクター