こむら返りとは
こむら返りは、ふくらはぎ(腓腹筋)の急性筋萎縮です。
ふくらはぎが柔軟性を失っているときにちょっと伸ばそうとした時に引き起ります。
これは筋肉が過剰に伸ばされたと判断し、これ以上伸ばさないように自ら筋肉を収縮させたもので、生まれながらに持っている生体防衛です。
自宅でできるこむら返りの対処法
こむら返りが起きた時
こむらがえりが起こった瞬間は、精神的な焦りがありますので、すぐに戻そうとしますが、生体防衛が働いていることを意識して、まず焦らずに状態を動かさず保持しましょう。
じっとしていると、しばらくすると、足首を手前に少しづつ引くことができるようになってきます。
治る方向は、縮んでいるアキレス腱とふくらはぎを伸ばす方向です。伸びた足首を手前に引いていく動作になります。
しかし、こむらがえりは、筋肉が過剰に伸ばされたと判断してこれ以上伸ばさないように急性委縮した状態ですから、急に伸ばすと、余計に引き起る可能性があります。
気を付けることは、その状態で急に立ち上がらない事です。立ち上がることで、急に引っ張ることになるため、さらなる筋座礁を起こす原因になります。
こむら返りが治った後
こむら返りが治っても、ふくらはぎに緊張による痛みがある場合は、一日二日は痛みが残る事があります。筋肉が硬化した状態が改善されていない場合がほとんどですので、違和感が取れるまで伸ばさないようにすることが大切です。 必要以上に伸ばさないようにテーピングをするのも一つの対処法です。
こむら返りの治療法
こむら返りの鍼治療法は、後述する根本原因をまず改善させる治療を行います。
対処療法としては、ふくらはぎを鍼治療で筋肉の浅部から深部までだんだんと緩めていきます。そして膝の裏の筋肉の硬化を取り除いて、ふくらはぎ全体をゆるめていきます。
治療回数
対処療法としては1回でほとんど改善しますが、根本療法としては3~5回の鍼治療をお勧めします。
こむら返りの根本原因
こむら返りになる8つの原因
こむら返りの根本原因は8つに分かれます。 ふくらはぎが柔軟性を失うと、ふくらはぎの筋肉が固くなり筋肉が硬化している状態となります。
筋肉を触ってみて下さい、固くなっている場合は、原因はいろいろですが、筋肉に異常がありますよ、という筋肉からのお知らせだと思ってください。
この状態は、筋肉に伸びたり縮んだりする柔軟性の低下が起こっており、筋肉がこれ以上使わせないように身体の中心に向かって縮む「求心性委縮」のエネルギーが強力に溜まっている状態であり、生体防衛が働いている状態です。
こむら返りの根本原因は身体の状態によって異なりますので、以下の8つの原因を確認してみて下さい。
原因
身体に顕れる症状
過度な運動
腓腹筋の筋力の硬化
運動不足
腓腹筋の筋肉体積の減少による筋力の低下
ストレス
上熱下寒(上半身が熱くなり、下半身が冷える。頭寒足熱の反対)、肝気うっ血(全身の気血水の流れが悪くなる)による、足の冷え、むくみ、血行不良
食事の偏り
脾気(内臓機能)の低下により、筋肉に十分な栄養を養えない状態で起こる、筋力低下、むくみ、血行不良
お酒の飲みすぎ
下半身(腓腹筋)のむくみと冷えを起こし、体内水分の代謝障害を引き起こす
睡眠不足
日々の生活で傷ついた筋肉の修復ができず、そのために、筋力が低下する
排便の低下
酸性化したガスが全身に運ばれ、血液が酸毒化され、筋肉の柔軟性の低下が起こる
超過度な運動
腓腹筋、ヒラメ筋、後脛骨筋が過労によってだんだん固くなり、限界を超すと筋肉はこれ以上使わさないように生体防衛が働きます。強力な筋委縮がおこり、この状態になると、痛みで動けない状態になります。
原因に対する対処法
1.過度な運動
過度の運動をする方は、運動をすればするほど良いと考えている傾向があります。
毎日ウォーキングを続けている方が60分歩けるようになると、90分になり、120分に増やしていきます。しかも一生懸命歩かれます。一生懸命歩き続けることで、筋肉が緊張し続け、筋肉が硬化し、そのことで筋肉には求心性に委縮する力が形状記憶されていきます。ついには、筋肉の過剰負担となり、筋肉が慢性的に硬化します。
その状態が続くと、膝や股関節、腰の関節疾患を引き起こします。
また内科的には、血圧の上昇なども引き起こします。それは心臓など循環器系の過剰負担となるからです。
対処法
緩急のバランスをつけて運動をすることが大切です。
たとえば、一時間歩くなかで、5分速足で歩く、5分ゆっくり歩くというのを交互に繰り返すことです。早く歩いたときは筋肉が緊張し、ゆっくり歩くことで筋肉が弛緩します。筋肉は弛緩することで、緊張がとれリラックス効果が起こります。だから最高の緊張と最高の弛緩を繰り返すことでバランスがとれ、それを高めていくことで、より強く柔軟性が有る筋肉が保てるのです。 交互に繰り返すことで、筋肉の疲労が溜まりにくくなる効果もあります。
2.運動不足
筋肉を使わなくなると、筋肉は瘦せていきます。そうなると体積が減少して筋力が低下するのです。それは、運動しないと身体の免疫細胞が働いて、筋肉を丈夫にしなくても良いという信号が送られるからです。骨に負荷をかけないと、免疫細胞によって骨を強くしなくても良いと言う指令が送られます。
それでも、筋肉があり、骨が保たれるのは、生活で最低限使用しているからです。しかし、筋肉が痩せ骨のカルシウムが減ると、日常生活の中のちょっとしたことで、立ち上がる力が極端に低下したり、ズボンをはくために片足で立てなくなったり、骨折しやすくなったりします。
コロナで入院療養された方がすわったら立ち上がれなくなったという声を聴きますが、まさに運動不足によるものだといえます。
対処法
<毛管法>
毛細血管は手足に70%あるといわれていますので、手足を振ることによって血流が鼓舞され促進されますので、十分な運動量が期待できます。
一分間を一セットとして、一日の中で15回手足を振りましょう。 一日15分が目安になります。
<踏み台昇降>
階段などの高さではなく、5cm程度の長方形のしっかりした立て30cm横60cmの板で行います。
高すぎると筋肉ができるまでに膝の関節を痛めてしまうことがあるため、低い台を使用します。
低い台でも十分に効果がありますので、試してみてください。
はじめは一回2分程度からスタートし、一日15分を目標にしましょう。毛管法と合わせて行う場合は合わせて15分で問題ありません。
3.ストレスの対処法
ストレスを感じると血液は酸性化し、筋肉は硬化します。さらに、全身の気・血・水の流れが低下し、ふくらはぎ、背中や肩、首の筋肉が凝りやすくなります。それぞれの固い筋肉をほぐしても、またすぐ元に戻ってしまいます。それは原因が肉体疲労ではなく、精神疲労だからです。
対処法
精神疲労の場合の対処法は、一番良いのは軽いリズム運動です。リズム運動によって脳内の伝達物質であるセロトニンが賦活され、活性化されます。セロトニンは幸福ホルモンと言われており、緊張がとれ、リラックス状態を引き起こします。さらに、緊張状態で、交感神経が優位になっていた状態が、吐く息が多くなる事によって副交感神経が優位に変化します。副交感神経はお風呂に入っている時や、くつろいでいるときに優位になる神経ですので、自然とリラックスできるのです。 リズム運動は、縄を使わないで軽く縄跳びの動作をしましょう。かかとは床についた状態でも大丈夫です。②で紹介した、踏み台昇降でもリズム運動の効果は同じです。
4.食事の偏り
食事の偏りとは、食べたり食べなかったり、一定の種類だけを多く食べる偏食を指します。
中医学では、「肥甘厚味の過食」と言いますが、簡単に言うと、甘い辛いが濃いおかずの事です。甘い辛い濃いものを毎日多く食べ過ぎると、胃腸と膵臓を痛め、消化・吸収・代謝の力が弱まります。体内水分が停滞し、むくみを引き起こします。気・血・水の流れが低下し、筋肉に十分な栄養が送られない状態になります。これは健康に見える方にも起こることです。
対処法
おかずの味付けを薄くすることが一番です。ただし、自分が薄く感じるだけで、一般的には濃い場合がありますので、他の人に食べてもらって薄味を確認することをお勧めします。
5.お酒の飲みすぎ
アルコール飲料の飲み過ぎは、胃腸と膵臓を痛め、体内水分の代謝を障害します。
体内水分の代謝の障害は、体内に余分な水分が停滞します。停滞が長くなるほど、汚れて使えなくなり、二次的病理産物に化します。身体が重だるくなり、疲れやすくなります。
対処法
アルコール飲料の過飲を意識して、休肝日をつくりましょう。 飲み過ぎた時は、運動をして余分な水分を代謝させましょう。
6.睡眠不足
睡眠は一日の精神的、肉体的疲れを回復する最も大切な働きが身体で起こっています。疲労した脳や内臓、筋肉を回復させ、新陳代謝を促進させています。睡眠不足は、身体のあらゆる機能に影響していますので、免疫力や自然回復力の低下を引き起こします。筋肉の疲労も残存しやすく、疲労が積み重なってこむら返りが引き起ります。
対処法
睡眠不足の解消は、睡眠をとる以外ありません。しかし、嬉しいことに睡眠不足が続いていても、一日良い睡眠をとることで解消します。疲労・睡眠不足が続くときは一日でも早く睡眠不足を解消することです。
7.排便の低下
体内に8時間以上便が溜まると、酸毒化した血液が全身に回ってしまいます。そうすると脳の働きが低下し、筋肉の硬化を引き起こします。そして、疲れが残存しやすくなります。首肩や背中が凝りやすくなるだけでなく、ふくらはぎなどの下腿部も固くなります。
対処法
肉を食べ過ぎている人は魚に、野菜が不足している人は野菜を、お腹が冷えすぎる人はお腹を温める根菜類を食べましょう。
ストレスがかかり過ぎの人は、趣味や運動、音楽などでリラックスした時間を持ちましょう。
8.超過度な運動
小さい時からずっと続けている運動などを、大人や高齢になって若い時のようにやり過ぎると筋肉を損傷します。
仕事をして疲れた筋肉や身体の状態で過度な運動をすると疲れが蓄積していきます。
疲れが蓄積された状態が続くと筋肉は、慢性に硬化し解消されなくなります。下腿部でいうと、ふくらはぎ(腓腹筋・ヒラメ筋)だけでなしに、その下にある後脛骨筋や長母指屈筋などの身体の表面だけでなく、深層の筋肉も傷めてしまいます。そうなると、痛みで好きな運動もできない状態となります。この場合、筋肉の疲労による痛みですので、レントゲンをとっても骨に異常は認められませんが、回復には、一定期間(1,2か月)の安静と治療が必要となります。