患者様の病態分析

[顎関節症] 80歳 女性 K.Sさん

症例

  
顎関節症

主訴

顎関節の疼痛(口を2分以上、大きく開けられない。物を噛むと痛む。)

随伴症状

  • 右膝関節の痛み
  • 腰痛
  • 首・肩の凝り

現病歴

gakuillust5月よりアクビをしたら、顎関節が痛くなり、口を開けると左顎関節が痛みます。
指2本くらいしか開けられず、ものを噛むと強く痛みます。
首・肩の凝りが酷く、首があまり動きません。とくに右肩・首が凝ります。
口を開けると、ものが噛めないので、とても困っています。

膝が痛い

2011年に右膝の手術(骨切り術)をしましたが、あまり曲がらず、曲げると痛みが起こります。

腰が痛く20分以上寝ると起きられなくなる

youtsu_woman仰向けに20分以上、寝ると、起きれなくなり起きると腰痛がしばらく続きます。ベットでは寝返りを打つことができません。
腰・膝が痛いので、家の中でほとんど動かずじっとしています。
首・肩の凝りが酷く、首をあまり動かすことができません。
とくに右側が凝り、右の肩と腱引きがとても痛いです。

家の中でもほとんど動かないので、動作はスローモーション

家の中でもほとんど動かないので、動作はスローモーションのようにゆっくりしか動けません。

P.S

来院前に息子さんより電話をいただきました

phone_man1_smile息子さんからお母様がベットの上で、20分以上寝られないこと、寝て起きるとしばらく動けないが、治療は可能かという電話でお問い合わせがあった。とても痛くて歯医者にも口腔外科にも行ったが治らないということであった。とても痛くて困っているということなので、当院で治療がうまく行けば、通常は5、6回、難しい疾患も10回ほどで大概治る。ただしお母様の治療は1回でどこまでの治療ができるかにかかっている。
治療を受けられなければ回数がかかる、と言うことを伝えた。
取りあえず、治療さえできれば何とかなるので、来て状態を診せて頂くことにした。

現象

  • 口が指2本分以上開けられない
  • 腰が痛く、寝返りが打てない
    • 仰向きで20分以上、寝られない。20分以上寝て起きると、30分ほど動けないくらい腰が痛い。
    • 膝、腰が痛いために、ほとんど動かない。動きは遅く、スローモーションのようになる。
  • 右肩・首・腱引きが強く起こり、首を動かせない。

病態分析と治療方針

顎関節症は鍼灸治療で改善を図る

a0259fa42fc798e1d039724c42ca3c4a_m顎関節の痛みは、咀嚼筋の強い緊張のためである。
咀嚼筋の緊張は、首肩の強烈な凝りから来ている。
なので、首・肩・肩甲間部・上腕・上肢帯筋の凝りを丁寧にほぐして行く。その後、頸椎を矯正し、咀嚼筋を一つ一つ丁寧にほぐして行く。
腰と膝が痛いために、家の中でもほとんど動いていない。
動くと痛い、痛いからじっとしている。
気持ちは分かるが、自然界で例えると畑を耕して野菜を植えられるようにしても、何もせずに放置しておけば畑は土が硬くなったり、粘土上になって作物が育たない土地に変わってしまう。
人間も同じで、痛いからと言って庇いすぎると、そう悪くないのに動けなくなってしまう。

膝も一緒に治療

膝は動かないので、膝の筋肉が弱って下腿部がむくみ、水が溜まっている。
膝関節を支える筋群(大腿四頭筋、ハムストリングス、腓腹筋、前脛骨筋)を鍼でしっかりほぐして、筋肉を強くして、家の中から歩けるようにして行く。

腰も一緒に治療

illust4238腰も同様に庇いすぎなので、筋力が低下し弾力性を失っている。
そのために痛みが悪化している。
腰の筋群を鍼でほぐし、動けるようにする。
日常生活でももう少し動くようにアドバイスし、治療の進行とともに動けるようになれば、足はまだ歩けること、腰痛も改善することを伝え、自信をもたせる。

治療経過

4回目の治療経過

痛みの強さに変化はありますか?
口を開けてもさほど痛くなくなった。
体調の変化はありますか?
歩くのが速くなった気がする。

現象

口が指3本開けられるようになりました。
首・肩の筋肉の緊張が大きく減少しています。
歩くスピードは2倍以上になっています。

5回目の治療経過

痛みの強さに変化はありますか?
仰向きで少し寝られるようになり寝返りするのが大分楽になった。
体調の変化はありますか?
特に思い当たらないが、身体が軽くなった気がする。

6回目の治療経過

痛みの強さに変化はありますか?
顎の痛みはなくなりました。
首、肩の凝りもとても良くなりました。

8回目の治療経過

1、顎の痛みがなくなり、体が軽くなった。歩くのも速くなった。

9回目の治療

顎の痛みがなくなり、体が軽くなって、歩くのもはやくなったので、治療を終了する。

第10回目の治療経過

痛みの強さに変化はありますか?
痛みはなくなりました。
体調の変化はありますか?
身体が軽くなりました。
今後どうされたいですか?
おまかせします。

痛みが消失し、身体も軽くなったので、顎関節症の治療を本日で終了した。

以後、2週間毎にしばらく肩、腰、膝の体調管理とコンディションを向上させていく治療を行うことにする。なぜなら、身体も軽くなり、速く歩けるようになったが、腰、膝、肩の状態はもう少し改善できそうである。より良いコンディションでいてほしいからだ。

私見

ベッドに寝られなかったのが、顎関節の治療を通して寝られるようになりました

neru_woman腰が痛く、ベッドに仰向けに寝られないということで、治療ができるかどうか心配したが、腰も以前より良くなり、仰向けで20分寝ても痛くなくなった。そして、家でも仰向けで寝られるようになった。膝も痛みは残存するが、倍以上速く歩けるようになった。

安静より動くことの方が大切です

bensyou当院に来るまでは、安静にして何もしないことが、一番良いことだと思っていました。当院に来て、動くことが何より大切という気持ちになられた。どんなに良く肥えた、耕された畑でも、何も植えずに何もしないでいると、荒れ地になってしまう。それと同じで、人間の身体は動けるうちは動かし、例え寝ていても動かせる部分は動かす方が良い。生命がその方が喜ぶのである。
公開日:2017年10月1日 更新日:2017年9月27日 ©