五十肩・四十肩

筆者
はらだ鍼灸整骨院 院長 原田浩一

詳しいプロフィールを見る

五十肩とは?

五十肩は、正式名称を肩関節周囲炎といい、肩関節の周囲に起こる炎症全般のことを指します。 五十代、四十代の方に多く見られる症状から、「五十肩」「四十肩」と一般的に呼ばれています。 好発年齢は40~60歳で、50歳代を中心に明らかな原因無しに、ある日突然激しい痛みを伴い発症します。 しかし五十肩の痛みが起こり出して、ほんの1〜3ヶ月の段階
腕を90度以上あげることができない状態(肩関節拘縮)で来院される方が多いです。
これは、五十肩の重症化を意味しています。

そもそも五十肩は、針で刺すような鋭い神経痛のような痛みが特徴です。
寝返りを打つこともできず、触れられるだけで、うずくまるほどの痛みに襲われることもあります。

激しい痛みを15分で改善させる導通鍼

当院では、
筋肉の緊張や炎症に対しての鍼治療 と、
鋭い痛みを取り除く鍼治療 を同時に行います。

激しい痛みに対しては、
脳からβエンドルフィンというホルモンが出ることを促進させ、
麻酔のように痛みを和らげる効果を得られる導通鍼を施します。


たいがいの方が、2から4回で、腕を耳につけるぐらい上げれるようになります。中には一回で耳につく方もいます。

治療と同時に、当院が開発した五十肩の15分体操を、家庭でも体操ができるように丁寧に説明しながら行います

導通鍼と体操を組み合わすことで、組み合わす前と比べ治療期間が飛躍的に短縮しています。(当院の臨床データによる)

もう我慢できない痛みに、困っている方、どうぞご相談ください。

四十肩とは

五十肩と同じ症状の事を指しますが、四十肩は五十肩に比べて早く改善します。これは40歳代が体力や代謝能力などの一つの体質の変わり目であり、それほど体質が悪化していないことが関係していると考えられます。 四十肩は急性で発生し、ほんの数回で改善することが多いです。

五十肩の原因

五十肩は、怪我や外傷ではありません。 それなのに、なぜ突然痛みを伴い手を挙げれなくなるのでしょうか?しかも、数か月から一年にも及ぶのでしょうか? 東洋医学では、水分と血行不良によるもので、体内の新陳代謝の障害によるものと考えています。 新陳代謝障害の状態では、体内の老廃物が沈殿し長くとどまりがちになります。特に、関節や筋肉に停滞し、筋肉の収縮や関節の可動域を傷害させるのです。 40代50代になれば、身体の変わり目で、新陳代謝も衰えてくるころです。 食事の好みも脂っこいものがあまり食べれなくなり、食べる量も減ってきます。 それでも私たちは、豊かな生活の中で体内で必要なもの以上のものを取り入れることが多いです。 食生活において、過剰な栄養と水分の摂取は、新陳代謝の障害を起こします。 また40代50代は、社会的にも責任が多くなり、抱えるストレスも多くなってきます。 ストレスは胃や腸の働きを低下させ、さらに、新陳代謝を妨げます。 その結果、関節内に老廃物が溜まりやすくなり、血流や水分代謝が悪くなり、筋肉が正常な弾力を失い、腕の重しに耐えがたくなり、ある日突然の痛みを発症します。これは、身体全体の新陳代謝の障害が肩という部分に現れたものです。 症状の現れ方は、人それぞれ違いますが、一番弱い所に現れます。 目に現れば眼精疲労を起こします。 頭に現れれば、頭痛を引き起こします。 このような身体の機能的な障害が肩関節にあらわれたものが 五十肩であると東洋医学の視点では見ています。 ですので、 食生活の改善とストレスの発散も五十肩の改善につながります汗がにじむ程度の10~15分の全身的なリズム運動も効果的です。

五十肩の症状

むちうち1.jpg
五十肩・四十肩(ここでは総称して五十肩)は、ある日突然肩関節付近に鈍痛が起こったり、腕を上げるときに違和感や鋭い痛みを感じるようになったりと、急に発症します。
次第に痛みは鋭いものになり、急に腕を動かす場合などに激痛が走るようになります。
そして、だんだん関節の運動制限が引き起こされます。
関節の運動制限の度合いは人によって異なり、30~150度と様々です。
日常的な動作(髪を洗う、歯を磨く、炊事、洗濯物を干す、電車の吊革につかまる、服を着る、寝返りを打つなど)が痛みでできなく(やりにくく)なったり、鋭い痛みで目が覚めるなどの支障をきたします。
五十肩におすすめする体操・ストレッチ

五十肩の発症による痛みと可動域制限の経過

五十肩は、一般に発症から2週間の急性期、その後約6ヶ月の慢性期を経て、回復期となります

急性期には、腕を動かすと痛みがあり、腕が上がらなくなっていきます。安静にしているときにも、痛みが伴い、特に夜に痛みを感じることが多くなります。腕がだんだん上がらなくなっていき、徐々に関節の可動域が制限されていきます。





慢性期には、徐々に痛みが軽減しますが、腕が上がらない状態(可動域制限)は継続していきます。


回復期には、腕が上がらない状態(可動域制限)が継続しますが、痛みは少なくなっていき、可動域は徐々に自然回復していきます。

これらの回復経過には、1年前後を要するとされていますが、2年3年と罹患した後、来院されるケースもよくみかけます。 また、一度収まった症状が5年以上経ってから再発するケースも見受けられます。
予後は罹患期間に関係なく、痛みがあっても自動で上腕が上がるものは回復が早く、他動でも上腕が上げられないケースは回復が遅い傾向にあります。
(参考:五十肩(肩関節周囲炎)の原因と病態 | 日本整形外科学会)

一番気を付けないといけないこと

急性期は特に症状が悪化していく時期ですので、だんだん腕が痛みで90度以上、上がらなくなっていきます。痛いので放っておくと、急性期の4か月の間で90度で固まり、それ以上挙げれなくなってきます。これを肩関節拘縮といいます。一度拘縮すると、慢性期が長引き、なかなか回復期に移行しなくなります。 五十肩は、その場しのぎの治療や自然回復に任せるのではなく、積極的な治療・体質改善が必要なのです。

五十肩(四十肩)の治療法

五十肩に鍼治療は有効なのか?

よく五十肩に鍼治療は効くのか?という質問を受けることがあります。 鍼治療が五十肩にどのような効果があるかを、これからくわしくお伝えしていきます。

鍼麻酔(導通鍼)を取り入れて痛みを早く取り除きます

_MG_1102
まず急性の痛みを取り除くために、導通鍼を施します。
「合谷、後溪、外関」という三穴に鍼を施し、肩関節を運動させながら肩関節部に鍼を打って、その周囲の筋肉の緊張と痛みを同時に取り除く手法です。
導通鍼は、鍼麻酔の経穴に鍼を刺針し、脳内モルヒネを分泌させる技術です。脳内モルヒネは、痛みを顕著に抑制することができます。脳内モルヒネは、もともと体内に存在する物ですので全く副作用が無く無害です。導通鍼によって痛みが緩和し、可動範囲が一気に広がることが多いのです。

原因となる周辺全ての筋肉に対して一つ一つ丁寧に鍼を施し、筋膜の炎症や筋肉の緊張を和らげます

導通鍼をやった後は、筋萎縮と炎症を一つ一つの筋肉に対して取っていきます。腕だけで無く、首・肩、上腕、肩甲骨周囲の腕を体幹に支えている筋肉全てに打っていきます。
患者様は上腕の運動をして治すどころか、痛みで腕を動かすことが出来ません。
まず鍼を刺入すると筋繊維がバリバリといって音を立てます。硬く筋肉が萎縮して更に炎症を持っているからです。一鍼ずつ心を込めて丁寧に鍼を打っていきます。
s-20110307112837139279
柔らかい響きが的確に患部に伝わるので、回復していくことを実感していただけます。
鍼を刺入される毎に痛みを抑制する心地よい響きが広がり、筋肉が和らいでいきます。
強い筋萎縮や炎症部位に鍼を刺入するのには高度な技術が必要です。
鍼を刺すと周囲に響きが起こります。その響きを痛みを抑制する響きに変えていく。すなわち鍼を刺されることによって痛みが緩和されるような響きを何度も繰り返します。
そして腕を体幹に支えている上肢帯筋群の筋緊張を取り除いていきます。

元から90度以上、上がるケースなら2ヶ月以内にほとんど改善しますが、上腕が90度以上挙上出来ない場合は、治療期間を出来るだけ短くするために、炎症・萎縮を和らげ肩関節が90度以上上がることをあらゆる角度から考え、挙上出来るようにします。

このようにして、根本的に筋肉の収縮を改善し、関節の可動域を元通りに改善していきます。

さらに、肩だけの対処的な治療でなく身体全体の歪みを直してゆきます。

肩の痛い部分に対処的に処置するので無く、身体全体の歪みを矯正します。身体全体の歪みが、部分の痛みや運動制限を引き起こすからです。
身体の歪みの原因というのは、たとえば左肩が上がらないケースで、右腰の筋肉の緊張を和らげ、骨盤の歪みを矯正しただけで、左肩が即上がったケースを何度も目の当たりにしました。 これは腰の緊張や土台となる骨盤の歪みが影響して、肩関節の異常を引き起こしたからです。 さらに土台となる地面に最初につく足関節の矯正を行い、骨盤、脊柱と全身の矯正を行い、身体のバランスを整えていきます。自然なバランス・調和が何より大切なのです。

五十肩(四十肩)の来院の目安

  • 長期にわたり大変な苦痛を伴う疾患ですが、あまりこじらさずに数ヶ月以内に来院されますと、2ヶ月以内に必ずと言って良いほど改善します。
  • 安静時痛や眠れないくらいの夜間痛でも、薬も注射もなしで、おおむね4~5回で軽減しています。
  • 6ヶ月以上の慢性的な痛みやひどい挙上制限がある方でも、だいたい、週1~2回の治療で2ヶ月も治療すれば、痛みはほとんど消失し、4~6ヶ月以内に挙上制限も大きく改善しています。
  • 痛みの度合いや病態により異なりますが、現在では、ほとんど私の予測した一定期間内に痛みを取り、根本的な改善が出来るようになりました。

五十肩(四十肩)に関連するページ

お気軽にお電話ください 06-6864-3381
電話予約の流れ